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2023年8月24日木曜日

激安TW200タイヤのDAVANTI PROTOURA RACE

輸入タイヤ販売元大手のオートウェイからDAVANTI PROTOURA RACE(ダヴァンティ プラトゥーラ レース)と言う、TW200のタイヤを日本発売することがアナウンスされました。


驚くべきは軽自動車サイズがあることと、何より価格がかなり安いことです。




昨今、色々な国のタイヤが日本に入って来てますが、ここ最近のハイグリップタイヤの主流である摩耗指数を示すTW200クラスのタイヤとしては破格かと思われます。

気になる評価、レビューですが86レース等に出場されている橋本選手の記事がありました。



タイヤに多少関わっている私的に気になるのは記事における上記画像です。
路温50℃における袖ヶ浦で8周したトレッド面とされる画像。
さらにタイムは1分18秒999と言うことでほぼ19秒フラットです。

乗ったことも触った事もありませんが、ここまでの情報から以下のようなタイヤかと推測されます。

⚫︎TW200にしてはゴム自体はかなり硬め
⚫︎タイムの結果だけ見るとグリップレベルはADVAN NEOVA AD09あたりと同等?


ゴムは少し硬め?
摩耗指数を示すトレッドウェア(TW)は数字が小さければ小さいほど、柔らかいゴムになる傾向で、柔らかくなると言うことはハイグリップになる事が多いです。
ちなみにもう少しTWが柔らかい(180)ですが、ヴァリノ ペルギアだと1分程度のジムカーナ16本(走行時間合計約15分)でこうなりました。



特にフロント(画像左側)センターグルーヴは走っている最中にヨレて斜めになり、グルーヴの片方だけ変摩耗しています。またトレッド面全体がヨレるので波打ったような表面です。
ここから、今回のPROTOURA RACEの表面を改めて見てみるとかなりキレイで、50℃の路温で8周ということは、ジムカーナより熱条件が過酷で、トレッド温度は80℃も超えているであろう熱でもヨレない、シッカリしたゴムであろうことが想定されます。


コンパウンド次第ではありますが、一般的には熱が入らないとグリップしにくそうな印象を受けます。逆を返すと減りにくいのでお財布に優しいタイヤのような印象を受けます。


グリップレベルはAD09あたり?
86レースで好成績を残されている橋本選手と言うドライバーが265幅を履いて袖ケ浦を19秒という数字は客観的にどのあたりなのか、そもそもテスト車両のスペックが分からないので一概に言えませんが、ADVAN AD09の袖ヶ浦における同じGR86で235幅のタイムが19秒と言う記事がありました。



上記の記事よればA052はそこより1秒弱早いとなっていますが、KYBのテストドライバーの方が同じ幅のGR86で17秒台が出ている記事も見かけました。

できるだけ気温(夏)や車両条件(ほぼノーマルGR86)が近しいテストをしている記事を持って来ましたが、勿論同じ条件では無いので、あくまで参考にです。

またこのタイヤは海外のレビューがなく、軽自動車サイズがあることからまだ日本以外に展開されていない可能性もありますので国内のレビューが待たれますね。

と言うことでまだ未知数なものの、新たな選択肢が増えたことは素直にうれしいですね。

ハイグリップタイヤのトレッドウェア一覧はコチラをご覧ください


2023年8月10日木曜日

VITOUR TEMPESTA Wraith(P1)のグリップ評価

以前も記事にした、VITOURの新しいハイグリップタイヤWraithがついに日本でも発売を開始する旨が発表され、すでにHPでも公開されています。


まだ日本国内では評価や結果があまり出回っていませんが、今回、アメリカではVITOUR P1と呼ばれるWraithの評価記事の情報を頂きましたのでまとめてみます。
この記事の結論として、TW200のP1は「NankangのCR-Sよりラップタイムが速い」そうです。



トレッドパターンは外側のブロックを広くしてコーナリング時のヨレ対策をしているのはA052を始めとした近年の常套手段ですね。

実際の評価動画はこちら。




まず前提条件として、タイヤサイズが若干異なっています。
ナンカンCR-S:225/45R15
VITOUR :225/40R15

若干VITOURの方がハイトが薄いので加速に有利、とは書いてあります。

テスト者はオートクロスで優勝経験もあるようなドライバー2人で、両者ともCR-Sより1週約50秒のコースで1秒近くタイムが速いというのが結果のようです。




コチラの図がオートクロスをトミーさんとサミーさんが走った結果だそうです。
2人ともCR-Sは普段から使っていて慣れており、車もそれに合わせてセッティングしているため、もしこのP1(Wraith)に人も車も合わせ込めたらもっとタイムが出ると動画で語っています。
ちなみに今後NDロードスターでほかのドライバーにタイヤ銘柄を伏せた状態でテストしてどうなるか検証してみる、と言っているのでこの動画の続きが気になります。

と言うことで、TW200でCR-Sよりオートクロス、日本で言うところのジムカーナ競技で速いのでTW100がどうなるのか、非常に楽しみですね。

2023年8月5日土曜日

タイヤ保管は横積み?縦積み?

スタッドレスタイヤや予備タイヤを保管する際、現実的には置くスペースの面積に左右されると思いますが、タイヤにとっては真円を維持するにも「横積みが良い」とメーカーからも教えていただいて来ましたし、そうしてきましたがこんな記事を見つけました



X(旧Twitter)のラバー博士さんの投稿。
拡大するとこんな記事。



驚くことに縦置きが推奨されていますが、この投稿のリプライを見れると、メーカー推奨の横積みの方がベストであると言う意見が多いですね

ちなみにタイヤをコンテナ輸送する時にレース積みと言う手法がとられます。



この方法だとどうしてもタイヤに「ゆがみ」が出てしまうため、出来ればしたくないですが、コンテナに隙間無く乗せる(一本でも多く載せてコストを抑える)にはこうせざるを得ない背景もあります。
(一般流通品においてもゆがみリスクがある、というのはコチラの記事)

と言うタイヤの置き方の話でした。

2023年6月7日水曜日

VALINOワークスプロジェクト始動

VALINOワークスプロジェクトに参画致します。



すでに先週末の全日本ジムカーナ選手権が終わりご存じの方も多いと思いますが、ドリフトでは名実ともに一流メーカーとなったヴァリノタイヤが次のステージに。
新しいメーカーの、新しいチャレンジとしてグリップ競技であるジムカーナに本格参戦していくワークスプロジェクトが発足し、下里選手と共にドライバーとして参画いたします。


「モータースポーツ業界に新しい風を」

これはまだVALINOというブランドが出来る前に言われた言葉で、今も覚えているワードです。
本当は2023年の第1戦から全日本に参加するつもりでエントリーもしていましたが、車両にトラブルがありやっとスタートラインに立てたのが今回の第3戦でした。



本プロジェクトは色々な企業の方々に参画頂き、タイヤは勿論、色々な新しい技術や製品を取り入れて一歩ずつ前に進んでいきます。私自身はブログタイトルでもある「Øutlaw」なプロジェクトになったと感じています。

「ここからがスタート」



と言うことでドライバーとして頑張りつつ、最近サボりがちなブログ更新もそろそろ復活せねば。(おそらくこのブログは個人的なドライバーとしてより、製品情報等に興味がある方がほとんどだと思いますので。。。)

まずは参画頂いた企業様方の紹介も含めつつ、投稿していきたいと思います。

2023年5月4日木曜日

タイヤの最適空気圧の設定方法

サーキットやスポーツ走行において現場で出来る簡単、かつ重要なセッティングの1つとしてタイヤ空気圧の変更があると思いますが、どのように空気圧を設定すれば良いかわからなくなることがあります。

手軽なのが同じタイヤを使っている他の選手に聞いてみることですが、車が同じであればまだしも、車が違うと適切か分かりませんし、タイヤサイズが違うとタイヤ内部構造が違うこともあるので難しい所です。

自分も走ってみてフィーリングが良いところを探っていくのですが、「良いフィーリング=タイムが出る(最もコーナリング速度が速い)」とは限らないのはよくあります。

と言うことで自分も忘れていましたが、基本のやり方は愛読しているGrassroots Motorsportsのページに良いことが書いてあったのでご紹介します。
(英語の後ろに要約を入れてます)
  1. Based on experience, tribal knowledge or just some gut instinct, make a good estimate for a starting point. If there’s a range, inflate tires to the high side of that figure. (経験則から適切と思われる空気圧範囲のうち、高い側の空気圧で設定)
  2.  Time three hard, clockwise laps around a skidpad.(広場でハードに時計回りで3周旋回してみる)
  3.  Drop the pressures by 4 psi all around.(約0.2気圧落とす) 
  4. Repeat steps 2 and 3 until the lap times point toward an ideal pressure range.(上記2と3を繰り返して理想値を探る)
  5.  Note the range of pressures that produced the fastest laps.(最速ラップだった空気圧範囲をメモ)
  6.  Inflate all tires to the highest pressure in that range.(上記5のうち一番高い空気圧にする)
  7.  Time three hard, counterclockwise laps around the skidpad.(広場でハードに反時計回りに3周旋回してみる)
  8.  Drop the pressures by 2 psi all around.(4輪とも約0.1気圧落とす) 
  9. Repeat steps 7 and 8 until you home in on the fastest pressure.(最速ラップだった空気圧になるまで7と8を繰り返す)
  10.  Use a probe-type pyrometer to confirm the fastest pressures. Ideally the tire temperatures will be close to even across the entire tread. If they’re a little bit cooler on the outside edge, that’s okay, too. If the temperatures in the center are too high, though, the tire is running too much air. “When in doubt, trust the clock, not the pyrometer,” Hollis adds.(タイヤ表面温度を測定し、均一な温度になっているか確認。中央が高温だと空気入れ過ぎ。外側が少し低いぐらいなら問題なし。もし表面温度が不均等でも最速ラップを出した空気圧が正解である) 
  11. Tires cool as they sit, so waiting even a minute to measure a tire’s temperature can render the data almost useless. That’s why we recommend having at least one helper, so one person can take measurements on each side of the car. We record our data in an old-school notebook.(タイヤの温度は走行後1分でも経過すると正確なデータ取りが出来なくなるため、車外で温度測定してくれる人がいるとベスト)

この方法はトーやキャンバー等のアライメントセッティング出しにも有効なので、こう言った広場が近くにあると便利ですね。

ちなみに同じページにタイヤのトレッドウェア一覧と評価が乗ってました。


日本におけるトレッドウェア一覧についてはコチラのページも参考にしてください。



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2023年2月6日月曜日

NANKANG CR-Sの86、ヤリスサイズ等の追加について

値段もお手頃かつグリップ評価の高いCRSですが、やっと86等に対応した7サイズが追加される旨、オートウェイから発表されました。







上図の7サイズ。
以前記載したように、グリップ評価も高いタイヤのラインナップ拡充はありがたいですね。
15インチも競技車種によってはあってありがたいサイズですね。

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2023年2月4日土曜日

VALINO VR08GP Sportsについて

ヴァリノから販売されているグリップ専用タイヤ、VR08GPに新たなラインナップとしてVR08GP スポーツが加わります。



トレッドパターンのベースはVR08GPなものの、ゴムの硬度等に合わせて溝の彫り方を変えています。

この時の製品テストは別のトレッドウェアですが、TW300のタイヤとして出てくる予定です。
と言ってもテストしたのも2022年5月だったのでだいぶ前ですが。。。

特徴としてはとにかく「減らない」「温度に左右されない」といった感じで、逆を返すとピークグリップは熱を入れてもそこまで増幅しないそうです。




グリップとしては300にしては他社と比べても良い感じですが、特徴的なのはスライド領域が凄く扱いやすい、とのことです。

サーキット周回や空気圧変動させたりといった製品テストは、アルト等で有名なSさんと、マネージャー君が担当しており、私はあまり関与してませんが登場が楽しみです。

ちなみにVALINOから発表されているようにVR08GP NEUMAというのも続いて発売されますのでそちらは別途。


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2022年12月25日日曜日

VALINO新グリップ用タイヤと2023スカラシップ

ドリフトのタイヤとして有名、かつ実績があるヴァリノの2023年スカラシップが開始されています。


ここで気になるのは筑波のタイムアタックでも最速ラジアルと言われたVR08GPがスカラシップ対象製品に含まれていない事です。

サーキットアタックやジムカーナ等、JAF競技で使いたい声も少し聞いていたので追加が待ち遠しいですね。

またこんな発表もありました。



VR08GPのNEUMAとSPORTと言う製品です。
詳細は公式発表されていませんが、VR08GPの特性を持ったグリップ用の新作です。
ちなみちペルギアのD1用と言うことで08R JPNと言うのも出るようで、こちらは昨今厳しくなるタイヤ規制の転がり抵抗数値等が改善されているようです。


来年はドリフトもグリップ競技も色々規則が変わって新しい製品が出てきそうなので楽しみです。


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2022年11月30日水曜日

ダンロップのβ11

JAFから来年の2023年におけるPNクラスで使えるタイヤ一覧が発表されました。
その中で気になるのがDUNLOPがまだ発表していないDIREZZA β11と言うタイヤです。






まだ発表されてないタイヤがJAFから先に公開されてしまいましたね。

もうここに乗ると言うことはテストも終わってかなり市販が近いと思いますので年明けオートサロンあたりで発表、発売されるのでしょうか。

なお以前記載したとおり、ある程度硬いゴムでないと2023年の規定を満たさないハズですので、Z3の後継というイメージでしょうか。

いずれにせよダンロップからは久々の新製品(な気がする)なので楽しみですね。


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2022年11月1日火曜日

新品タイヤは「慣らし」が必要?

新品タイヤを買った際に「皮むき」と呼ばれる、タイヤを作る際に金型と触れていた面を削るために少し走行されたりすることがあるのは見たことがありますが、「慣らし」と言うのを初めて聞きました。

今回の出所である海外のタイヤ情報満載のモーターサイトであるGrassroots Motorsportsの記事によると、新品タイヤをタイヤウォーマーや実走行でゴムの分子を整える「慣らし」を行うと良いと書いてあります。

以下上述HPの内容です。

Proper heat cycling involves not just heating–which weakens those bonds and makes them less resilient–but bending and stretching of the tread, which helps more consistently align the granular structure of the elastic tread.ヒートサイクルでは、単に加熱するだけでなく、トレッドを曲げたり伸ばしたりすることで、トレッドの粒状構造をより安定的に揃えることができます。※編注 タイヤを縦方向にストレスを与える、すなわちハードブレーキング等で熱を与えたりしてヒートサイクルを行う)

 When the tire is heated, the weakest molecular bonds are broken and then realigned by the dynamic forces of the tread on the pavement. As the tire cools to ambient temperature, those bonds relink in a stronger, more consistently aligned fashion. Tire warmers, on the other hand, preheat the tire to operating temperature before it’s sent out on track for a massage; then they can be used to slowly cool the tire over 24 or even 48 hours.(タイヤが加熱されると、最も弱い分子結合が破壊されて再調整されます。タイヤが常温まで冷えると、これらの結合はより強く、より密度が増した状態になります。また別の方法としてタイヤウォーマーを使ってタイヤを予熱して(軽く走らせた方が良い?)、24時間または48時間かけてゆっくりとタイヤを冷やす方法もあります。)

Heat cycling dynamically stretches and heats the rubber in the tires, further strengthening the molecular bonds in the tread and carcass by reorganizing the granular structure of the material. It’s a process not unlike heat treating metals. (ヒートサイクルは、タイヤのゴムを動的に伸ばして加熱し、材料の粒状構造を再編成することで、トレッドとカーカスの分子結合をさらに強化します。これは金属の熱処理と同じようなプロセスです。)

The Falken RT660, in particular, greatly benefits from proper heat cycling: improved lap times, longer service life and reduced wear. Competitors have also found reduced instances of unusual wear patterns, like center tread rib graining or separation. (特にファルケンRT660は、適切なヒートサイクルによってラップタイムの向上、耐用年数の延長、異常摩耗の低減といった大きな恩恵が受けられます。競合他社でも、トレッドリブの中央部の粒状化や剥離など、異常摩耗が減少していることも確認しています。) 



 気になるのは最後の部分で、「適切なヒートサイクルによってラップタイムの向上、異常摩耗が減少する」という記載です。




今回の記事はアメリカ等で主流となっているTW200クラスのタイヤにフォーカスしているのでSタイヤのようなタイヤまで含まれるかは不明ですが、日本においてこのような「慣らし」をしている方はあまり見ないですし、聞かなかったのでちょっと実験してみたいですね。

ちなみに調べを進めてみると、例えばブリヂストンのHPにもタイヤの慣らしはした方が良い旨、記載があるので自分が知らなかっただけかもしれません。


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2022年9月24日土曜日

2023年シバタイヤの使用可否⁉︎

今年、2022年は破竹の勢いでユーザーが増えているシバタイヤ。
安くてグリップして、それなりに持つと言うかなりユーザー想いのタイヤで、ドリフトやジムカーナに限らず色々使われている印象があり、個人的にも大注目のタイヤです。

一方で大きなJAF行事である、来年の全日本ジムカーナの規定が以下のように発表されました。


ピックアップすると「シーランド比(地面に触れない溝の部分の面積)が25%以上」という規定が追加され、RE-12Dやβ10等のウルトラハイグリップタイヤが使用できなくなる規定となり、ゴムの硬さも一定以上となることからシバタイヤのの出番がやって来るかな?と考えてました。





ところが一筋縄ではいかないようです。


シバタイヤから発表されている現状のシーランド比は23%とのことなので、少なくとも全日本ジムカーナでは使うことが出来ないことになりますし、他社も23%ギリギリのタイヤがあるので合わせて締め出されます。
全日本の規則ベースとした試合ではシバタイヤも締め出されてしまうので各地区でどのような規定になるか、要注目ですね。
(少なくとも関東はオリジナルのTW280規制を敷いているので使えそうです。トレッドウェアについてはコチラの記事をご覧下さい)





そんなシバタイヤも上記のブログによれば新しいタイヤを開発中、と記載があるので期待したいところですね。

いずれにしても来年のタイヤ動向は大きく変わりそうですので今から要注視です。


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2022年8月24日水曜日

YOKOHAMAの新しいADVAN A055について

 今年6月ごろ、海外のYokohama Tireからこんなリリースがありました。



A050やA052よりもかなり攻めたトレッドパターンをしています。


以前も紹介し、一部のサーキットユーザーで重用されているHoosierと似たようなデザインで、公道走行可能な溝はありつつもドライグリップを極限まで攻めた形状になっています。
(デザイン的には公道OKですが、横浜からも一般道での使用は控えるようアナウンスされています)


気になるレビューですが、本国のユーザーサイト等も発表後にアクセスしてみていますが、投稿が少なく判断が出来かねますが、Tirerackの記載によれば「A055は氷点下や雪道、氷上での走行を想定しておらず、華氏32度以上(摂氏0度)の室内で保管することが必要です」と記載があることから、A050のように温度感受性があるタイヤであるがゆえに、ピークグリップは少なくともA052の上位になりそうです。一方で冬場や強ウェット路面はダメそうですね。

またタイヤの重量も205/50R15というサイズで比べた場合、A050は約9.4㎏なのに対し、A055は約8.1㎏(17.8lbs)であることから、軽量化にもかなり力を入れた新世代のタイヤであることがわかります。(ちなみにA052は約8.5kgなので、溝がA052より少なくなっているにも関わらず軽量化を達成していることになりますね)




気になるトレッドウェアについては40ということで、かなりのソフトコンパウンドであることがわかります。これだけ柔らかいとユニフォミティ(真円度)を維持し、ロス出さずに製造するのも大変そうですが。。。
(トレッドウェアって何?な方はコチラをご覧下さい)

日本正式導入時期についてはまだ回答貰えていませんが、正式導入するには色々課題がありそうですね。


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2022年6月23日木曜日

NEXEN N FERA SPORT Rの定量評価(vs A052, 71RS, RT660)

日本では86レースで使われ始め、その性能を評価されているNEXENの新作タイヤですが、国内だと中々定量的な比較がなかったのですが、海外のサイトで良い定量比較があったのでご紹介です。

結論からすると「A052はオールラウンドで速い。RE-71RSは近しいがどちらかと言うと高速サーキット向け、AZENIS R660は一歩引いた感じ、N' FERAはドライだと縦方向は最も評価が高いがウェットは苦手」という評価でした。


全製品225/45/R17のサイズを8Jのホイールに組み込み、同じ車でテストという条件。
定速から何mで停車できるかといった客観的なものと、ドライバーが「のりやすい」と感じる主観的なもの、色々な評点の合計値が上図の結果だそうです。

詳細について、サマリー部分を要約すると以下です。

ADVAN A052
「ADVAN A052はドライでの最速ラップに加え、ドライバーの主観的スコアも最高。ドライでのトップタイムに加え、1位と僅差の2位であるウェットトラクション性能は、このクラスの指標にふさわしいタイヤです。さらに、路面追従性でも最高の評価で、他の追従を許さない総合的な性能を持っています。」

POTENZA RE-71RS
「ブリヂストンのポテンザRE-71RSは、総合評価でA052に一歩及ばず。ウェット路面での優れたトラクション性能は1位でこのカテゴリーにおけるベンチマークとなる。ドライでの横方向のトラクション(訳注:横方向の発生G)がテスト中ベストで、チームからの総合的な評価と同様に高いポイント。客観的にはドライでのラップタイムは劣ったものの、個性と性能は、スラロームのような荷重変動が大きい小規模なテストとは異なり、サーキットでの走行に適しているように感じます。」

FALKEN AZENIS RT660
「ファルケンアゼニスRT660もこのカテゴリーの中ではトップ層です。ドライ路面での性能は、テスト項目のうち半分は1番となっており、高いレスポンスと張りのあるステアリングは、主観スコアでは1位のポイントを獲得。ウェット路面でのトラクションはそれなりに強力だが、テールハッピーな傾向もあり、前述のようにステアリング応答性が高いため、限界まで攻められると神経質な印象を受ける。凹凸のある一般道では、ハイグリップタイヤのカテゴリにおいては特筆するほどではないが、鋭いステアリングと軽いハンドリング特性は、この指標でもテスターから良い評価を獲得しています。」

NEXEN N'FERA Sport R
「N FERA Sport Rはドライ路面では、時速50マイル(約80kmh)の制動距離が69.5フィート(約21m)と、今回のテストでは最も短く、それだけがトップですが、他のすべての測定項目で2位という数値を示しており、ドライバーとしてはどんな状況でも一貫して使いやすい運転特性に感心。一方でウェット路面では、客観的にも主観的にもすべての項目で劣っています。」

A052は以前R1Rと比較しましたが強いですね。
ということでストップ&ゴーの大きいジムカーナみたいな使い方だとネクセンもありなんじゃないかと思えるこの結果ですが、日本だと1サイズしか導入されていないことがネックですね。
今は普通の通販では扱ってないようなので時々出てくる新古品とかを狙うしかないのが玉に瑕。。。(各通販サイトでも6/23時点では新品なしです。。。)


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2022年6月13日月曜日

TOYO R1RとADVAN A052の差(とチャンピオン戦 優勝)

久々登場のマネージャー君の検証記事となります。
今回の題材はTOYO R1RとYokohama ADVAN A052を比較するとどの程度タイムが違うのか、という検証になります。

ジムカーナ界隈だと比較されている方もいらっしゃるかもしれませんが、フレッシュな状態で2つの銘柄を比べたのはあまりないと思いますので検証してみた、という話です。

結論としては最低気温20度、最高気温27度の状態において「A052の方が5%ぐらいコーナリング速度が速い」という結論でした。
(約1分のコースで3秒程度の違い。路温はデータなし←ですが曇りだったので気温+α程度と想定)


テストした時の生動画は以下のとおりです。


R1Rの走行

コチラはA052

2つの動画を使って色々な分析をしてみました。
細かな分析動画は割愛しますが、単純に言うと「スタートダッシュ、ブレーキ減速距離はほぼ同じ、コーナーリングだけ違う」という結果でした。
具体的には以前触れたように横方向の剛性が低く、コーナリングフォースの立ちあがりが遅く、コーナー出口で踏んでいけない挙動を示しています。

実はタイヤ比較する時には色々と条件を揃えないと定量的に評価が難しく、R1Rの動画でもいくつかドライバーに起因するタイム変化をなるべく除去して比較するのが大変でした。。。ので次回から評価の時にはそのあたりを揃えてもう少し面白いネタをください←

そんな比較をしつつ、今回はOS技研さんにご協力頂き、スペシャルセットのLSDで関東チャンピオンシリーズに翌日出たらPN1優勝してしまいました。



親子で優勝、その翌週はジジ様は地区戦でも優勝というイケイケな結果に。

ということでまだ載せられない製品評価もやってますが、タイヤレポート第1弾でした(by マネージャー)

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2022年6月9日木曜日

ジムカーナ用5Fivex Gerun 055A

ZESTINOの派生として日本で販売している5Fivexからジムカーナの規定でできているTW280クラスに向けたタイヤがリリースされるようです。





最近だとシバタイヤからも出ているこのクラスで戦っていけるか要注目ですね。
ただ懸念なのはトレッドウェア規制だと以前の記事の「トレッドウェアはグリップの比較指標にはならない」で記載したようにメーカーごとによって数字基準が違うので、今年からD1では転がり抵抗規制に移行しています。
個人的には横溝がないタイヤが増えそうな予感ですが。。。

それ以外では日本に来るか未定ですが86/BRZで存在感を示すNEXENからは新しいTW200タイヤがリリースされる情報を頂きました。
国産以上に開発スパンが早い海外勢ですが、やはり世界情勢をうけて各社少しビハインドしてますね。

今年末ごろには色々情報が出てくるような噂もきいてるのでたのしみです。


2022年6月3日金曜日

タイヤとホイールの太さの関係について

前回までの記事では「タイヤの横力剛性にはホイールサイズが寄与」と書きました。

(このブログはリライトです)


その考察をもとに自分で確かめるためにタイヤを組み替えて実験(実走)したことがあります。
内容としてはフロント7.5j、リア8.5jに235/40/17と255/40/17(銘柄はZⅢ)だったのを、フロント8j、リア9j変えたらどうなるか、です。

ダンロップの公式サイトより実タイヤ寸法幅は243、262mmです。
ホイールは1インチ=25.4mmで計算すると

フロント:
 7.5j=190.5(mm)
   ↓
 8j=203.2(mm)

リア:
 8.5j=215.9(mm)
   ↓
 9j=228.6(mm)

になります。この値からホイールの幅とタイヤ幅の関係を計算すると、

フロント:
7.5Jから8Jにした場合ホイール/タイヤ 
 78.39%
  ↓
 83.62%

リア:
8.5Jから9Jにした場合ホイール/タイヤ
 82.4%
  ↓
 87.25%


それぞれ5%程太くなりました。






ちなみにメーカーは235/40/17は8~9.5J 、255/40/17は8.5~10Jが適正となっていますのでそれぞれ

235/40/17  83.62~99.3%
255/40/17  82.4~96.94%

がメーカー指定ホイールサイズになります。大体80~100%ぐらいですね。ここで概ね100%を超えないのがポイントです。
昔のSUPER GTでは330/40/17or18が使われており、タイヤ実寸法幅はZⅢと同じく表記3%増しの339mmとした場合、組み合わされているホイールが13Jなので


13J = 330.2

タイヤに対して約97%の太さのホイールを使用しています。つまりメーカー推奨ホイールサイズの上限値あたりでレースでも使っていることになります。


ただしこれらのレースタイヤはハイトも厚いので一概に同じには考えられないかもですね。。。。330/40/18ってハイトが132mmもあるので、235/40/17の94mmとはエライ違いです。



考察後の運転インプレッションとしては・・・










Σ(・Д・ノ)ノこんなに変わるのか












って感じです。

言葉にすると難しいですが、フロントはスッと舵が利くイメージです。
ただやっぱり弊害もあって、フロントはブレーキロックが出やすくなったし、リアはスタートダッシュやサイドからの立ち上がりがピーキーになりました。


ということで一般的にはにホイールサイズは適正範囲の上限ギリギリのサイズを使うのが良さそうですが、前回の考察のとおり、スタートダッシュ等の縦方向を重視する場合はあえてホイールサイズを落としてみるのもよいのでケースバイケースですね。


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2022年5月24日火曜日

タイヤのグリップについて考察3

前回に引続き、タイヤについての考察です。

今回はタイヤは太ければコーナーが速い(CFが得られる)のか、また縦方向のグリップはどうすれば良くなるのかについて、です。


・太いタイヤは横力に対抗できる?


前回までの考察だとタイヤを太くしても接地面の縦横比が変わるだけで接地面積が変わらない条件で考えてきました。ところが実際は若干変化(面積が拡大)します。

面積が増えるとなぜ速いコーナリングができるのか。

その答えがここのHP様の「タイヤを太くすると何故グリップが上がるのか」を見てもらうと分かります。
このHP様の結論は太くすると最大荷重時の摩擦限界が高くなると言うことです。




太くすると赤い所まで限界が上がる。(自動車を物理する 様より)


300kgぐらいまでの荷重では細いタイヤも太いタイヤも比例的にグリップがあがりますが、そこから先の限界の伸び具合に差が生じます。つまりこのグラフで用いたタイヤで行くと、仮に荷重移動したとしても片輪に300kgしか掛からない車であれば細いタイヤだろうが太いタイヤだろうが一緒なワケです。
逆に太いタイヤを履かせた場合、バネ下重量が重くなるし、走行抵抗増えるし・・・なにより値段が高くなるのでマイナスしかないわけです。



また補足として前回説明したように空気の働きだけを見ると、サイドウォールの厚みが高い方が剛性が高いという理論が成り立ち、トレッド面全体が偏心しやすくなる(タイヤを正面から見たときにトレッド面がホイールセンターからずれる現象)のですが、単にサイドウォールの「ヨレ」だけみると、ゴムなので横からの力がかかった時の変形が大きく、ある程度はサイドウォールを薄くした方がCPが得られるという工学書の実験結果が乗っていました。


また横幅を広くしたときのグリップに関しての補足説明としては、金属やゴムなどの表面は一見平らに見えてもミクロの目で見ると凹凸があって、目で見えている接地面積と、実際に地面にタイヤが触れている真実接地面積は違います。


「車両運動性能とシャシーメカニズム」の図2-66より

実際地面と接している面積は見かけの接地面積、世間一般的に「ハガキ一枚分の面積」よりも少ないという事実があります。
細かいことは省略しますが、ゴムを柔らかくすると地面の凹凸に沿ってゴムが変形するので、真実接地面積が広がり摩擦力が上がるというからくりになっているのですが、真実接地面積も前回の「横滑り角とコーナリングフォース」の図のように、面積と摩擦力が比例関係にあるのは初期だけで面積が大きく(タイヤでいうと温度が上がったりして柔らかくなる)っても、それ以上は摩擦が上がらなくなります。つまり上のHP様のようにある程度まで荷重を掛けるとそれ以上限界は上がらなくなります。

よって熱が入らなくても最初から柔らかいSタイヤはいきなりタイムが出ますし、熱が入りすぎてもグリップが上がらない(タレる)症状が出てくるわけですね。





以上説明してきた摩擦力は接触している物同士の表面の分子の間に引き合う力が働いており、滑らせようとすると「分子間力によるせん断抵抗力」が発生するために生じる現象でした。
しかし摩擦力を生じさせるにはもう一つ「変形損失摩擦力」というのがあります。
これは凹凸のある路面の上を走ればゴムの接触部分は変形と復元を連続して発生し、運動エネルギーが消費されることによって生じる摩擦力です。
つまり縦方向に柔らかくて粘り気のある(ヒステリシスロスの大きい)タイヤであれば得やすい物になります。
具体的にどういうものか考えを進めてみました。








・ゼロ発進におけるタワみの極み

今まで横向きの力に対してどの位タイヤが耐えれるか見てきましたが、この摩擦力(ヒステリシスロス等によって生じるもの)は主に縦向きの力に対してどうかと考えて良いと思います。
即ちサイドターンやゼロ発進時に、どんなタイヤがどの様な特性を持つかと言う事です。


タイヤの地面に触れている所は、外径に対してある一定の割合で潰れて平らになります。(例えば上図の接地長は仮に直径640mmのタイヤの3%とすると60.23mmとなります。もちろん空気圧が一定の場合で考えます。)
接地長というのは細いタイヤの方が長くなるのは前回の通りですが、接地長のタイヤ外径に対するパーセンテージは同じ銘柄、同じ荷重の場合あまり変わらないらしいので大きい外径のタイヤの方が接地長を稼げます。(上の条件だと640mmのタイヤだと60.23mmですが、650mmのタイヤの場合61.23mmになるわけですね。ただ実際は勿論この通りに3%のままではなく、2.998%とかに減るとは思いますが。)


と言うことで同じ太さのタイヤでも外形サイズが大きい方がより接地面を稼げるわけです。軽自動車とGT-Rじゃタイヤ幅も違いますがそもそも外形サイズが全然違うのは接地面積と内空気量を確保するためのようです。

コレを生かした極端な例で言うと、ゼロ発進を重視するドラッグレースカーが太くて外径が大きなタイヤを履いてます。



彼らはヒステリシスロスを最大限に発揮させるためホイールは出来るだけ小さくしてハイプロファイリングなタイヤを履いています。これは縦方向にタワむゴムの領域を広く取ることで、発進時の荷重が掛かった瞬間に縦方向にタワみやすくなり接地長が伸びる=接地面積が増えるようにしているみたいです。
ただ注意しなければならないのは接地長が長くなるとステアレスポンスが落ちますので後輪には良いかもですが、前輪につけるのは??



ということでタイヤを太くしたり大きくすることは確かに速く走る上で効果があるようですが、縦横両方のことを考えると無限に太く&大きくすれば良いわけではなくバランスなワケです。
これらの理論の延長線上に、サーキットを走るハードなチューニングカーではサイクルフェンダーとかにしてタイヤハウスを広げ、太くて大きな薄いタイヤを入れ込んで接地面積を広げ、縦にも横にも限界を上げているのでしょう。。。が、一般的な公道を走る車や公認競技に参戦するのであればそこまでできませんよね・・・ってことで




結論

普通にスポーツ走行をするには
太くてもダメ、細くてもダメ。ちょうど良いあんばいが一番いい。





前ホイールを18インチにしてステアレスポンスを、後ろを17インチにしてスタートダッシュを得ると言うSUPER GTがよくやっているセッティングもこれらの理論から「アリ」と判断できるわけです。
ただ一般車競技をする上でタイヤの太さ、大きさなんて同じ車種、同じクラスであれば大体一緒ですし、銘柄まで一緒なことが多いのでアドバンテージにはならないですが。。。

じゃあどうすれば良いかと前のブログに書いたホイールサイズを変更してあげるか、タイヤを上手く使いきれる線形内に収まるよう「荷重移動を少なく」して、4輪へ均等に仕事させるようにすれば効率よく車全体でCPが得られることになります。

荷重移動を少なくするにはトレッド、重心、重量などを考えればいいのですが非常にメンドクサイのでまたいずれってか上記のHP様に詳細に載っているのでそちらをご覧下さい。
GT、F1などは上記の「トレッド、重心、重量」どれを見ても「広い、低い、軽い」を追求している所からもその重要さが伺えます。またそれに伴ってアームの構造も素晴らしいですよね。



タイヤの構造からくる大まかな特性をまとめたシリーズでした。次のブログでは続いて上記の考察に基づいた実験の結果、体感について記載していきたいと思います。


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2022年5月19日木曜日

VITOUR TEMPESTA Wraith

ヴィツァータイヤから新しいタイヤのリリース情報です。



トレッドウェアは100と200とのことですが、写真の色写りかもしれませんが、固そうなゴムのイメージを受けます。

ただトレッドパターンは個人的な見解として熱が入りにくそうなので実際に見てみたいですね。


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2022年5月12日木曜日

タイヤのグリップについて考察2

 前回の続きでリライトです。タイヤの大切な要素は「走る、曲がる、止まる」だったと思います。



ただもう一つ大事な要素として「支える」と言うのもあると思います。
支えているのは勿論空気なのですが、ゴムにただ空気を入れていくだけだと風船のように四方八方に自由に膨らんでしまい、上記の性能をうまく発揮できなくなるため、タイヤにはカーカスという骨組みが入っています。
ゴムとゴムの間にカーカスを挟みこみ、それをどんどん重ねてタイヤの形を保てるようにしています。この重ねた数をプライスとか言うみたいですが。

ちなみに「ラジアル」と「バイアス」という2つの種類のタイヤが存在していますが、ラジアルタイヤはカーカスの重ね方が円周方向に直角に交差させた物。バイアスは円周方向から90度ほどずらした形で重ね合わせた物らしいです。
最近の乗用車用のタイヤでラジアル以外を見つける方が難しいですが。ちなみにラジアルの方がトレッド面の剛性が確保されていて走行が安定する構造みたいです。




・ホイールのインチアップによる影響

「剛性」という面でやりがちなのがホイールの大径化、ロープロファイリング化があります。
例えばシルビアなんかだと純正で205/55/16のサイズですが、255/40/17とかにすることを指します。この場合だと15%ロープロ化されています。(パーセンテージ表記ではなく、実際のハイト差は10mmぐらいです)
このように横幅を太くすれば接地面積が増えて、ハイトが薄くなってタワむゴムの部分が減るんだから速く走れてあたりまえじゃないかと考えていたんですがそうではないようです。


接地面について今はもうホームページが閉鎖されてしまいましたが、Motor city Rally様によれば

>まず、一般に「太いタイやはグリップがいい」って言われているし、実際その通りですよね。でも、ここで注意したいのがその理由、そう、決して「太いタイヤは接地面積が広いから」ではないという事です。
物理学の法則に「風船のように内部を空気で満たした薄膜の空気袋を考えたとき、荷重が一定なら、接地面積は内圧に反比例する。」というのがありまして、それはタイヤに関しても同じことが言えます。つまり、「185/60R14でも195/50R15でも205/45R16でも車重とタイヤの空気圧が一定なら接地面積は常に一定=一緒」といいかえられるんですね。
太いタイヤの方がタイヤの中のベルトが太いので細いタイヤと比べてワッカとしての剛性(リング剛性)が高いんです。つまり、タイヤが太いので横方向には太く接地している反面、上から荷重がかかった時につぶれにくいので縦方向への接地長が短くなり、結局、接地面積自体は同じとなってしまうわけです。まあ、若干の違いがあるにしてもトレッド幅ほどの違いは無さそうです。


ということで接地面積はタイヤを太くしたとしても同じタイヤ構造であれば変わらないと言うことになります。(外径も同径の時)
じゃあなぜタイヤを太くするとタイムがあがるのでしょうか?それについても上記のHP様で

>答えは簡単。タイヤのトレッド下にあるベルトが、タイヤが太くなるほど太くなるため、平面的な捩れの力に対して強く、ゆがみにくくなるってワケです。そのため、太いタイヤのほうがスリップアングルがついた時に出すことの出来る力が高くなるって事だったんですね。

と書かれていました。
ベルトとはカーカスとかを指しているのだと思いますが、サイズごとに構造を変えるというより、縦長だったトレッド面が横長になることによって接地長が短くなり、トレッド面が歪みにくくなるというのが正しい気がします。


路面からの入力に対してねじれずにグリップできる=コーナリングパワー(CP)が獲得できるというメカニズムのようですね。


また扁平率についても

> 空気を入れることによってその内圧でサイドウォールがパンッと張ります。これによってタイアのサイドウォールに剛性、つまり張力剛性が生じるわけです。
 タイヤの扁平率を上げていくとサイドウォール部の上下長が短くなり、上下に潰されたように丸い形になっていく。形が丸くなっていくと、このタイヤの張力剛性は下がっていく。一方、扁平率を下げると、サイドウォール部がまっすぐ立ち上がるので張力剛性は向上していく。張力剛性があがると、タイアのサイド剛性、引いてはタイア自体のボディ剛性が向上するという事です。
 つまり、超扁平タイアはベルトが太くリング剛性が高いので輪っか自体は潰れない一方、サイド部の剛性が低いため中心がずれるような偏芯性が大きくなってしまうわけです。つまり、グリップがよくなる反面、操縦安定性などの初期レスポンスなどに問題が出てくるわけですね。


薄いタイヤの方が剛性が低いと言ってますね。確かに薄いタイヤにしたら空気圧を少し高めに入れろと言われるのも張力剛性を高めるためなのかもしれません。

つまりロープロ化すればするほど理論的にはレスポンスが悪いタイヤになってしまうわけですね・・・ただそうならないようにメーカーは低扁平のタイヤになればなるほどサイドウォール剛性を上げています。
計測頂ければと思いますが、16inchのタイヤより17inchのタイヤ単体の重量も重いことが多いです。


ただ上記では「ハイトが低いとサイドウォールが相対的に丸くなるから剛性が下がる」と書いてありますが、単純にタイヤのサイドウォール面積が狭くなって空気張力を得られる面積が狭くなるというのも一因だと思います。
(ちなみにホイールを太くしてタイヤを若干引っ張ってあげるとサイドウォールの丸みをなくすことができるので横剛性を確保できるみたいです。また理論ではハイトが高い方が剛性高いと言ってますがですがやっぱりゴムなので伸びる領域が広いとどうしてもタワみます。詳しくは次のブログで)

Sタイヤのサイドウォールが恐ろしく硬いのもCPを得るためには合理的な手段だったんですね。
ちなみに自分もテストに携わらせていたZESTINOタイヤもサイドウォールはめちゃくちゃ硬いです。硬すぎて自分で組みたくありません←
(路面追従性を確保する為にも、やみくもに硬くすれば良いって訳ではありません)






・タイヤの性能を生かし切るホイールサイズ

上記で引っ張るのが良いと触れましたが、実際どの位の太さのホイールにタイヤを組めばよい分からなかったので各タイヤメーカー様にインタビューしてみました。以下255/40/17サイズについての話の要点をまとめてみました。


>255/40/17の適正ホイールサイズは8.5-10J

ジムカーナなどの競技においてはその適正サイズの一番太い物に履かせるのが一般的。(この場合10J)

太いとショルダーが張って、トレッドが平らになるので引っかかるような限界挙動を示す。
逆に細い物に組むのはFFのリアなど。サイドなどで引きずる時に引っかかりをなくしたような挙動を示す。また乗り心地的には細いホイールに組んだ時がソフトになる傾向がある。また0.5Jホイールサイズを変えるとタイヤの最大幅(トレッドじゃないですよ)は5mm程変わっていく。 (D,B,Y各社へのインタビュー)


やはり限界自体は太いホイールの方が上がると言うのはメーカーでも公言しているわけです。

ただしタイムは扱いやすさの「バランス」なので上限いっぱいのホイールに組んでしまうと色々影響がでてきそうですよね。GTカーのタイヤを見ても引っ張ってる車なんて見ないので255であれば9か9.5Jあたりに組むのが良いのかな?










・番外編-タイヤの乗り心地!?

ちなみに上で触れた乗り心地についてですが、時々自分の車に乗っていてそんな大きな段差じゃないのに「ここの段差だけはやたら突き上げが激しいな?」と思ったことはないでしょうか?少なくとも自分は大学生の頃の通学路に2つありました。

これについて調べてみると、タイヤ屋さんはちゃんと実験しているのですね。
ラジアルタイヤを上下方向にハンマーで加振すると約80Hzにピークをもってトレッドが共振するみたいです。
また接地して荷重をかけた状態でトレッドを前後方向に加振すると約10~80Hzの広範囲で共振する報告がありました。(走りを支えるタイヤの秘密 より)


>タイヤの接地長を21cmとした時、ここを路面の突起が通過する間に1.5回周期が訪れるため、共振80Hzになるのは約40km/hとなり、この時の上下方向の衝撃が最大となる

つまりタイヤの共振数と一致してしまう速さで決まった入力の突起を通過すると、そのタイヤにとって最悪の乗り心地が得られる場所と化すわけですね。
ただ乗り心地についてはタイヤだけじゃなくてサスペンション等の共振なども加わってくるので実際にはズレますが・・・。あくまでタイヤだけで考えた場合です。





理論的に太いタイヤにすると平面的ネジレ剛性が上がることでCPが得られることは分かりました。またサイドウォール剛性も重要ということも。


でもそれ以外のCPが上がる要因はないのか?



長くなってしまったので今回はこんな所。次回は意外と見落としがちな「あの」違いについて考えてみます。



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2022年5月10日火曜日

タイヤのグリップについて考察

タイヤは漠然とグリップするゴムとしか捉えられてないことが多いですが、どうすればグリップが上がるのか考察してみた記事のリライトです。


まずタイヤの機能とはなんでしょうか?


「走る、曲がる、止まる」が一般的な解答でしょうか。



「走る、止まる」はまっすぐ進む分においては単純に荷重とタイヤの摩擦係数によってその性能を左右されます。

しかし「速く走る」上で重要なのは、もちろんまっすぐが速い=パワーがあることも重要ですが、「曲がる」性能も大事です。

一般的にハンドルを切れば曲がると思います。この時車の進行方向とタイヤに横滑り角(スリップアングル、θ)が付きます。

この時タイヤの回転面に直角な力を横力と呼び、車輪進行方向に直角な力をコーナリングフォース(CF)と呼びます。


楕円がタイヤです。

まずCFは荷重をかけて行けばかけて行くほど上がっていきます。皆さんコーナー曲がるときにブレーキで前荷重作ると曲がるはずなのでイメージしやすいと思います。



ここで注目したいのが、横滑り角8度ぐらいまでは直線的にあがりますが、そこからだんだん飽和していってしまってます。ちなみに400kgの荷重だと、立ち上がり6度ぐらいまでは300kgより低いと言うのもミソです。

更にスリップアングルが増加するにつれて増えてくるCFの割合を示す、つまりスリップアングル1度あたりのCFをあらわした値をコーナリングパワー(CP)と呼び、データ化したのが下図です。


以上から、荷重を一輪にかけるのは400kg以内(サイズによって変動)に収めると良さそうですね。
(そしたら荷重移動を減らして四輪に分散させれば良いのですが、そちらは少し以前に触れてみたりしました。しかしタイヤの話からはみ出してしまうのでまたの機会に。)

また一部のFFやAWDを除き普通の車のタイヤ切れ角は30~40度ぐらいですから、ハンドル操作が半回転以内であれば効率良くCFが得られることになります。そして16度(ハンドル操作約1回転)ぐらいで飽和してしまい。それ以上切ってもCFを得るにはあまり意味が無いことになります。



またよくサーキットなどで空気圧を調整したりしますが、理論的に空気圧があがれば耐荷重も増え(ロードインデックス)、コーナリングフォースも上昇します。
ただ実際には無限に増大するわけは無く、空気圧が上昇しすぎるとトレッドの接地長が減少するため限界が訪れます。


こちらもタイヤの構造によって左右するので、サーキットでそのタイヤを使っている方のアドバイスを受けるのが一番だと思います。



その他にキャンバーをつける事でCFを得ることも可能です。




上図より切れ角4度ぐらいまではキャンバー0、むしろポジキャンの方がCFが得られているのでレスポンスが良いことになります。
しかしピークCF値を獲得できているのは、ネガティブ側に4度です。
実際キャンバーをつけるとコーナーの奥で踏ん張ってくれるようになりますが、逆に付けすぎると縦方向の踏ん張りがなくなってしまい、自分の車で実験してみると同じコーナー、同じ踏力でフロントロックするようになりました。



と言うことで付けないよりは付けた方が良さそうですが、4度以上付けるのはたとえFFであってもやめた方が良さそうです。
ちなみにドリフトだとカウンターを切ったときに外側のタイヤがキャスターのせいでポジキャンになってしまうので、6度とかつけてもカウンターステア中の実キャンバーは起きてくるのでナックルによりますが寝かせ気味ですね。




今回速いコーナリングをするためCF、CPがどのように得られるかまとめてみましたがまだまだ要素はあるようです。
タイヤを太くしたり、外径を大きくしたり・・・。
でもそれらは本当に意味があることなのか?全日本ジムカーナやGTカーで逆にサイズダウンして早くなったという話を聞いた事もあります。
長くなりそうなのでまた次回に。

(荷重移動とステアバランスについて記事を書きました。



(図は自動車の運動と制御第二版より引用)