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2019年2月12日火曜日

ベルハンマー(ナスカルブ)等の極圧剤におけるデメリットについて


前回のブログの続きで、エンジンオイルやミッションオイル、デフオイルに入れたりする添加剤(極圧剤)について。




極圧添加剤について調べを進めていくと、ベルハンマーや、ベルハンマーの製造元であるナスカルブに含まれる塩素(塩素化パラフィン)というのが金属を腐食させてしまうという記事を見つけました。



またこちらのページでは、オイルを作られている方がこんなコメントをしています。

ナスカルーブ(同製品にベルハンマーがありますが、製造元>製品は同じと思われます)は、典型的な塩素化パラフィン(塩素系極圧性剤の中でも一番作用が強い塩素系極圧性剤)で、そのことはメーカーも認めている要です。
(ただ、かなり強引といいますか歪曲したアナウンスをしているように思います。)

塩素化パラフィン(※以下塩パラ)を初めとする塩素系極圧性剤は、僕ら専門職はかなり否定的です(全く否定といっても良いです)
僅かなメリットに対して、深刻なデメリットが多すぎること。
法的に厳しく一般販売が規制されている(禁止されている)こと。
以上から、僕らが手を出したりすることは、全くありません。

この辺は、順を追ってきちんと説明していけばご理解いただけると思うのですが、膨大なボリュームになってしまいますので、要点(ポイント)だけ挙げておきます。

■メリット
・高い速効性
・高い洗浄性(>▲実際は、「脱鑞作用」という剥離剤作用に近い作用になります。)
・高い極圧性
・「ストライベック曲線」での、境界潤滑ポイントが30~50%左に延長される。また、その分、EHL領域~境界潤滑までのカーブが寝る(>ここのカーブが寝ると、手回し等の無負荷or無負荷に近い加重条件下では、非常にμ(摩擦係数)が下がったような体感フィールになります。フッ素等の固形潤滑(物理潤滑)も同じことになります。)
・極圧性が向上することにより、ギヤやチェーン等の駆動音は、かなり低減される。

■デメリット
・高極圧性基剤や極圧性剤の濃度を上げる(過多になると)と、その他に配合されている添加剤類の性状がかなりスポイルされる。塩パラの場合はかなり作用が強いため、全くに近いレベルまで作用しなくなります。
・深刻な膨潤性>樹脂やゴム類に対して、激しい膨潤作用がある。
・緩衝作用は高いが、作用のプロセスとして、通常FM剤配合品の数倍から十数倍磨耗する。
・誘錆性が、塩水の数倍~十数倍高い
・μ(摩擦係数)は、下がらない。むしろ上がってしまう。
・一度でも付着してしまうと、除去することが非常に困難(≒過去にたった1回使用しただけで、実質的にリカバリーは不可能になります。)
・法的に、厳しく製造/販売が禁止されている(>ユーザーに対しては、モラル上の問題だけになると思いますが、空き缶を一般家庭ゴミとして出せない(償却するとダイオキシンが発生してしまうから)>日本に数箇所しかないダイオキシン処理施設に廃棄しないと行けない。>これが、実質禁止されている理由だと思います。)


ナスカルーブ等の塩パラ製品を使用すると、速効性も高いですし、ギヤ鳴りもかなり減少するはずですし、軽い負荷(ペダリング)では軽くなったように感じるはずですから、かなり効果的と受けとめてしまうはずです。

ただし、高負荷条件になるとμが下がっているわけではないので、強烈に出力損出(≒要は脚が食われれる)ことになってしまうんです。
あと、室内保管していても、直ぐにオレンジがかった赤色(黄色)に全面に錆が生じるはずです。(>赤錆状というより、全体に色が変色するような感じですね。)






という記載がありますが、一方でナスカルブを作っているメーカーの化研産業はこのように回答しています。


Q:ゴム、プラスチック製品に対して塩素系添加剤の攻撃性を懸念する声があるが?
A:塩素の影響に関して間違った情報であると思われます。
塩素が、ゴムプラスチックに影響するのではなくオイルそのものが影響するのです。
その証拠にプラスチックなど成形品の洗浄に塩素系の溶剤が使われたりします。
(別紙:NASKALUBのプラスチック及びゴムへの影響
それと、オイルに添加される塩素という物は塩化パラフィンの形で添加されており、 これは、オイルを低温で焼却した場合ダイオキシンなどの発生が懸念され、有害物質として扱われましたが、 これに関しては塩化パラフィンのメーカーなどが猛烈に反発し、炭素量の多い塩化パラフィンは有害物質から除外されています。
つまり、塩化パラフィンそのものは非常に安定性が高く安全と言うことです。




さすが製造元、ダメなゴム一覧がベルハンマーと一緒ですね(汗)
天然ゴムには可逆性があるようですが、車のシール類によく使われているニトリルゴムとかには影響ないみたいですから、エンジンやミッションに入れてもそこまで気にする必要はないかと思います。
(古い車や一部の車は入れないほうが良いです)


とは言え、一度「腐食」という言葉を聞いてしまうとマイナスなイメージしか浮かばないですが、実は現在市販されているデフオイルに代表される極圧剤が入ったオイルは金属を「腐食」(表面を軟化)させることで極限の状態のときに「潤滑」させて、焼付を防止しているそうです。



なのでここで気になってきたのは



「どの程度腐食してしまうのか。それは可とする程度なのか。」




また上記のとおり超極圧(境界潤滑領域)においては、この腐食による表面の軟化が潤滑作用として働いているので一概に「悪」と考えるわけにもいかないような。
また腐食といってもどの程度腐食してしまうのでしょうか。調べてみましたが、また長くなったので次回のブログにて。



(2019.2.25追記)
追加情報として、元々ベルハンマーはナスカルブを生産していた化研産業で生産していたようですが、現在の製造元は違っており、成分も変わっている旨の記事をみつけました。
ただ上記したゴムに対する攻撃性一覧や腐食テストの公表結果は変更されてないので、そこまで大幅に変わって無いものと思われます。



他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


What is engine oil additive?? Is it good for metal surface??

2 件のコメント:

  1. だったら某社の特殊鋼SLD-MAGICのほうが自己調節機能が表面に働いていて、腐食摩耗を抑止するし、そもそも潤滑循環システム全体に広がる油中添加剤よりも安全性が高い。しかも廃棄処理でSOxがほとんどでないのであれば、鉄鋼材料中に添加剤を入れるのが合理的。

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  2. たまたまたどり着きました。
    炭素量の多い塩素化パラフィンは毒性が強いか弱いか環境負荷等はハッキリと分かっておらず、国連・US/EU等は良く解らんので様子見(ある程度は規制)というスタンス。
    日本はよそに比べ規制等は遅れてるのでなんとも言い難い。
    塩素化パラフィンをすべて置き換えるとなるとコストが結構凄い事になるので、まぁ各国大人の事情でいい感じの規制になってます。

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