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2026年3月2日月曜日

GTウィング有無で何kg変わるか?

サーキットでタイムを出すために有効なGTウィング
カッコよさと言う点でも重要ですが、機能的な部品です。

見た目はさておき、大きなサーキットで有効なのは間違いないと思いますが、ミニサーキットやジムカーナにおいて有効なのか疑問に思ったので計算してみました。



条件として、どの車種でも付けやすい1500㎜幅×奥行250㎜のGTウイングを例に計算してみます。


上記の式に海抜0mにおける空気密度で数字を入れてみた結果が下表です。



角度調整式のウィングも多いので、CLを0.8~1.5の場合で計算してみました。
30km/hにおいてはウィング自体の重さの影響の方が大きそうですし、ウィング自体が重心の高い所にあるため、サイドターンとかでは動きに差が出るかもです。

ダウンフォースは10㎏ぐらいないと一般的に体感が難しいと思いますので、70㎞/h以上で「効く」イメージでしょうか。
逆に100㎞/hでは最大35㎏もダウンフォースが効くので、取付方法によってはトランクとかが凹む恐れがありますね。


ダウンフォースは質量を伴わないので遠心力等を気にせずタイヤを押しつぶすことが出来る魔法の力になりますが、諸刃の剣でドラッグが増えます。
ドラッグが増えるということは「前に進みにくい≒馬力が食われる」と言うことになります。

100km/hにおけるドラッグを、計算しやすく10kgfと仮定して損失を計算してみました。
1ps = 75kgf m/s、かつ3600秒/1000m=3.6を掛けた270を分母とすると


約4馬力ドラッグだけで食われることになります。
ここに35㎏分のダウンフォース増加による転がり抵抗増加で0.5馬力食われると仮定すると、GTウィングだけで4.5馬力ぐらい損失することになります。
コーナリング中は良いですが、ストレートで4.5馬力はロードスターやヤリス等の小排気量の車では結構影響ありそうですね。(ちなみに高速道路移動でもGTウィングついてたら常時、この抵抗が発生することになります。。。)


結論として、70km/h以上で走るコーナーが多ければGTウィングはタイムに好影響をもたらす可能性が高く、それ以下のコーナーが多ければただのオモリになる可能性が高そうですね。(低速で効果を得たいならもっと大きな羽が必要)

サーキットでいうと筑波2000等では間違いなく有効だが、茂原サーキットや幸田サーキットぐらいだと、なくても良さそうなイメージですね。
とは言え毎回取外し&取付けするのも現実的ではないので、角度調整式ウィングであればミニサーキット&ジムカーナでは寝かせ気味、高速サーキットでは立て気味にするというのも一つの考え方になるかと思います。
(過去のレースカーでは低速でも空力を得るためにファンを付けていたこともあります。低速サーキットで使えるか?についてはコチラの記事をご覧下さい)




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2026年2月20日金曜日

タイヤ重量がもたらす加速性能の差

前回のブログでバネ下重量の差がもたらす影響について考察しました。
ただしこれはバネ下≒タイヤホイール全体の話でシミュレーションしてましたが、回転エネルギーに寄与するのはホイールを軽量化するより、回転の一番外側に位置するタイヤそのものの重量の方が影響が大きくなります。



今回はタイヤ重量の差と、その差がもたらす影響を試算してみました。
まずは重量の比較です。タイムアタック等で代表的な265/35R18で情報を集めてみました。

タイヤ銘柄重量 (1本/kg)
YOKOHAMA ADVAN A05211.1
DUNLOP DIREZZA β1111.2
VALINO VR08GP NEUMA12.4
SHIBATIRE R23 (TW200)12.5
BS POTENZA RE-71RS12.7
NANKANG CR-S12.7

上表はあくまで国内外のブログやSNSから個人的に拾ってきた数字なのであくまでご参考までに。
ADVANはかなり軽く、逆にBSとは1.6㎏も違います。
この重量差がもたらす、低速コーナーからの全開加速影響を計算してみました。

条件としては以下で、ミニサーキット等を想定して50mの加速区間でシミュレーションしてみました。

車両重量:1,200㎏
エンジン出力:200馬力
初速:20km/h

A052RE-71RS
到達タイム2.7422.771
到達速度94.88km/h94.39km/h
距離差+38cm

数字は大雑把にして計算しているので誤差あるかもですが、約0.03秒違います。
これだけ見ると誤差みたいな数字ですが、10か所、全開加速する場合は0.3秒と無視できない数字になってきます。(馬力換算すると2~3馬力差に相当)
ただあくまでグリップは無視した回転する質量差だけで計算しているので、現実には転がり抵抗やコーナリング後の脱出速度等がタイムに影響するのはご存じのとおりです。

数字だけ見るとタイヤ軽量化よりも、先日触れたファイナルギアをバレル研磨する方が影響だけ見ると良さそうですね。


前回のブログやグリップ評価も踏まえると、ADVANのA052はかなりバランスが良いタイヤと製品目線では言及できそうです。ただ難点は価格でしょうか。。。。。
ハイグリップタイヤの価格一覧はコチラをご覧ください。


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2026年2月11日水曜日

バネ下1kg軽量化がもたらす影響について考察

ホイール等のバネ下重量を軽くすることは非常に重要である、というのはモータースポーツを知る方の間ではよく聞く話だと思いますが、具体的にどの程度影響するのか調べてみました。



定性的なホイール等の軽量化の効果は以下の認識です。

1. 路面追従性の向上(乗り心地と接地感)
バネ下重量とは、タイヤ、ホイール、ブレーキ、アーム類など、サスペンションのスプリングよりも下に位置する部品の重さです。
  • バタつきの抑制: 重い靴を履いて走るのと、軽いスニーカーで走るのと同じく、バネ下が軽いと、路面の凹凸に対してサスペンションが素早く上下に動けるようになります。
  • 接地時間の増加: 段差を乗り越えた際、慣性が小さいためタイヤが浮き上がりにくくなります。

2. 運動性能(ハンドリング)の進化
バネ下が軽くなると、車全体の慣性モーメントが減少します。
  • ステアリングレスポンス: ハンドルを切った瞬間の反応が重量が軽くなるため鋭くなります。
  • ジャイロ効果の低減: 回転体であるホイールが軽くなると、高速回転時のジャイロ効果が弱まり、倒し込み(バイク)やコーナリングの切り返し(クルマ)が軽快になります。

3. 加減速性能の向上
ホイールやブレーキローターの軽量化は回転マスが減るので影響が大きいです。

  • 加速の鋭さ: エンジンパワーが「重いタイヤを回すこと」に取られず、加速が鋭くなります。
  • ブレーキの効き: 回転している物体を止めるエネルギーも少なくて済むため、制動距離の短縮やブレーキへの負担軽減に繋がります。

上記ぐらいでしょうか。
これを具体的に1kgホイールを軽くした場合の計算をしてみました。


E = 運動エネルギー
第1項 = 車体が前に進むエネルギー
第2項 = 回転するエネルギー

式は上記で、AIに数字を放り込んで計算させると結論として加速・ブレーキの「効き」に関しては、バネ下1kg軽量化 ≒ バネ上2kg分になりました。

上記計算式を用いてサスペンションの追従性についても計算させてみたところ、要点として以下になりました。

バネ下の重量(m)が減ると、路面の凹凸を乗り越える際のサスペンションの応答速度が上がります。
  • 応答速度の向上: バネ下重量が 10% 減少すると、タイヤが路面に復帰するまでの時間は、理論上 約5% 短縮されます(バネ定数が一定の場合)。
  • 接地荷重の安定: ホイールが1kg軽くなることで、高速走行時のタイヤの接地荷重変動が数kg単位で抑えられます。

この「タイヤが常に地面を捉えている=パワーをロスなく伝えられる」という感覚的なメリットが非常に大きいため、ドライバーの体感としてバネ下の軽量化はボディ軽量化の何倍もの影響があると言われる所以かもしれませんね。


ただし、副作用としては上述した反作用になりますが
  • 乗り心地の重厚感(凹凸に対して過剰に反応)がなくなる
  • ホイールが重くなると高周波を打消す作用があるが、それがなくなるのでロードノイズが増える
  • ジャイロ効果が減るので直進安定性が減る
  • バネ下の路面追従性の向上にダンパーの減衰が付いてこない(重いホイールに合わせた減衰だと硬く感じる)

何事にもメリットあればデメリットあるので、そこを理解した上で選択したいですね。ちなみに新車開発においては上記もあって音対策で足回りにおもりをつけた事もあります。
ただ上述したように、ホイール1㎏軽量化すればバネ上2㎏に相当するので、4本とも1㎏軽くすると車重を8㎏軽くしたのと同じぐらい加速に効いてくるイメージですね。


もし上述したような車体の物理学に興味あれば以下の本がおすすめです。




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2026年2月8日日曜日

バレル研磨ギアで出力は何%改善?

GR等からリリースされているバレル研磨されたファイナルギアですが、展示会などで話を伺う限り4割程度、標準品より駆動損失が減るとアナウンスされています。



ネット上で調べるとより詳細な数字として38%という数字を拝見しました。
ではファイナルギア単品で標準品から38%改善すると具体的にどの程度出力が改善するのか、計算してみました。

まず大前提として、エンジンのクランクシャフトで測定される「グロス値」と、実際にタイヤに伝わる「ネット値」に差があるのはご存じの方も多いと思います。
例えばカタログ上ではGR86/BRZは235hp(馬力)と記載されていますが、シャシーダイナモ上で測定すると205hp(約13%減)、というのは良くある話です。

この駆動系ロスについては海外のこちらのページが良くまとまっていますが、SAE(Society of Automotive Engineers)という団体が公表している一般的な駆動ロス全体の数字は15%と発表されているそうです。
ただしこれはあくまで一般的な数字であって、FFやFR等の駆動方式別にかなりズレがあるとも記載されています。
気になる点だけ上記ページから抜き出してみると

  • トランスミッションにおける駆動ロスのうち30-40%はポンプ損失、20-25%はクラッチ、その他はベアリングや歯の摺動抵抗など
  • シャシダイ上での測定では直結ギア(6速ミッションなら5速、5速ミッションなら4速が多いですね)で測定するが、上述したトランスミッション駆動ロスを直結だと1.5-2%減らせる
  • FRの多くのファイナルギアで用いられるハイポイドギアは6-10%、ドライブシャフトやプロペラシャフトで0.5-1%程度駆動ロス
  • FFでは駆動系がまとまって効率的で、FRやAWDに比べて50%程度駆動ロスが少ない

こんな感じでしょうか。
(上記の数字を逆算すると、トランスミッションの損失は4~8%程度となりますね)
今回の着目点であるファイナルのハイポイドギアの駆動損失は6~10%であり、バレル研磨にすると、このハイポイドギア損失が3.8~6.2%程度まで低減されることになります。

これを冒頭のGR86/BRZに当てはめてみると、標準ファイナルだと205hp(約13%減)だった減りシロが、最大で213hp(約9.2%減)まで改善されることになります。
(駆動ロス全体としては約30%低減)

つまり最大約8hp(馬力)、0.95kgf程度の出力改善になると導き出されます。

下手なチューニングよりよっぽど効果がありそうですね。
駆動ロスが減るということはオイル温度上昇も抑えられ、燃費も上がることになるので良いことづくめです。


ただあくまで上記計算は「最大」であり、体感できるほどの差になるかは個体差もありそうですね。
ちなみにロードスターの12Rで行ってるミッションのコーティングはトランスミッション損失を減少させてるので、実出力向上に寄与してそうですね(12Rのミッションで何してるかはコチラの記事をご覧ください)




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2026年1月30日金曜日

車検における改造車定義の変更

自動技術総合機構と言う、いわゆる車検の陸運局の運営からこんなアナウンスがでているようです


純正流用品を用いた改造であれば届出不要とする内容です。

ネット上で色々な憶測が広がっていますが、既に陸運局で具体的な改造内容について掲示があったようです。


やはりAT→MT載せ替えもOKのようですね。
ここから先は憶測になりますが、社外アームについてはイケヤフォーミュラさんがやっているような強度計算書等、アフターパーツメーカー側が証明できる状態の製品であれば改造申請が不要になりそうですね。

この制度変更はモータースポーツ業界にもいろいろな影響がありそうですね。
(例えば車検証に「改」が付かない改造範囲とする、みたいな車両規則で運用しているレースは大幅な規則改定が必要になりそうです)



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2026年1月21日水曜日

トレッド幅拡大でコーナー速度は何%向上?

車幅を広げるとコーナリング速度が速くなるのか気になり計算してみました。
結論としては1~2%、コーナリング速度が上がるようです。
(※下述の条件の場合)

感覚的に車幅が広ければコーナリングスピードが上がりそうな気がしますし、サーキットアタック車両等ではオーバーフェンダーをつけて拡幅し、荷重移動量を減らして限界を高めています。
(なぜ荷重移動を減らすと速いコーナリングが出来るかはコチラをご覧ください)


では具体的にどの程度違うのか。


仮に同じ同じ重心、車重で車幅のみ変わった場合を計算してみます。
仮想として同じ車両で5ナンバーだった場合の1695㎜と、86/BRZと同等の1780㎜で比べてみます。



計算式は苦手なのですが、数字出さないと比較できないので記載します。
荷重移動量ΔWは以下の式で計算できるようです。


分母にトレッド幅が来ており、車幅(≒トレッド幅)が広くなると荷重移動量が変わります。この式に以下の数字を入れてみます。

車両重量(m)= 1,200Kg
重心高(h) =500㎜(0.5m)
旋回G(α) =0.8G(それなりの速度で旋回)
トレッド幅:
 Case A 1,450㎜(1.45m) ※車幅1695㎜の想定トレッド幅
 Case B 1,540㎜(1.54m) ※車幅1780㎜の想定トレッド幅



そうすると結果としては約6%(約19kg)の差が出ました。

これを1輪当たりの静止荷重を300kgとした場合における内外輪差を見ると、より違いが明確になります。



実際にはスタビライザーや前後ロール剛性でも左右されますが、1つの例としてみてください。
タイヤの限界を使いながらコーナリングしている時の19Kg の差と言うのは大きく、外側のキャパが19kg増えるだけでなく、内側も19kg浮かなくなるので両輪トータルのグリップ限界が飛躍的に向上します。
AIに算出させてみたところ、上記の例だと5ナンバーだと80㎞/hだったコーナリングが82~83㎞/h程度になるそうで、コーナリング速度としては2~3%向上するようです。


と言うことで約9㎝のトレッド幅の差が生み出すコーナリング限界は計算上1~2%向上します。ただしこれはワイドトレッドスペーサー等で広げたトレッド幅によるスクラブ半径やキングピン角の影響は無視しているので注意が必要です。
(スクラブ半径等の影響がどうなるかはコチラをご覧ください)



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