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2026年3月2日月曜日

GTウィング有無で何kg変わるか?

サーキットでタイムを出すために有効なGTウィング
カッコよさと言う点でも重要ですが、機能的な部品です。

見た目はさておき、大きなサーキットで有効なのは間違いないと思いますが、ミニサーキットやジムカーナにおいて有効なのか疑問に思ったので計算してみました。



条件として、どの車種でも付けやすい1500㎜幅×奥行250㎜のGTウイングを例に計算してみます。


上記の式に海抜0mにおける空気密度で数字を入れてみた結果が下表です。



角度調整式のウィングも多いので、CLを0.8~1.5の場合で計算してみました。
30km/hにおいてはウィング自体の重さの影響の方が大きそうですし、ウィング自体が重心の高い所にあるため、サイドターンとかでは動きに差が出るかもです。

ダウンフォースは10㎏ぐらいないと一般的に体感が難しいと思いますので、70㎞/h以上で「効く」イメージでしょうか。
逆に100㎞/hでは最大35㎏もダウンフォースが効くので、取付方法によってはトランクとかが凹む恐れがありますね。


ダウンフォースは質量を伴わないので遠心力等を気にせずタイヤを押しつぶすことが出来る魔法の力になりますが、諸刃の剣でドラッグが増えます。
ドラッグが増えるということは「前に進みにくい≒馬力が食われる」と言うことになります。

100km/hにおけるドラッグを、計算しやすく10kgfと仮定して損失を計算してみました。
1ps = 75kgf m/s、かつ3600秒/1000m=3.6を掛けた270を分母とすると


約4馬力ドラッグだけで食われることになります。
ここに35㎏分のダウンフォース増加による転がり抵抗増加で0.5馬力食われると仮定すると、GTウィングだけで4.5馬力ぐらい損失することになります。
コーナリング中は良いですが、ストレートで4.5馬力はロードスターやヤリス等の小排気量の車では結構影響ありそうですね。(ちなみに高速道路移動でもGTウィングついてたら常時、この抵抗が発生することになります。。。)


結論として、70km/h以上で走るコーナーが多ければGTウィングはタイムに好影響をもたらす可能性が高く、それ以下のコーナーが多ければただのオモリになる可能性が高そうですね。(低速で効果を得たいならもっと大きな羽が必要)

サーキットでいうと筑波2000等では間違いなく有効だが、茂原サーキットや幸田サーキットぐらいだと、なくても良さそうなイメージですね。
とは言え毎回取外し&取付けするのも現実的ではないので、角度調整式ウィングであればミニサーキット&ジムカーナでは寝かせ気味、高速サーキットでは立て気味にするというのも一つの考え方になるかと思います。
(過去のレースカーでは低速でも空力を得るためにファンを付けていたこともあります。低速サーキットで使えるか?についてはコチラの記事をご覧下さい)




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2026年2月20日金曜日

タイヤ重量がもたらす加速性能の差

前回のブログでバネ下重量の差がもたらす影響について考察しました。
ただしこれはバネ下≒タイヤホイール全体の話でシミュレーションしてましたが、回転エネルギーに寄与するのはホイールを軽量化するより、回転の一番外側に位置するタイヤそのものの重量の方が影響が大きくなります。



今回はタイヤ重量の差と、その差がもたらす影響を試算してみました。
まずは重量の比較です。タイムアタック等で代表的な265/35R18で情報を集めてみました。

タイヤ銘柄重量 (1本/kg)
YOKOHAMA ADVAN A05211.1
DUNLOP DIREZZA β1111.2
VALINO VR08GP NEUMA12.4
SHIBATIRE R23 (TW200)12.5
BS POTENZA RE-71RS12.7
NANKANG CR-S12.7

上表はあくまで国内外のブログやSNSから個人的に拾ってきた数字なのであくまでご参考までに。
ADVANはかなり軽く、逆にBSとは1.6㎏も違います。
この重量差がもたらす、低速コーナーからの全開加速影響を計算してみました。

条件としては以下で、ミニサーキット等を想定して50mの加速区間でシミュレーションしてみました。

車両重量:1,200㎏
エンジン出力:200馬力
初速:20km/h

A052RE-71RS
到達タイム2.7422.771
到達速度94.88km/h94.39km/h
距離差+38cm

数字は大雑把にして計算しているので誤差あるかもですが、約0.03秒違います。
これだけ見ると誤差みたいな数字ですが、10か所、全開加速する場合は0.3秒と無視できない数字になってきます。(馬力換算すると2~3馬力差に相当)
ただあくまでグリップは無視した回転する質量差だけで計算しているので、現実には転がり抵抗やコーナリング後の脱出速度等がタイムに影響するのはご存じのとおりです。

数字だけ見るとタイヤ軽量化よりも、先日触れたファイナルギアをバレル研磨する方が影響だけ見ると良さそうですね。


前回のブログやグリップ評価も踏まえると、ADVANのA052はかなりバランスが良いタイヤと製品目線では言及できそうです。ただ難点は価格でしょうか。。。。。
ハイグリップタイヤの価格一覧はコチラをご覧ください。


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2026年2月11日水曜日

バネ下1kg軽量化がもたらす影響について考察

ホイール等のバネ下重量を軽くすることは非常に重要である、というのはモータースポーツを知る方の間ではよく聞く話だと思いますが、具体的にどの程度影響するのか調べてみました。



定性的なホイール等の軽量化の効果は以下の認識です。

1. 路面追従性の向上(乗り心地と接地感)
バネ下重量とは、タイヤ、ホイール、ブレーキ、アーム類など、サスペンションのスプリングよりも下に位置する部品の重さです。
  • バタつきの抑制: 重い靴を履いて走るのと、軽いスニーカーで走るのと同じく、バネ下が軽いと、路面の凹凸に対してサスペンションが素早く上下に動けるようになります。
  • 接地時間の増加: 段差を乗り越えた際、慣性が小さいためタイヤが浮き上がりにくくなります。

2. 運動性能(ハンドリング)の進化
バネ下が軽くなると、車全体の慣性モーメントが減少します。
  • ステアリングレスポンス: ハンドルを切った瞬間の反応が重量が軽くなるため鋭くなります。
  • ジャイロ効果の低減: 回転体であるホイールが軽くなると、高速回転時のジャイロ効果が弱まり、倒し込み(バイク)やコーナリングの切り返し(クルマ)が軽快になります。

3. 加減速性能の向上
ホイールやブレーキローターの軽量化は回転マスが減るので影響が大きいです。

  • 加速の鋭さ: エンジンパワーが「重いタイヤを回すこと」に取られず、加速が鋭くなります。
  • ブレーキの効き: 回転している物体を止めるエネルギーも少なくて済むため、制動距離の短縮やブレーキへの負担軽減に繋がります。

上記ぐらいでしょうか。
これを具体的に1kgホイールを軽くした場合の計算をしてみました。


E = 運動エネルギー
第1項 = 車体が前に進むエネルギー
第2項 = 回転するエネルギー

式は上記で、AIに数字を放り込んで計算させると結論として加速・ブレーキの「効き」に関しては、バネ下1kg軽量化 ≒ バネ上2kg分になりました。

上記計算式を用いてサスペンションの追従性についても計算させてみたところ、要点として以下になりました。

バネ下の重量(m)が減ると、路面の凹凸を乗り越える際のサスペンションの応答速度が上がります。
  • 応答速度の向上: バネ下重量が 10% 減少すると、タイヤが路面に復帰するまでの時間は、理論上 約5% 短縮されます(バネ定数が一定の場合)。
  • 接地荷重の安定: ホイールが1kg軽くなることで、高速走行時のタイヤの接地荷重変動が数kg単位で抑えられます。

この「タイヤが常に地面を捉えている=パワーをロスなく伝えられる」という感覚的なメリットが非常に大きいため、ドライバーの体感としてバネ下の軽量化はボディ軽量化の何倍もの影響があると言われる所以かもしれませんね。


ただし、副作用としては上述した反作用になりますが
  • 乗り心地の重厚感(凹凸に対して過剰に反応)がなくなる
  • ホイールが重くなると高周波を打消す作用があるが、それがなくなるのでロードノイズが増える
  • ジャイロ効果が減るので直進安定性が減る
  • バネ下の路面追従性の向上にダンパーの減衰が付いてこない(重いホイールに合わせた減衰だと硬く感じる)

何事にもメリットあればデメリットあるので、そこを理解した上で選択したいですね。ちなみに新車開発においては上記もあって音対策で足回りにおもりをつけた事もあります。
ただ上述したように、ホイール1㎏軽量化すればバネ上2㎏に相当するので、4本とも1㎏軽くすると車重を8㎏軽くしたのと同じぐらい加速に効いてくるイメージですね。


もし上述したような車体の物理学に興味あれば以下の本がおすすめです。




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2025年10月28日火曜日

ストラットだと曲がらない要因

現行車でもスイフトや86/BRZ等、多くの車がフロントサスペンションの形式としてストラット式を採用しています。
ストラット式とは、ショックアブソーバーがナックル上部を支え、サスペンションアームの1部を兼ねている形式になります。


画像はTein HPより

上図のようにアッパーアームをショックアブソーバーが兼ねているような構造です。

現場でよく聞くのは「ストラットだから曲がらない~」という話です。実際には重量バランスや重心、キャンバー変化量等の影響も大きいのですが、今回は「ストラット構造」しかも「フリクション」に注目するため割愛します。

よく気にするのは減衰力とスプリングレートだと思いますが、忘れがちなのはストラットは構造上「ショックが動きにくい」と言う点です。

コーナリング中はアッパーアームを兼ねているため「横力」がショックに加わります。上図で「強度が不足していると破損」と記載されていますが、別の解釈をすると「普通の構造/材質だと破損するぐらい横力がかかる」と言う意味です。
それだけ横からの力がかかるにも関わらず、ショックアブソーバーとして上下運動も兼ねないといけないわけです。

ここまで書けば気づく方も多いと思いますが、それだけ横力がかかる時(≒荷重が乗ってる時)にショックの動きが良い訳が無いのです。

具体的にはハイグリップタイヤを履いて曲がるシーンで、荷重がかかる(≒横力も増える)状態になればなるほど、ショックアブソーバーは動きにくくなり、バリアブルな抵抗が発生します。

様々なストラット車のフリクションを計測した学術文献を拝見させてもらい、絶対値は公開出来ないものの割合だけ計算したものが下図です。



ストラットと言ってもブッシュが硬かったり、特殊な車種もあるため6車種の平均値をグラフ化してみました。
注目したいのが赤で示したストラットの横力抵抗です。ストラット式サスペンション全体におけるフリクションの約半分は横力抵抗という結果が示されています。またこの結果は一定の横力における平均値であり、スポーツ走行で荷重を掛ければ横力抵抗が増えることは想像に難くないです。

結論としてストラット車は荷重をかければかけるほどショックアブソーバーが動きにくくなる≒バネレートが高くなったような動きをするため、コーナーの奥の方でアンダーステアが強まる可能性があります。


また直巻車高調等の車は上記に加えて「スプリングの捩れ」というフリクションも加わります。

着地状態でホイールの間からショックを観察した事がある方は経験あるかも知れませんが以前記載したようにスプリングは縮む際に捩れます。




写真の赤丸ようにスプリングの上下にテフロンシートを履くのがオーソドックスですが、これでも大きな荷重変動がある時は動きにくく「ガガッ」と引っかかる音がします。


これは外からでも音が確認しやすいものです。(動画2秒あたりと6~7秒あたりが顕著にガガッと聞こえます)
こんな状態でセッティングしようにも、荷重によってフリクションが変わり過ぎて沼に陥ります(実体験)。


構造上仕方ない横力のフリクションは減らせずとも、それ以外の要素をいかに低減させるかが意図したサスペンションセットアップに繋がる近道となります。


そこで出てくるのがパーチェ。
これは3次元的にバネの捩れと座面変形を吸収する代物。理論的にもストラットにはコチラがベストと思います。
ただし価格もそれなりにするので、自分は安価な下記を定期的にメンテナンス/交換してフリクション低減してます。

一般的なID65であればコチラ



ちょっと細めのID60のバネの方はコチラ



NTNの方が高品質ですが、スラストベアリングは消耗品と割り切って安価なこちらを定期的に交換してます。
スラストベアリングを付けてからはフロントの動きが劇的に良くなりました。



勿論ダブルウィッシュボーン等のサスペンション形式においてもスプリングのネジレは発生するので有用ですが、特にストラットはフリクションが多すぎるので、より効果的だと思われます。
(ストラット車はキングピン角を簡単に変更出来る&動き方が変わるのでコチラの記事もご参考までに)


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2025年5月2日金曜日

駆動系保護の方法 2

前回の続きで、デフやミッション等の駆動系がブローしてしまうトラブルをどのように回避したらよいのか。
ソリューションとして①滑らす②弱いところを作る以外で、各種業界の取組方法をまとめました。


③エンジンの回転変動を少なくする

これはドラッグレース関連の方では常識だそうですが、エンジン回転数変動をあまりさせないことも駆動系トラブルリスクを減らすポイントだそうです。

具体的にはフライホイールを軽量化せず、あえて重いものを使うそうです。


1速→2速に変速して例えば7000rpm→5000rpmになる場合、クラッチ切ってつないだ瞬間が5000rpmになるのが理想ですが、軽量フライホイールだとエンジン側が例えば4000rpmまで落ちてしまうとエンジン側からは1000rpm分の減速方向、タイヤ側からは1000rpm分の加速方向に駆動系が「ねじられる」形になります。

重いフライホイールを使って6000rpmまでしか落ちなかったら同じように1000rpmの差分があるものの、軽量フライホイールだと駆動系目線で見るとシフトアップする際はつないだ瞬間は減速方向だったのにも関わらず、アクセル踏んだ瞬時に加速側の入力に切り替わるので±の入力で激力が倍増し、ブローにつながるリスクが高まるそうです。


ということで純正より重いフライホイールはないと思うので、駆動系保護の観点で見ると純正フライホイールが一番良い、という形でしょうか。
(ワンオフ等で重いフライホイールを作ってもらう、と言う手もあります)


④ケース剛性

上記③でも記載したように駆動系が「ねじれる」ような入力になること、またミッションは斜めになっている「はすば」構造のため、駆動がかかると離れようとする力が働き、ミッションケース側に入力がでてくるため、ケース剛性が求められます。



上動画の5分あたりから解説頂いているように、スラスト方向にギアが逃げようとするため、ミッションのシャフトを支えるケースの剛性がないと、歯当たりが悪くなってブローする。。。というケースが多いようです。

これを回避するにはミッションケース剛性を上げるしかありません。
ちなみにNDロードスターのミッションケースはNCに比べてかなり薄くつくられています。


勿論、メーカー設計値としては許容される強度を素材含めてOKだからこうなっているのだと思いますが、素人目に見ても剛性なさそうに感じてしまいますね。素人で出来るのは以前紹介したように締結強化ぐらいでしょうか。

ケースを作り直すのは現実的ではなく、ドラッグレース業界等では「ケースをボディと接続する」という方法をとることがあるそうです。

上図はマツダのFR車PPFでの例ですが、赤枠のように前側はエンジンと接続され、エンジンマウントとボディが、後側はPPFとミッションが接続されて「3点で締結」されている状態です。
FFでも3点~4点でエンジンと共にマウンティングされていることが多いですね。ドラッグレースではこの純正のマウントの他に締結箇所を増やしてケースを支えてあげるそうです。


上図は例ですが、緑がボディだとすると、ボディとミッションを青いマウントを追加し、ケースを支える箇所を増やしているようです(締結させる場所もノウハウあると思いますが)


以上が各業界で取り組んでいる駆動系保護の方法でした。
根本的な強化ができれば悩み解決ですが、コストや規則、そもそも部品が無いなど選択肢がない場合に取り組めるいくつかの方法をご紹介しました。
これらを組合わせて駆動系保護を企画してましたが、動いてみて個人レベルだと難しいことを痛感中です。。。

前回の記事や、なぜNDロードスターはブローしやすいのか(その他の車種でもなぜミッションブローしてしまうのか)についてはコチラの記事をご参照ください。


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2025年4月17日木曜日

駆動系保護の方法

どんな駆動方式であれ、デフやミッション等の駆動系ブローというのはスポーツ走行をする以上、リスクはあるものの、車種によって弱い部分が一番被害を受ける(=よくブローする)と思います。

現行車で言うとNDロードスターやGR86/BRZはミッションが、GRヤリスではトランスファーが壊れるような話を自分の周りでは聞きます。特に壊れるのはシフト操作をしてクラッチをつないだ瞬間です。つまり、つないだ瞬間の「激力」を緩和できれば駆動系破損のリスクを大きく低減することができます。
(多くのメーカーでクラッチディスクにダンパーが入っている製品がありますが、この簡易的な機構では吸収しきれてない、ということですね)

ちなみにNDロードスターでは以前触れたようにデュアルマスフライホイールという動くフライホイールを使い、更なる駆動系リスク低減を図っています。


根本的に駆動系強化する以外に、ブローリスク回避にどの様な方法があるなかを素人なりに調べてみました。
長くなるので2回に分けて記載します。



①クラッチを滑らせる

1000馬力も珍しくないドラッグレースにおいて、駆動系トラブルというのは避けられないものですがどのように回避しているのか。
ヒアリングしてみると「スライダークラッチ」という、要はクラッチをわざと滑らせる機構を取り入れているそうです。


クラッチを任意に滑らせて駆動系にガツッと言う「激力」が入らないようにする感じですね。
ただしこのスライダークラッチは走行毎に滑り量を調整する必要があるそうで、一般ユーザーにはハードル高すぎです。


ちなみに同じ「駆動系保護のためクラッチをドンッと繋げない」考え方を量産車で採用してきたのがホンダで、S2000で導入された遅延機構と呼ばれる手法です。


こちらのページに詳細記載ありますが、ドライバーがクラッチペダルを離しても、オペレーティングシリンダーの戻りをゆっくりにしてあげることで、クラッチディスクがドンッとつながらないようにしています。


クラッチフィーリングが悪くなるかもしれませんが遅延機構を入れる、もしくはディスクをあえて滑る(メーカー対応馬力以下)のものにしてあげるというのが、一般ユーザーが取れる手法でしょうか。



②あえて弱い部分を作って逃がす

上記した①の遅延機構は手っ取り早い激力緩和手法ですが、フィーリングが悪くなることもあり、スポーツ走行をするユーザーからは不評なようです。
またドラッグレースと違い、周回レースではシフト回数も多いことからクラッチを滑らせると熱を持ってディスクがゴールまで持たないリスクもあるため、GTやフォーミュラで取入れているチームは皆無だそうです。

それでも周回レースはミッション等が高温にさらされてしまうためブローのリスクはより高く、どのように対策しているかとヒアリングしてみると、交換しやすい部品をあえて「弱く」作っているそうです。


具体的にはタイヤにつながるドライブシャフトをあえて細くしたり、よじれる素材で作っているそうです。
こうすることで、交換が大変&コストの高いミッションを保護しているそうです。


長くなったのでまずはここまで。
コレ以外にも駆動系保護の方法がいくつかあるので次のブログにて。
(NDロードスターがなぜミッション弱いのかはコチラの記事、マツダが純正で入れてきたデュアルマスフライホイールについてはコチラの記事をご覧下さい)



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2024年7月1日月曜日

スピードハックエアについて考察

SNSで「スピードハックエアー」なる「タイヤの空気を入れ替えるだけでワンランク上の性能になる」と言う触れ込みの商品を見つけました。



2024年4月頃からリリースされたようで、公式によると「空気を補充するために特殊なコアを挿入したセパレーターを通してタイヤの空気を入れ替えるだけ」とのことで、もし本当であれば窒素充填やドライエアーにも勝る、持ち運びも可能な高性能エアーになりますね。

公式HPを読込んでいくと「炭化チタンのコアを通過した空気が電磁波や静電気を帯びた空気を活性化し、最終的にはタイヤやホイールにも影響を与える」とあります。



タイヤ空気圧に与える大きな要素として「水分」があり、水は温度変化に伴う空気圧変動が大きいため「ドライエアー」と呼ばれる、水分を除去して充填する方法がF1を始め、レース競技でも使われています。
一方でスピードハックエアーは製品目線で「何に、どのように作用し、どの程度の変化量が生じているのか」が重要なポイントですが、その記載がないので効果含め調べてみました。




まず炭化チタンは文字通り、炭素とチタンを燃焼合成という手法で作るセラミックスで、水をキレイにしたり、空気中の水分をヒドロキシラジカルといった、殺菌性を示す形に触媒するそうです。
(パナソニックは「ナノイー」と呼んで、空気清浄機とかに使われています)

パナソニックリリースより


このヒドロキシラジカルがタイヤの空気圧にもたらす変化については文献を見つけられませんでしたが、そもそもヒドロキシラジカルはかなり不安定な状態のため、こちらの論文によれば寿命としては70ns程度しか持たないそうです。

空気清浄機のように常にラジカルを作り続けるなら効果もわかりますが、一度だけ炭化チタンを通過した空気中のヒドロキシラジカルの存命率はかなり低いと考えざるを得ず、調べを進めるとこんな製品もリリースされていました。


「スピードハックエアバルブキャップ」という商品名で、触媒に使っている炭化チタンをキャップにすることで「バルブキャップがある限りタイヤの中の空気を常に活性化させた良い状態を保つ」ことが出来る、と公式から案内されています。

一見すると理にかなっていると思いましたが、あくまで「キャップ」を炭化チタンにしただけで、「バルブコア(一般的にはムシとも呼ばれます)」ではないので、タイヤ内の空気と触れることはほぼない部品です。


上図で「バルブコア」と呼ばれる部分がタイヤ内の空気を止めているため、バルブキャップをいくら触媒と同じ素材にしてもタイヤ内の空気を触媒できる理屈にはならないため、炭化チタンバルブキャップは客観的に「効果無し」と断言できそうです。



結局スピードハックエアー(ヒドロキシラジカル)がどのように空気圧に作用するのか調査・理解することが出来なかったこと、自分で実験する前に公式に確認してみました。



上図コメントのとおりで入れたら変化を感じつつも、公式としては現状、何も計測したり理論検証はされていないとのことです。


と言うことで、試そうと思っていましたが原理不明のため見送り、手軽で継続的にタイヤに入れられる優れた空気としては、冒頭出てきた「ドライエアー」になると思います。
今はSMCというメーカーから後付け、かつコンパクトなセパレーターが売っているので、こちらをコンプレッサーケーブルに装着することでどこでも手軽に、空気圧変動に一番影響を及ぼす水分量を減らし、F1等でも実績のあるドライエアーを作り出すことが出来ます。


コンパクトな上に手頃なのでサーキット等の出先でも空気圧を保ちやすい空気を作ることが出来そうですね。


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2024年5月1日水曜日

ミッションオイルは腐食する?

以前も触れましたが、ミッションオイル(デフオイル)というのは好みやLSD等との相性もあり、嗜好性が高いオイルになると思います。
一方で、ギアオイルはエンジンオイルとは別にGL4やGL5といった規格が付いています。
これらのGL規格の一般論をベースにギアオイルのデメリット部分をリライトです。
(GL規格とは?はこちらの記事


一般的にスポーツギアオイルとして売られている製品はGL5の事が多く、こんな記事を拝見することが多々あります。


上記の記事のとおりで、GL-5オイルは極圧性能を高めるために添加剤がGL3や4に比べると多種・多量配合されてますが、極端に腐食させることがないよう、バランスさせて市販されているメーカーさんがほとんどです。(この配分でフィールが変わるのは言うまでもありません)


が、

一方で以前、関西のショップさんがこんな写真をアップロードしてました。


これはLSDの釜を撮った写真。
オイルによって腐食してしまってます。残念ながらこのようになってしまうオイルが出回っていることも事実で、「特にGL5がシンクロ等に良くない」というのは嘘ではないですが、腐食することで表面を軟化させてブローを回避している場合もあるので、結局は信頼しているショップさん等の情報を信じて選定するしかありません。


ただし少なくとも純正油がGL-4指定な車のミッションに添加剤が多いGL-5規格のオイルを入れるのはオーバースペックな事がもちろん、劣化しやすいこともあるのでスポーツ走行をしない車には入れないように個人的にはしています。コストも安いことも多いですし。

自分も使っているということもありますが、最近は周りでもLOVCAオイルのユーザーが増え、価格もかなりリーズナブルなので、もし迷われている方は一度ラインナップを見てもらえれば幸いです。

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2024年4月25日木曜日

ニュートラルステアを理解する

昨今、Facebook上でAZUR川村さんやふら♪さんを始め、全日本トップドライバーの方々も提起している「ニュートラルステア」。
概念として「ドライバーが意図した軌道をトレースできる」ように車側を調律することを指しています。


概念は理解できるものの、その調律には「タイヤ空気圧調整は0.1kPa以下」、「前後トレッド調整1㎜以下」の極小領域かつ「車高」等のすべての項目を調律していく必要があるそうで、私自身も含めドライバーがその変化を感じ取れるセンサーを身に着けることは中々難しい(ハードルが高い)と感じています。

一方で、車高や減衰を多少いじっても中々車の変化を感じられない場合、現状その車は「ニュートラルステア」からほど遠い状態であり、いくらセットを変更しても感じにくく、逆に「ニュートラルステア」の車は少しのセット変更で如実に動きが変わるらしく、少しでもその領域に近づくべく、頭では理解したいと考え調べてみました。


まず「物理的なニュートラルステア」とは何か、を調べるとマツダ車で有名なオートエグゼさんのこちらのページがわかりやすく記載しています。



上記HPより

まず「物理的なニュートラルステア」とは、上図のとおり定常円旋廻の状態から、舵角を保ったまま速度を上げた時に旋回半径が大きくなる「アンダーステア」、逆に旋回半径が小さくなる「オーバーステア」、そして車速が変化しても旋回半径が変わらない「ニュートラルステア」と定義されています。

さらに各輪のコーナリングパワー(CP)がバランスするポイントを「ニュートラルステアポイント(NSP)」と呼び、一般の乗用車では、NSPはホイールベースの中心点近辺に存在しているそうです。



そして、このNSPと重心(CG)までの位置関係でステアリング特性が決まるそうです。
一般的にエンジンが前側に搭載されている車はCGがNSPより前側で、旋回中に加速していくとNSPと重心までの距離δと遠心力とが曲がろうとする向きとは反対向きに作用し、前輪のCPがバランスできなくなるとアンダーステアになるそうです。
アンダーステアが出た場合、普通ならステアリングをさらに切り込んでスリップアングルをつけ、CPを得ようとしますが、高速旋回している場合は以前記載したように、切り込み過ぎるとタイヤの限界が訪れるので、切り角もバランスを見ていく必要があります。



上記はあくまで静的に見たときの理論値で、ここから先はさらに「感性的なニュートラルステア」の理解が必要で、上述した「タイヤの限界値特性」や「荷重移動」が加わってきます。
詳細は上記HPのこちらの記事になりますが、数式とかを一切省いて言葉で理解するならば、「前輪と後輪のスリップアングルを一致させる」ことになります。




現実的にはスリップアングルというより、各タイヤが生み出す力を一致させるために前後のトレッド差を0.3mm単位、かつ空気圧を0.05kPa単位で追い込んでいく必要があるようです。
また調べていくと面白いのが制御側でニュートラルステアを実現しようとしている論文を見つけました。制御側で組み込んでくれれば人間側にセンサーがなくとも官能的なステアフィールになりそうですね。

と言うことでニュートラルステアの概念を物理的に少しだけ理解することが出来ました。


これを理解した上でセンサーがない人間でも変化がわかりやすい部分から調整していきたいと思います。


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2023年2月23日木曜日

タイヤ周辺の空力について考える

車において一番空気の流れを乱すのはタイヤと言っても過言ではなく、以前触れたようにメーカー純正状態でタイヤストレーキやフェンダースリットといった機構が付くようになってきました。



フェンダースリット。効果についての詳細は以前の記事をご確認いただければと思いますが、ようはバンパーで取り込んだ空気をタイヤの外側に流すことでタイヤハウス内の空気を引き抜く作用をしているものです。

これまではいかにタイヤハウスの空気を「車の外」に出すかが重要と考えていましたが、乱れた空気は「車の下」に追い込むことも大事なようです。




こちらのページ様によれば、タイヤによって発生した渦によって車体側面や背面の負圧領域が増えないよう、タイヤストレーキ等で車体内側に空気を追いやることが大事だそうです。

そう言われればタイヤストレーキって純正状態では正面から見ると内側にオフセットしている車が多いですよね。



画像はコチラのページ様から。
赤印つけたタイヤの外側にはストレーキがなく、内側へ少しナナメに取り付けられています。

ここまで見てきてフェンダースリットで外側の流速を上げつつ、乱気流は車体下面に押しやることが重要と分かりましたが、現代の車はどうなっているのでしょうか。

90スープラをみると面白い構造をしています。



こちらのページによればスープラではエアカーテンをタイヤハウス内側に設けて乱気流を車体内側に抜こうとしているようですね。

と言うことでエアロダイナミクスは年々進化しているので動きが面白いですね。
ジムカーナや低速サーキットでは効果が薄そうですが、高速サーキットでは効果がありそうですのでダウンフォースは増やせなくても抵抗を減らしたいと考えている方にはヒントになるかもしれません。
久々の考察シリーズでした。


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2022年6月3日金曜日

タイヤとホイールの太さの関係について

前回までの記事では「タイヤの横力剛性にはホイールサイズが寄与」と書きました。

(このブログはリライトです)


その考察をもとに自分で確かめるためにタイヤを組み替えて実験(実走)したことがあります。
内容としてはフロント7.5j、リア8.5jに235/40/17と255/40/17(銘柄はZⅢ)だったのを、フロント8j、リア9j変えたらどうなるか、です。

ダンロップの公式サイトより実タイヤ寸法幅は243、262mmです。
ホイールは1インチ=25.4mmで計算すると

フロント:
 7.5j=190.5(mm)
   ↓
 8j=203.2(mm)

リア:
 8.5j=215.9(mm)
   ↓
 9j=228.6(mm)

になります。この値からホイールの幅とタイヤ幅の関係を計算すると、

フロント:
7.5Jから8Jにした場合ホイール/タイヤ 
 78.39%
  ↓
 83.62%

リア:
8.5Jから9Jにした場合ホイール/タイヤ
 82.4%
  ↓
 87.25%


それぞれ5%程太くなりました。






ちなみにメーカーは235/40/17は8~9.5J 、255/40/17は8.5~10Jが適正となっていますのでそれぞれ

235/40/17  83.62~99.3%
255/40/17  82.4~96.94%

がメーカー指定ホイールサイズになります。大体80~100%ぐらいですね。ここで概ね100%を超えないのがポイントです。
昔のSUPER GTでは330/40/17or18が使われており、タイヤ実寸法幅はZⅢと同じく表記3%増しの339mmとした場合、組み合わされているホイールが13Jなので


13J = 330.2

タイヤに対して約97%の太さのホイールを使用しています。つまりメーカー推奨ホイールサイズの上限値あたりでレースでも使っていることになります。


ただしこれらのレースタイヤはハイトも厚いので一概に同じには考えられないかもですね。。。。330/40/18ってハイトが132mmもあるので、235/40/17の94mmとはエライ違いです。



考察後の運転インプレッションとしては・・・










Σ(・Д・ノ)ノこんなに変わるのか












って感じです。

言葉にすると難しいですが、フロントはスッと舵が利くイメージです。
ただやっぱり弊害もあって、フロントはブレーキロックが出やすくなったし、リアはスタートダッシュやサイドからの立ち上がりがピーキーになりました。


ということで一般的にはにホイールサイズは適正範囲の上限ギリギリのサイズを使うのが良さそうですが、前回の考察のとおり、スタートダッシュ等の縦方向を重視する場合はあえてホイールサイズを落としてみるのもよいのでケースバイケースですね。


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2022年5月24日火曜日

タイヤのグリップについて考察3

前回に引続き、タイヤについての考察です。

今回はタイヤは太ければコーナーが速い(CFが得られる)のか、また縦方向のグリップはどうすれば良くなるのかについて、です。


・太いタイヤは横力に対抗できる?


前回までの考察だとタイヤを太くしても接地面の縦横比が変わるだけで接地面積が変わらない条件で考えてきました。ところが実際は若干変化(面積が拡大)します。

面積が増えるとなぜ速いコーナリングができるのか。

その答えがここのHP様の「タイヤを太くすると何故グリップが上がるのか」を見てもらうと分かります。
このHP様の結論は太くすると最大荷重時の摩擦限界が高くなると言うことです。




太くすると赤い所まで限界が上がる。(自動車を物理する 様より)


300kgぐらいまでの荷重では細いタイヤも太いタイヤも比例的にグリップがあがりますが、そこから先の限界の伸び具合に差が生じます。つまりこのグラフで用いたタイヤで行くと、仮に荷重移動したとしても片輪に300kgしか掛からない車であれば細いタイヤだろうが太いタイヤだろうが一緒なワケです。
逆に太いタイヤを履かせた場合、バネ下重量が重くなるし、走行抵抗増えるし・・・なにより値段が高くなるのでマイナスしかないわけです。



また補足として前回説明したように空気の働きだけを見ると、サイドウォールの厚みが高い方が剛性が高いという理論が成り立ち、トレッド面全体が偏心しやすくなる(タイヤを正面から見たときにトレッド面がホイールセンターからずれる現象)のですが、単にサイドウォールの「ヨレ」だけみると、ゴムなので横からの力がかかった時の変形が大きく、ある程度はサイドウォールを薄くした方がCPが得られるという工学書の実験結果が乗っていました。


また横幅を広くしたときのグリップに関しての補足説明としては、金属やゴムなどの表面は一見平らに見えてもミクロの目で見ると凹凸があって、目で見えている接地面積と、実際に地面にタイヤが触れている真実接地面積は違います。


「車両運動性能とシャシーメカニズム」の図2-66より

実際地面と接している面積は見かけの接地面積、世間一般的に「ハガキ一枚分の面積」よりも少ないという事実があります。
細かいことは省略しますが、ゴムを柔らかくすると地面の凹凸に沿ってゴムが変形するので、真実接地面積が広がり摩擦力が上がるというからくりになっているのですが、真実接地面積も前回の「横滑り角とコーナリングフォース」の図のように、面積と摩擦力が比例関係にあるのは初期だけで面積が大きく(タイヤでいうと温度が上がったりして柔らかくなる)っても、それ以上は摩擦が上がらなくなります。つまり上のHP様のようにある程度まで荷重を掛けるとそれ以上限界は上がらなくなります。

よって熱が入らなくても最初から柔らかいSタイヤはいきなりタイムが出ますし、熱が入りすぎてもグリップが上がらない(タレる)症状が出てくるわけですね。





以上説明してきた摩擦力は接触している物同士の表面の分子の間に引き合う力が働いており、滑らせようとすると「分子間力によるせん断抵抗力」が発生するために生じる現象でした。
しかし摩擦力を生じさせるにはもう一つ「変形損失摩擦力」というのがあります。
これは凹凸のある路面の上を走ればゴムの接触部分は変形と復元を連続して発生し、運動エネルギーが消費されることによって生じる摩擦力です。
つまり縦方向に柔らかくて粘り気のある(ヒステリシスロスの大きい)タイヤであれば得やすい物になります。
具体的にどういうものか考えを進めてみました。








・ゼロ発進におけるタワみの極み

今まで横向きの力に対してどの位タイヤが耐えれるか見てきましたが、この摩擦力(ヒステリシスロス等によって生じるもの)は主に縦向きの力に対してどうかと考えて良いと思います。
即ちサイドターンやゼロ発進時に、どんなタイヤがどの様な特性を持つかと言う事です。


タイヤの地面に触れている所は、外径に対してある一定の割合で潰れて平らになります。(例えば上図の接地長は仮に直径640mmのタイヤの3%とすると60.23mmとなります。もちろん空気圧が一定の場合で考えます。)
接地長というのは細いタイヤの方が長くなるのは前回の通りですが、接地長のタイヤ外径に対するパーセンテージは同じ銘柄、同じ荷重の場合あまり変わらないらしいので大きい外径のタイヤの方が接地長を稼げます。(上の条件だと640mmのタイヤだと60.23mmですが、650mmのタイヤの場合61.23mmになるわけですね。ただ実際は勿論この通りに3%のままではなく、2.998%とかに減るとは思いますが。)


と言うことで同じ太さのタイヤでも外形サイズが大きい方がより接地面を稼げるわけです。軽自動車とGT-Rじゃタイヤ幅も違いますがそもそも外形サイズが全然違うのは接地面積と内空気量を確保するためのようです。

コレを生かした極端な例で言うと、ゼロ発進を重視するドラッグレースカーが太くて外径が大きなタイヤを履いてます。



彼らはヒステリシスロスを最大限に発揮させるためホイールは出来るだけ小さくしてハイプロファイリングなタイヤを履いています。これは縦方向にタワむゴムの領域を広く取ることで、発進時の荷重が掛かった瞬間に縦方向にタワみやすくなり接地長が伸びる=接地面積が増えるようにしているみたいです。
ただ注意しなければならないのは接地長が長くなるとステアレスポンスが落ちますので後輪には良いかもですが、前輪につけるのは??



ということでタイヤを太くしたり大きくすることは確かに速く走る上で効果があるようですが、縦横両方のことを考えると無限に太く&大きくすれば良いわけではなくバランスなワケです。
これらの理論の延長線上に、サーキットを走るハードなチューニングカーではサイクルフェンダーとかにしてタイヤハウスを広げ、太くて大きな薄いタイヤを入れ込んで接地面積を広げ、縦にも横にも限界を上げているのでしょう。。。が、一般的な公道を走る車や公認競技に参戦するのであればそこまでできませんよね・・・ってことで




結論

普通にスポーツ走行をするには
太くてもダメ、細くてもダメ。ちょうど良いあんばいが一番いい。





前ホイールを18インチにしてステアレスポンスを、後ろを17インチにしてスタートダッシュを得ると言うSUPER GTがよくやっているセッティングもこれらの理論から「アリ」と判断できるわけです。
ただ一般車競技をする上でタイヤの太さ、大きさなんて同じ車種、同じクラスであれば大体一緒ですし、銘柄まで一緒なことが多いのでアドバンテージにはならないですが。。。

じゃあどうすれば良いかと前のブログに書いたホイールサイズを変更してあげるか、タイヤを上手く使いきれる線形内に収まるよう「荷重移動を少なく」して、4輪へ均等に仕事させるようにすれば効率よく車全体でCPが得られることになります。

荷重移動を少なくするにはトレッド、重心、重量などを考えればいいのですが非常にメンドクサイのでまたいずれってか上記のHP様に詳細に載っているのでそちらをご覧下さい。
GT、F1などは上記の「トレッド、重心、重量」どれを見ても「広い、低い、軽い」を追求している所からもその重要さが伺えます。またそれに伴ってアームの構造も素晴らしいですよね。



タイヤの構造からくる大まかな特性をまとめたシリーズでした。次のブログでは続いて上記の考察に基づいた実験の結果、体感について記載していきたいと思います。


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2021年10月23日土曜日

PCVバルブの作用について

PCVバルブとはエンジンのスロットルより後ろに繋がるブローバイ配管内に設置されている逆流防止ワンウェイバルブのことで、最近質問いただくことも増えてきたのでリライトいたします。




①PCVの配置

エンジンは動いているときはブローバイガスと呼ばれる、燃焼室から漏れ出たガスとエンジンオイルミストが混ざり合ったものが必ず発生します。


こんな感じですね。

このブローバイガスというのは未燃焼ガス等が含まれており、エンジンオイルの劣化を促進させてしまうので速やかに排出させることが求められます。
以前ブログを書いたように、ブローバイガスはスロットルの前と後の2系統の排出系統を持っており、おおざっぱに言うと「アクセルオフの際はスロットルより後ろ側から、アクセルオンの時はスロットルより前側から」ガスを排出しています。スロットルより後ろにつながるホースはエアの噛みこみを防止するためPCVバルブと呼ばれる、ワンウェイバルブが設けられています。


エンジンルームの


インマニに繋がる、こちらのホース。


根元に黒いプラスチックがいますが、これがPCVバルブです。
ちなみに社外のワンウェイバルブをつける方もいるそうですが、こちらのページにも記載されているように、一般的には液体の圧力でしか開閉しないので、PCVとして使うと不具合を起こす可能性もあるそうです。



②PCVの役割、効果


2系統を用意することでアイドリング状態でもクランクケース内に常にフレッシュなエアを送り込むことができ、エンジンオイルの寿命を延ばすことができるようになったのだとか。(最近は1万キロ以上無交換というのも聞きますね。)

さらに副次的な効果として、ブローバイガスがクランクケース内に溜まったままだと圧力が高くなってピストンが動きずらくなる=エンジンの出力が落ちるので、クランクケース内を負圧にしてあげることで出力向上にも買っているそうです。



③PCVバルブを塞いだら?


メリットばかりに見えますが、デメリットもあります。
アイドリングや街乗り程度の負荷だとPCVバルブ側からブローバイガスをメインで吸い込むため、インマニや燃焼室がドロドロになりやすいという点があります。
そのためしばらくPCVバルブを塞いでスロットル前側のホースだけにし、キャッチタンクを付けることでガスを可能な限り吸わせないようにしていました。




メクラキャップを使ってPCVバルブとインマニ側の入り口を塞いでました。

ところがアクセルオフの状態ではブローバイガスが溜まりやすくなるため、アクセルオンした瞬間に一気に吸引してしまい、白煙を吐きやすくなってしまいました。
例がこちら。




アイドリングで溜まったブローバイガスが、アクセルオンで一気に吸引されてスタート直後はすごい白煙を吐いています。
とは言えここまで白煙吐くのは競技のような全開走行時だけで、普段は離されているためか、以前よりキャッチタンク油量が増えていたので「エンジンにブローバイガスを吸わせたくない」という目論見は達成されています。(なおエンジンオイルの劣化が進みやすくなるデメリットがありますが、そもそも競技2~3回に一度、500km程度で交換しているのであまり気にしてませんでした。)

この状態で4年ぐらい乗っていましたが、特に最近オイル粘度を変更したこともあってかスタート時の白煙が上記の動画のように増えてしまったので周りから「タービンブローしてない?」的なツッコミが増えてしまいました(笑)


④PCVバルブを戻したら?


上述したようにバックミラー越しに白煙が見えるねは精神衛生上あまりよろしくないので、ブローバイPCVバルブ系統を復活させてみたところ、先日のブログで上げた競技走行の動画をみても白煙が如実に出なくなりました。

また驚いたのが、競技走行時にはあまり感じませんでしたが、普通に坂を重めのギアで上っていたところ、PCVバルブを殺していた時より気持ちトルクがあるような気がしました。(プラシーボ?)
もしかしたら微々たるものかもしれませんが、街乗り時のようなあまりスロットルを開けてない状況において上記したクランクケースの内圧が下がったことによる副次的な効果かもしれません。

定量的に示せる変化としては、PCVバルブを復活させたことでアイドリング回転数が70~80rpm上昇しました。つまり70~80回転分PCVバルブから空気を吸えるようになったのでしょう。

メリット・デメリットありますが、結局純正の2系統のブローバイホースがあった方が良いような気がします。一方でインマニがブローバイで汚れやすくなるので定期的にエンジンコンディショナーやワコーズのRECSを実施すれば良いのかもしれませんね。
エンジンコンディショナーやRECS、燃料添加剤であるフューエルワンのデメリット、注意点について調べてみましたが、またこちらのブログにて。


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2021年8月16日月曜日

アルミホイールナットの強度について

バネ下の軽量化はとても重要で、ホイールのみならずナットも軽量化される方も多いと思いますが、特にアルミのホイールナットは以前も触れたように、強度的に不安な部分がありますが、こんな投稿を見かけました。


 

単位が違うところが気になりますが、要はアルミであればA7075-T6という超ジュラルミンでギリギリという考察をされています。

やはりホイールナットはアルミを使うのであれば使い捨て、できればチタンもしくはクロモリ等の強度があるナットを用いた方が良いのかもしれません。



この手の大手のKYO-EIやDIGICAMも基本的にはクロモリやチタンを推していることからも、リスクを考えるとアルミは避けた方が良いかもしれませんね。


金額だけ考えるとクロモリの方が現実的ですね。

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2021年6月8日火曜日

ターボ車のレスポンスアップ加工

先日インタークーラーの加工についての記事を見かけたのでリライトです。 

 ターボ車はタービンで加圧されて熱くなった空気をインタークーラーで冷却させ、酸素の充填効率を向上させています。
以前少し考察させていただきましたが、このインタークーラーというのは圧損が生じてしまうのでパイピングを短くしたり、インタークーラー自体を小さくする(水冷式にする等)ことで効率を上げているようです。

チューニング業界では調べてみるとこのように空気の入口側をテーパー加工することで圧損を低減させるという記事も散見されてきました。


これが元の状態。これが下記のように


テーパー加工して入口を広くし、圧損を減らすような加工をしています。
ばくばく工房様より。


このような加工がアフターパーツや加工では一般的です。

またこちらの方は水冷式と一般的な空冷式における流入空気温度の差を検証されていました。


シルビア系でやっている方は少ないのではないでしょうか。
この方の検証結果を見る限りある程度速度が出ている状態、つまりグリップ走行であれば空冷式でも問題ないように感じられます。
(ドリフトで横向いている場合は効果大だと思います)

最近のターボ車はエンジンルームのレイアウト自由度が高いことから水冷式が増えているようですね。




では空冷式でテーパー加工、インタークーラーを小さくする以外に効率化することは出来ないのか。
とくに改善点として注目したのが「アクセルオンした瞬間のレスポンス」です。

これを改善するためにインタークーラーだけでなく、パイプレイアウト全体で考えて見ます。


画像はネットの拾い物です。
インタークーラーは空気の通り道における冷却装置でありますが、一方で網戸のように空気が通りにくくなっている渋滞ポイントにもなる、というのは以前のブログのとおりです。

上記に付随して過給が始まる前の状態、例えばアイドリング状態からアクセルオンした瞬間は「スロットルが空気を吸う⇒エンジンの回転数が上昇⇒タービンが回転し始める」という工程を踏み、空気を吸いたくても通り道に網戸(インタークーラー)があるため吸いにくく、回転数上昇を阻害している可能性もあります。
(低回転における吸入程度ではあまり影響無いかもしれませんが)

アクセルオンの瞬間のみに着目すれば構造的改善策がありますが、長くなったので今回はこの辺で。

2021年5月31日月曜日

キングピン角の作用ついて

今回はキングピン角(別名S.A.I)の話。

前回のブログの続きで以前のリライトですが、どうやったらハンドリングを良く出来るのか考察を進めていくと、キングピン角も1つの重要な要素という事が分かりました。


キングピン角の概要はこちらのHPコチラのHPに良くまとまってますね。

上記のHPの中で注目したいのは「キングピン角があると、ハンドルを切るとタイヤの軌跡が車体を押し上げる方向に動く」という所です。


コーナリング中、外側のバネは縮んでても、ハンドルを切れば切るほどタイヤだけ下方向に動き、結果車体が浮き上がるという現象が生じてしまうわけですね。

キングピンアングルによって持ち上げられる車高よりもバネの縮みの方が大きければコーナリング中のフロント全体の車高は下がります。(バネの縮みよりキングピン角によって持ち上げられる方が大きいという事はよっぽどバネが硬い場合だと思いますが)

よってフロントストラットの車でよくありがちなピロアッパーによってキャンバーを変化させたり、キャンバーボルトを使ってキャンバーを変化



こんな感じでネガティブ側に調整するとキャンバーと共にキングピン角も大きくなってしまうわけですね。
キングピン角よりもキャンバーのほうが実変化としては大きいと思うので、結論としてあまり気にする必要は無いかと思いますが、もし気になる場合でストラットの車はキャンバーボルト側で調整すると良い、と言うのも以前記載しました。

続きは今回も長くなったのでこの辺で。

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2021年5月13日木曜日

スクラブ半径について

以前の記事のリライトですが、スクラブ半径について。
まずスクラブ半径とは何ぞや?ですがコチラのHPに良くまとまっていますね。





小技紹介 様より引用


ワイドトレッドスペーサーやオフセット(インセット)値が小さいホイールを付けるとトルクステア(キックバック)が発生してしまうのはスクラブ半径が大きいことが原因のようです。
更にその影響で、テンションロッドやハブベアリングへの負担、直進性への不安(2枚目)も抱えやすくなり、ワイドフェンダーな方々のピロアッパーやハブベアリングが逝きやすくなるのは必然のようです。


上記のHPで一番気になったのがこの記載。


一般的な市販車であればスクラブ半径はポジティブなのが一般的なようです。
勿論自分が乗っているS15もポジティブです。
上図の赤印のところの「旋回時に加速するとフロントは外側に向かおうとする」とありますが、S15はこの動きが顕著に感じます。
クリッピングについて加速しようとすると大きく外側に膨らみがちで、綺麗に立ち上がれません。
ともすると、単純に考えればスクラブ半径を小さくすれば良いとなります。


S2000やアルテッツァのホイールは+50とかありますが、これによってスクラブ半径が小さいので、キビキビとしたハンドリングの一要素になっているものと思います。




ただ一概にスクラブ半径を小さくすれば良いということも無くて、下図のとおり
画像はコチラのHP様より

スクラブ半径が増えると、外側のタイヤの実ホイールベースが長くなり、逆に内側はホイールベースが短くなります。

では上記を踏まえてドリ車ですごいオフセットのホイールを履かせているのに、初期の反応がいい車があるのはなぜなのか。スクラブ半径だけでハンドリングを考察しましたが、フロントタイヤの動きにはスクラブ半径だけでなく色々考えなければならない要素があります。

が、長くなったので今回はこの辺で。

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