ヴァリノからリリースされたVR08GPについて、一足先にテストの機会を頂いたのでインプレッションです。
結論としては暖まれば71RSあたりのタイヤで、サーキット周回用と言ったところでしょうか。
タイヤはハイグリップ化が進み、シーランド比(溝と接地面の比)を維持しつつ、柔らかくなったゴムを支えるべくトレッド剛性確保のため、縦溝2本が内側にオフセットした形のタイヤが増えています。ヴァリノのVR08シリーズはこの考え方を踏襲したパターンになっていますね。
事前にβテストで導入されていた
VR00βの評判が高かったのでジムカーナと言う、ドリフト競技と同じように冷間時の性能が試される使用方法でテストしてみました。
今回の記事は製品の出来栄え(品質評価)と、ジムカーナ走行3本走行時のグリップ評価の2本立てで行きます。
1.品質評価について
縦溝(センターグルーヴ)が内側になり、左右非対称になるとウエイト面でアンバランスになりがちですが、このVR08GPは設計が良いのかタイヤバランスも良く、4本共にほぼ同じような回転バランスだったのでバラつきも少なく、製造精度もかなり高いものと思われます。
バランサーにて測定しました。
真円度は目視でしか確認していませんが、上下動が少なかったので問題無しです。また左右方向のウエイトバランスも、10~20g程度のウエイト調整で合うので国産タイヤと比較しても遜色ないレベルですね。
これは製造精度は勿論、タイヤ重量そのものが軽くなった恩恵が大きいのでしょう。ぺルギアシリーズは
欠点として挙げたようにタイヤ自体が重く、ウエイトバランスはそれなりに貼らないといけなかったですから。
お話聞いてみると、このタイヤの設計をされた方は実績ある方みたいで・・・なるほど、納得の仕上がりです。ただ軽量化のためにリムガードもないので、ホイールが傷つきやすくなる点は注意が必要ですが、国産のハイグリップタイヤ同等の重量レベルに仕上がってます。
2.グリップ評価について
ドライコンディションにおいては、かなりのハイグリップタイヤと言えますが、熱が入るまでは
ぺルギアシリーズと比べると時間がかかります。
特に冷間スタートにおける前後方向(主にブレーキング)が難しいタイヤと感じました。
理由としては「内側と外側の熱の入り方に違いがあり、動き方に差が出てしまうため」です。
青で示した内側は横方向には狭く、縦方向には深い溝があってトレッドが動きやすく、熱が入りやすい
内側は細い&深い横方向の溝もあるためかなり暖まりが早く、逆に外側はブロック剛性が高いため暖まりにくいです。実際1分程度の走行で内側と外側で10℃前後の温度差が生じていました。
この状況でブレーキングすると内側の接地面はグリップして止まろうとするのに、外側の接地面は滑るという状態に陥って、ブレーキング時にタイヤが左右方向へジャダーが発生するような挙動を示しました。
評価時は外側が皮がむけ切っていないという事もあるかと思いますが、剥けたとしても冷間スタートでのブレーキ挙動は注意しておく必要がありそうです。ただサーキット走行するのであれば、ウォームアップ走行で外側まで均一に暖めれば解消するであろう気はします。またキャンバーセッティングがかなりキモになるタイヤです。
温まればはコーナリング速度も外側のトレッド剛性のおかげもあって速いですが、サイドターン明け等の、縦方向の加速が苦手です。限界挙動はドリフトタイヤを開発されてるだけあってとてもコントローラブルです。(PERGEAシリーズはラリータイヤみたいに滑ってても舵が効くイメージ、VRシリーズは一般的な滑り挙動ですが、その幅が広め)
なので路温と路面にもよるでしょうがタイヤにあわせた走らせ方&セッティングをすれば、サーキット周回タイム的には71RSあたりのハイグリップに迫れるレベルであると感じました。もっと路温が下がるとダメかもしれませんが…。
解析すると、この気温で前半、特にスタートダッシュがぺルギアから若干遅れるぐらい内側のヨレはデメリットでもありつつ、メリットにもなりそうです。
例によって前半と後半でフィールが違いすぎてドタバタしてますが。
と言うことで全体的には品質込で、前作のPERGEAシリーズからの進化具合が凄いので良い方向に驚きました。
VR08GP |
インチ | サイズ | 価格 |
18 | 315/30/18 | |
295/30/18 | |
265/35/18 | |
245/40/18 | |
235/40/18 | |
17 | 255/40/17 | |
245/40/17 | |
225/45/17 | |
大事なポイントですが18インチでもこの価格で、国産タイヤの半額以下なので、高いタイヤを減るまで使い続けるより、安価なフレッシュタイヤを常に使うと言う選択肢もありですね。
今回のインプレ第1段は「冷間時のブレーキングに気をつけろ」という話でした。
次の記事で空気圧やトレッド温度依存性あたりについて触れてみたいと思います。
他の記事をお読みになりたい方は↓のラベルや関連ページ等からご参照ください
I tried and review of VR08GP, new product of VALINO TIRES. Which makes good rap time but have some issues.
https://outlaw-atsu.blogspot.com/2020/11/valino-vr08gp.htmlVALINO VR08GPのグリップ評価
0 件のコメント:
コメントを投稿