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2019年9月23日月曜日

インタークーラーの仕組みと圧力損失について実験してみる

インタークーラーの圧損について考察した前回の続きで、考察に基づいて自分で買って実験してみました。



奥が今まで使っていたトラストのスペックLS、手前がHKSのSタイプです。
明らかに小さくなりましたし、軽くなりました。
コアに繋がるパイプの刺さり口も斜めに付いていて効率が良さそうです。

そして一番気になる内部構造ですが


コチラがトラスト。フィンの目が細かく空気が良く冷えそうですが、向こう側が見えないぐらい混み合っていて圧損率が高そうです。





コチラがHKSのSタイプ。
向こう側が透けて見えています。おまけにテーパー形状をしており熱交換効率は悪そうですが、圧損は少なそうです。
ためしに両者にコンプレッサーで空気を吹き込んでみましたが明らかに反対側から出てくる空気の圧力に差が出ました。勿論HKSの物の方が勢い良く空気が出てきます。冷却効率については自分のお手手センサーでは感知できませんでした(爆)




装着。トラストより3~4cmステーが長く、前側に出てくるのでレインフォースを切断したり、バンパーを削ったりで大変でした・・・。

でも効果は歴然。レスポンスが全く違います。
スタートダッシュ、サイドターンからの立ち上がりが早くなってしまい運転の仕方まで変える必要性が出てきました(汗)


とまぁ色々社外品を見たり実験したりしてみたのですが、それぞれに一長一短があるので「冷却効率」と「圧損」のバランスをどう取るかで選んでみると良いのかもしれません。

でも大きいインタークーラーにしたとしても上記した小さな努力をすることである程度は圧損率を低くする事ができる訳ですね。
もし現在のインタークーラーの熱容量には満足しているけれどもレスポンスが・・・という方は一回インタークーラーのコアを取り出してテーパー形状にすれば改善されると思われます。
アルミ溶接できないとですが(^^:)

今回は考察と言えるほど深い内容ではありませんが、一昔前のターボ車に乗る上で避けては通れないターボラグ改善の糸口の1つであるのではないでしょうか?
ちなみにインタークーラーの中はブローバイガスで汚れると冷却効率もレスポンスも落ちるので定期的に洗浄することをオススメします。


ちなみにHPIの製品の中身を見せて頂く機会があったのですが、写真を撮り忘れたので簡易的に描いてみました。


先に使ったこの写真は上のHKSのインタークーラーを黒矢印のように横方向から覗いたものです。これを赤矢印のように上から覗いた時の模式図を以下に示します。


コレがHKS。分かりますかね??
HPでも説明されていますが、加給された熱い空気が入ってきて三角形のフィンに入ってストレートに出て行くのを表したもの。


コチラがHPIのTYPE-WFシリーズのフィン構造。TYPE-OFシリーズはトラストなどと同じなので注意です。
この様にかまぼこ型の入り口になっていて、中がウェーブ状に空気が通ることで冷却効率をアップさせようと言う物。
また図だとなっていませんが、このかまぼこ型の入り口はHKSより1.5倍ほどの面積があり、一つ一つのフィンの口径を大きくする事で空気の通りを良くし、軽量化しているとの事。
実物を見る限りHKSよりフィン口径が大きいので圧損少ないのかなぁ?と思ったりしましたが、ウェーブ状になると言う事は空気の経路が長くなってしまうと言う事と、空気が触れる面積が増えれば増えるほど乱流が発生するリスクが増えていく=圧損していくので結局微妙なような気もします。メーカーの人は1000馬力も大丈夫と言うぐらいなのだから相当の冷却効率なのでしょう。(冷却効率と圧損は上記したように、ある程度トレードオフなのでこのコアのレスポンスは??)

ドリフトやられる方には軽いですし、冷却効率は良さそうなので気になる商品なのではないでしょうか?
逆にHKSは経路がストレートで短く、フィン面積も狭いのでレスポンス重視なのかなぁ?

以上、参考になればと思います。

(続編として圧損はそのまま(インタークーラーはそのまま)にアクセルレスポンスを改善できないか考察してみました。)


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。



What is the structure of charge air cooler?? How to reduce air pressure loss??

2019年9月21日土曜日

インタークーラーの仕組みと圧力損失について

今回はターボ車とは切っても切り離せないインタークーラーの話。
(この記事は以前のリライトです)

競技をしていて「もう少し早くブーストが掛かればいいのに」と思うことが多々ありました。この「ターボラグ」はブーコンの設定やアクチュエーター、更にはタービンの大きさや羽の形状によってコントロールする事が出来ますが、大きな要因の1つとしてインタークーラーが関係しています。


考察を始める前にまず基本として、ターボの仕組みは最近紹介された以下の動画に良くまとまっています。




なぜタービンで圧縮された空気を冷やす必要があるかというと、wikiによれば

過給機付きエンジンは自然吸気より圧縮比が低くするため効率が下がるが、インタークーラーによる吸気温度低下に比例し圧力が低下する(圧縮空気の密度は変わらない)ため、そのぶん圧縮比を高く設定出来る。

とあります。つまり冷やして空気密度を上げる=単位容積当りの酸素濃度が増えるためパワーを出す事が出来るわけです。


しかしこのインタークーラーを設置するためにはパイピングが長くなってしまい、空気の圧損が生じてレスポンスが悪化します。

これを解決するために上記のwiki内でも登場したフォルクスワーゲンのTSIエンジンではコチラのHP様の「新型TSIエンジンの構造と特徴」という項に載っているように、パイピングを短くしてインタークーラーを小さい物にしています。短く小さいインタークーラーによって冷却効率が落ちた所は水冷式にして補っています。

この様に短く小さいインタークーラーにすればスポーツ走行において重要な低速からの立ち上がりが良い、(レスポンスが良い)吸気環境を構築する事が出来るわけですね。故に純正の小さめのインタークーラーがレスポンスが良いと感じるわけです。

しかしながら小さめのインタークーラーだと冷却効率が悪く、ジムカーナと言えどすぐに熱ダレしてしまいます。(夏場は特に)
そこで登場するのが社外品。様々なメーカーから色々な種類が出ています。しかしながら上記の理論より社外品の大きなインタークーラーだとレスポンスが悪化するのは必至です。

じゃあ純正より冷えてレスポンスが良い物はあるのか、現在発売されている空冷式インタークーラーについて調べてみました。


まず一般的なインタークーラーの代表例としてトラスト社のスペックLS。
ちなみに以前自分がつけていた製品です。




このサイズはタービン交換車やサーキット連続走行、ドリフト走行時には冷却効率が良くて重宝しそうですが、純正タービンでジムカーナをする車にランエボ並の大きなコアはいらないです(笑)
しかもこのコアが重たい・・・。車の一番鼻先についている部品が重いというのは厄介です。それにS15はリアが軽いのでフロントの軽量化が必須です。

なによりサイドターンなどの立ち上がりでブーストが掛からず、モタつくのはコイツの圧損が大きいことが一因として考えられます。






じゃあこの圧損とはそもそも何故発生するのか。

圧力損失について記載された良いHPが今は閉鎖されて見れないのですが、空気の通り道が曲がったり乱流を起こすと圧力損失していくと記載がありました。

つまり空気の通り道にインタークーラーのように曲がりやフィンがあって空気を乱すような障害となる部分が多いと損失が大きくなるわけです。だから純正より大きなインタークーラーにすると冷却効率がアップする代わりに圧損するためレスポンスも悪くなりますし、ブーストを制御しないまま純正と同じ設定で乗るとピークブーストが下がってしまう訳です。

ではこの圧損を防ぐ方法は無いのかと言うと、勿論コアを小さくして抵抗を減らす事も1つですが、コチラのHPでやってらっしゃるような事をすると圧損を減らす事が出来るわけです。
(⇒続編でインタークーラーの圧損はそのままにアクセルレスポンス改善できないか考察してみました。)


一見すると当たり前のようなことですが、意外とこの「小さな努力」をされている製品は少ないようです。
それらの事や、重量を踏まえて各社のインタークーラーを比較してみました。

メーカーとしては

・トラスト
・BLITZ
・HPI
・HKS
・ARC

などが挙げられます。自分のは純正タービンなのでそれぞれ一番小さいサイズのコアを検討しました。


まずHPIとBLITZはドリフトマッスルで常勝している友人に聞いてみたところレスポンスが宜しくないみたいなのです。考えられる理由としては、これらのコアの中は、フィンが2層構造(オフセット構造)を取っており冷却効率は高いのですが圧損が大きいためだと考えられます。(HPIはOFシリーズのことを指してだと思います)
トラストの製品は1層との事ですが、フィーリング的には似たような物と言う話なので一番知名度が高いトラストのスペックLSで詳細を検討。



コアの内部


ドリフト天国より

形状も一般的ですね。
こちらのコアは600×280×76mmと大きめで、重量約6.2kgですが定価も5万400円と手頃です。



また一方で彼曰くARCの物が一番レスポンスが良いということでした。


レスポンスがよい原因は何なのかと調べてみるとHPには



こんな形で上記のバクバク工房さんのHPで紹介されているような形状をしており、トラストと比べると明らかにインナーチューブに空気が流れやすそうです。
コアサイズはGT-Rやランエボと同じサイズで5.9kgと、コレぐらいのサイズの中では確かにレスポンスも軽量化も両立できているので¥165,900円という値段は高いですがクオリティも高いですね。
ただS15にしてはデカイことは間違いないので、いくらこのサイズにしてはレスポンスが良いと言っても純正に比べると・・・な気がします。



そして使っている人が少ないので分からないと言われたHKS。Sタイプのコア。

サイズは600×244×65mmと他のメーカーに比べて圧倒的に小さいです。
インナーフィンの形状はHPに


こんな絵が載っていたのですが、正直これだけだと良くわかりません・・・。ただコア重量は4.5kgという回答でなかなか軽いです。調べてみるとHPIの製品は5kg位でそちらも軽いのですが、上記したようにインナーが2層構造ということで圧損が大きそうです。
このHKSは1層構造のストレート形状の上、価格も¥98,000円というARCに次ぐ高価格ということで小さな努力を期待しても良さそうです。

また小さいと言えど、500psのD1タービン交換車でも装着している車両がいるのでそこまで冷却効率も悪くないんではないかと考えられます。




と言うことで、これらの考察に基づいて自分で実際に実験してみましたが、また次回のブログにて。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


What is the structure of charge air cooler?? How to reduce air pressure loss??

2019年8月31日土曜日

マフラーの音質について考える3(マフラーサウンドのチューニング)

以前ブログでマフラーの音質について考えてきました。
かなり前に書いたブログですが色々なところで引用頂いているようで、自分のブログを参考にマフラーを市販化したブランドさんもあるようで。
サンプルに自分のマフラーも作ってくれるとありがたいですが(笑)


さて、マフラーの音は人によって好みは千差万別だとは思いますが、やはり求めるゴールと言うのは一昔前のF1サウンドなのではないでしょうか。



こんな感じ。

でも以前も記載したようにレーシングエンジンだからこその高回転音であり、一般車で実現するのは難しいのが現実です。
では一般車で高音を実現している車は何かと聞かれたら、レクサスが本気で作ったLFAが思い当たる方も多いのではないでしょうか。





この車もV10ということもあり一般車といって良いか分かりませんが、公道を走れる車としてはケタ違いに良い音をしていると感じています。
この車は開発段階から排気音のターゲティングをしており、エンジンは勿論、吸排気にも徹底して研究費がかけられているようです。

では研究費がかけられているこのマフラーを勉強すれば「よい音」を作り出すヒントになるのではないかと考え、自分なりにまとめてみました。


・音というのは複数の「フォルマント」によって形成されている。

音と言うのは空気の振動、いわゆる周波数が高くなれば高音になって「良い音」に近づいていけるという認識ですが、そもそも音と言うのはいくつもの音が組み合わさってできています。よって「良い音」がどういう成分でできているのか理解しなくてはいけません。

そこで理解しなければいけないのが「フォルマント」というもの。ということでまずフォルマントのお勉強。



こちらのページに詳しく書いてありますが、まずは人の声を例に。
言語を発するときに、例えば日本語であれば「あ」「い」「う」「え」「お」・・・・と様々な発音ができます。
これはどのようにしてできているかと言うと上記のHP様によれば

>声帯で原音が発生し、それを喉、口、鼻で加工する(=共鳴、増幅)ことにより、我々が普段耳にしている「声」となります。
この「喉、口、鼻での加工」によって、原音に「あ」「い」「う」「え」「お」の響きが付加され、「声」となります。


とあります。それぞれの発音において原音にそれぞれの音の響きが「付加」されるとありますが、具体的にどのように、何が変化するのでしょうか。

その発音を分解すると下図のようになるそうです。


音のピークがいくつか立っているのがわかりますね。
これについても上記のHP様で

>声帯で生じた原音が喉、口、鼻で加工されることにより、音量が増幅されると同時に、倍音の特定の周波数において音量のピークができます。このピークのことをフォルマントと言います。
低い方から、第一フォルマント、第二フォルマント、第三フォルマント、第四フォルマントと呼ばれ、F1,F2,F3,F4と表されます。
人間は、「あ」「い」「う」「え」「お」を、フォルマント(特に、F1とF2)によって認識しています。


まとめると原音を加工してフォルマントピークを変えることによって違う音に聞こえるようになる(「あ」「い」「う」「え」「お」という違う音として認識できる)ということでしょうか。


・良い音を響かせるにはマフラーは「まっすぐ」


さてフォルマントを理解した上で、LFAのマフラーを開発した「株式会社 三五」のHPを見てみますと、音色を開発する流れとして



こんな図が掲載されています。
つまり求める音を決めて、それにあわせるフォルマントに音を「加工していく」と言う事でしょうか。

ちなみにLFAはF1サウンドを基にこの第一フォルマント、第二フォルマントを合わせこんでいったようですね。


逆を返せば、どこを変えたときに第一及び第二フォルマントがどのように変化していくかの解析やノウハウがないと狙った音は作れないということですね。

またこちらの記事によれば、きれいな音を響かせるためにはマフラーはストレート形状でなければならないこと、そしてその「良い原音」をリアピースにて「天使の咆哮」に作り替えると開発を行った三五の方のインタビュー記事にあります。



確かにLFAのマフラーはリアピースに至るまでほぼまっすぐな形状をしています。
そしてリアピースに届けられた「良い原音」をリアピース内で「良いフォルマント領域」に作り替えていくことで、最終的に官能的な音に変えているようです。

またこのリアピースはバルブを備えた二重構造になっていて、排気流速をコントロールしています。以前のブログで触れたように、排気流速によって音は変化することからでしょう。
(ちなみに自分でできる範囲で、グラスウールをかます場合とかまさない場合(排気流速が遅いor速い)で音質がどう変わるかは実験してます。)




よって排気流速に合わせたフォルマントを変化させる構造、簡単に言うとリコーダーのような構造をリアピース内に設計できれば良い音を作り出せるということでしょうか。
そうなると必然的に良い音のするマフラーは純正のような太鼓型のピースになってきそうですね。


これはS15のマフラー。
左がスポーツマフラー。右が純正マフラー。
(向きが反対ですみません)

スポーツマフラーだとほぼまっすぐで排気効率はよさそうですが、音をデザインすることは難しそうですね。
一方、純正マフラーだとリアピースが多段膨張式のサイレンサーとなっており、ここの構造を排気流速に合わせた構造にすることで良い音を作ることが出来そうです。

実験するには純正マフラーのリアピースを切開して色々試してみるしかなさそうですが。。。個人だとやっている時間も設備もないのでどこかのスポーツマフラーブランドさんがやってくれると信じて今回の考察はここまで。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。

How to design "Good muffler sound"?? We learned about LEXUS LFA's muffler.

2019年8月23日金曜日

低速における車のダウンフォースの獲得

モータースポーツをする上で無視できないのが空力です。

この空力によってF1などでは大きな差がつくのはご存知の通り。一般車のように1Gではなく3Gぐらいタイヤに掛けることが出来るので速いコーナリングが可能な訳ですね。



でも低速コーナーやジムカーナにおいてはどうだろうか?




空力はジムカーナのように速度域が低いことや、空力を得るには車高が高すぎるためほとんど頼ることが出来ないので車の基本的な性能だけで勝負が決まることが多いです。
だからこそ全日本選手権レベルになると、ドライバーの腕の差が少ないのに車の性能差があると勝負にならないため、そのクラスに出場している車種がみんな一緒になる(一部例外アリ)わけです。

ということで基本性能を上げていくことが今後弄っていく上で重要なファクターですし、ジムカーナだとみんなそこをどうやってレベルアップさせて1Gを使い切るかに躍起になるわけです。



では基本性能だけで本当に空力に頼ることが出来ないのか?




それこそ他人がやっていない低速のダウンフォースを味方に出来れば大きなアドバンテージになるはずという安直な発想から考えてみました。


ここで話は戻りますが、そもそもダウンフォースはどうやって発生するのか?


ダウンフォースとは逆に揚力の話ですがwikiによれば

>揚力は、物体が流れを変えた事で生じた圧力差により、その反作用として生じる。 上図のように、平板が流れに対して斜めに存在する場合、流体は平板に沿って流れる。平板の下面においては流れと平板が衝突する事によって、平板の上面ではコアンダ効果によって流れが平板に引き寄せられる事によって、流れの方向が斜め下向きに変えられる。流れが上下非対称になり、平板の下面より上面の方が圧力が低くなる。(上図において、流線の間隔が詰まっていると圧力が大きく、開いていると圧力が小さい事を示している。但し、流線の密度が常に圧力を表しているわけではない。)その圧力差によって揚力が生じる。


らしい。つまり物体を挟んで上下の圧力差を作って、圧力の低いほうにその物体が引き寄せられるという物。
F1のウイングなどではこの作用を利用し、ボディ下面ではグランドエフェクトを得ています。
グランドエフェクトとは、調べると連続の方程式(断面積が狭ければ流体の速度は上がる)とベルヌーイの定理(流体の速度が上がれば圧力は下がる)によって発生するものらしい。
だからGTカーなどは車高を低くして断面積を狭くし、流速を上げてボディ下面の圧力を下げてやることによってダウンフォースを得ることが出来るみたいです。



でもこれは上にも書きましたが、あくまで車高が低くて速度が速くなければ獲得することは難しいのです。



じゃあここで発想を昇華させて。強制的にボディ下面の圧力を低くしてあげたらいいのではないのか?
実は自分のこの疑問を実行している人達がいました。それは
「もしこの世にレギュレーションなど存在せず、サーキットにおいて最速の車を作るとしたらどうなるのか?」という考えのもとつくられたのがこの車。(といっても結構前)


レッドブル X2010-X2011


これはGT5(ゲームです)の架空世界の車ですが、現在の最先端のテクノロジーを結集して出来た車だそうです。
この車は以前話したように乱気流を発生させるタイヤにはカバーをしたりウイングを可能な限りバランスを見ながら大きくして、レギュレーションに縛られずセオリー通りの事をとことんやっています。(ちなみにニュルブルクリンクでF1より20~30秒速いそうです!!)

中でも自分の疑問に対する答えが


コレ。一昔前にはファンカーと呼ばれて出場した試合ではあまりにラップライムが速すぎて即座に出場停止となった仕掛け。ちなみに2010年モデルから2011年モデルではより効率の良いファンへ変更しています。
何をしているのかというと、このファンによって強制的に下面の流速を上げ、かつ空気を抜き取り圧力を下げることが出来るので走っていなくてもグランドエフェクトを発生させることが出来ます。これによってこのマシンは理論上スペースシャトルの離陸を遥かに凌ぐ8.25Gのコーナリングができるらしい!?
実際にあったらドライバーの気力が持ちませんね(笑)

結局言いたかったことはこのような反則ワザを駆使すれば低速においても空力を味方につけることが出来る!?と言うことでしょうか。


しかしこんな感じのファンにエンジンの動力を伝える構造は個人レベルだと製作不可能です・・・重くなりそうだし。
一方で効果は圧倒的に落ちますが簡単な構造で強制的にボディ下面の圧力を下げる方法はあるのでやってみようかな?と考えてます。(体感できるほど効果は無さそうですが…)




プラスしてGTウィングやダウンフォースにはならないですがプリウス等で採用されているグリルシャッターの方が効果は簡単に体感できるかもしれませんね。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。

How to get ground effect(downforce)?? Is it get at slow range of speed??

2019年7月23日火曜日

シュアラスターのLOOPパワーショットについて

最近こんな記事を見かけました。




凄いですね。これを入れるだけで約10馬力、パーセンテージで言うと3%ぐらいパワーアップしているそうです。



この商品に配合されている成分としてPEAとPIBAと言うのがあります。

PEAについては以前書いたWAKO'Sのフューエルワンに配合されている成分と同じ成分で、デポジット等の汚れを強力に洗浄できる優秀な成分です(高価なのが難点ですが)

(価格だけで言うとフューエルワンの方が安いんですね)

さてもう一つのPIBAについて調べてみるとあまりいい記事が見つかりませんでした。
海外のこちらのサイトでも

・PEA:強力な洗浄剤で燃料系の洗浄剤としてはスタンダード
・PIBA:PEAほど強力ではないが、燃料系の堆積物を除去するのに役立つ


と書かれており、これだけ読むとPEAが入っているならPIBAを配合する意味があるのだろうかと疑問に思います。
高価なPEAだけにしてしまうとコストがかかることからPIBAも配合して価格を下げているのだろうかとも考えてしまいますが、公式HPによると

洗浄効果の高いPEAは増粘効果もあり、PEA濃度が高すぎるとオイルと混ざったときにオイルの粘度が上がり燃費が悪くなる危険があるため、LOOPはバランスの取れた濃度を入れさらに、PIBAを入れることで洗浄力を高めています。

と記載しています。エンジンオイルを頻繁に交換しない方にとってはオイルの増粘は燃費悪化を招くので良くなさそうですが、しょっちゅう交換する方はあまり気にしなくてもよさそうです。


ただ製品としては洗浄性能にかかわる上記の2成分だけではなく、「特殊潤滑剤」と呼ばれる別成分等の影響もあってパワーアップに結びついているのかもしれませんね。
「特殊潤滑材」とやらが何なのかはとても気になるところなので、そちらもどんな成分が配合されているのか開示頂けるとより納得感が増しますね。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


What is surluster loop?? Is that helpful in removing deposits throughout the fuel system??


2019年7月5日金曜日

タイヤのグリップについて考える3

前回の考察ブログに引き続きまして一応タイヤについての考察です。

タイヤは太ければコーナーが速い(CFが得られる)のか、また縦方向のグリップはどうすれば良くなるのかについてまとめてみました。


・太いタイヤは横力に対抗できる!?


あくまで前回までの考察だとタイヤを太くしても接地面の縦横比が変わるだけで接地面積が変わらない条件で考えてきました。ところが実際問題は若干変化(面積が拡大)します。

面積が増えるとなぜ速いコーナリングができるのか。

その答えがここのHP様の「タイヤを太くすると何故グリップが上がるのか」を見てもらうと分かります。
このHP様の結論を言うと太くして接地面積が増えても静止時や弱いコーナリング中のグリップは変わらないですが、最大荷重時の摩擦限界が高くなると言うことです。



太くすると赤い所まで限界が上がる。(自動車を物理する 様より)


300kgぐらいまでの荷重では細いタイヤも太いタイヤも比例的にグリップがあがりますが、そこから先の限界の伸び具合に差が生じます。つまりこのグラフで用いたタイヤで行くと、仮に荷重移動したとしても片輪に300kgしか掛からない車であれば細いタイヤだろうが太いタイヤだろうが一緒なワケです。
逆に太いタイヤを履かせた場合、バネ下重量が重くなるし、走行抵抗増えるし・・・なにより値段が高くなるのでマイナスでしかないわけです。



また補足説明として前回説明したように空気の働きだけを見た時だと、サイドウォールの厚みが高い方が剛性が高いという理論が成り立ち、トレッド面全体が偏心しやすくなる(タイヤを正面から見たときにトレッド面がホイールセンターからずれる現象)のですが、単純にサイドウォールの「ヨレ」だけでみると、ゴムなので横からの力がかかった時の変形が大きいので、ある程度はサイドウォールを薄くした方がCPが得られるという工学書の実験結果が乗っていました。


また横幅を広くしたときのグリップに関しての補足説明としては、金属やゴムなどの表面は一見平らに見えてもミクロの目で見ると凹凸があって、目で見えている接地面積と、実際に地面にタイヤが触れている真実接地面積は違います。


「車両運動性能とシャシーメカニズム」の図2-66より

実際地面と接している面積は見かけの接地面積、世間一般的にいうタイヤだと「ハガキ一枚分の面積」よりも少ないという事実があります。
細かいことは省略しますが、ゴムを柔らかくすると地面の凹凸に沿ってゴムが変形するので、真実接地面積が広がり摩擦力が上がるというからくりになっているのですが、真実接地面積も前回の「横滑り角とコーナリングフォース」の図のように、面積と摩擦力が比例関係にあるのは初期だけで面積が大きく(タイヤでいうと温度が上がったりして柔らかくなる)っても、それ以上は摩擦が上がらなくなります。つまり上のHP様の図のようにある程度まで荷重を掛けるとそれ以上限界は上がらなくなるという事です。

なので熱が入らなくても最初から柔らかいSタイヤはいきなりタイムが出ますし、熱が入りすぎてもグリップが上がらない(タレる)症状が出てくるわけですね。





以上説明してきた摩擦力は接触している物同士の表面の分子の間に引き合う力が働いており、滑らせようとすると「分子間力によるせん断抵抗力」が発生するために生じる現象でした。
しかし摩擦力を生じさせるにはもう一つ「変形損失摩擦力」というのがあります。
これは凹凸のある硬い路面の上を走ればゴムの接触部分は変形と復元を連続して起こす時に、運動エネルギーが消費されることによって生じる摩擦力です。
つまり縦方向に柔らかくて粘り気のある(ヒステリシスロスの大きい)タイヤであれば得やすい物になります。
具体的にどういうものか考えを進めてみました。








・ゼロ発進におけるタワみの極み

今まで横向きの力に対してどの位タイヤが耐えれるか見てきましたが、この摩擦力(ヒステリシスロス等によって生じるもの)は主に縦向きの力に対してどうかという風に考えて良いと思います。
即ちサイドターンやゼロ発進時に、どんなタイヤがどの様な特性を持つかと言う事です。


タイヤの地面に触れている所は、外径に対してある一定の割合で潰れて平らになります。(例えば上図の接地長は仮に直径640mmのタイヤの3%とすると60.23mmとなります。もちろん空気圧が一定の場合で考えます。)
接地長というのは細いタイヤの方が長くなるのは前回の通りですが、接地長のタイヤ外径に対するパーセンテージは同じ銘柄、同じ荷重の場合あまり変わらないらしいので大きい外径のタイヤの方が接地長を稼げます。(上の条件だと640mmのタイヤだと60.23mmですが、650mmのタイヤの場合61.23mmになるわけですね。ただ実際は勿論この通りに3%のままではなく、2.998%とかに減るとは思いますが。。。)


と言うことで同じ太さのタイヤでも外形サイズが大きい方がより接地面を稼げるわけです。軽自動車とGT-Rじゃタイヤ幅も違いますがそもそも外形サイズが全然違うのは接地面積を稼ぐためなのかもしれないですね。

コレを生かした極端な例で言うと、ゼロ発進を重視するドラッグレースカーが太くて外径が大きなタイヤを履いてます。



彼らはヒステリシスロスを最大限に発揮させるためホイールは出来るだけ小さくしてハイプロファイリングなタイヤを履いています。これは縦方向にタワむゴムの領域を広く取ることで、発進時の荷重が掛かった瞬間に縦方向にタワみやすくなり接地長が伸びる=接地面積が増えるようにしているみたいです。
ただ注意しなければならないのは接地長が長くなるとステアレスポンスが落ちます(^^;
なので後輪には良いかもですが、前輪につけるのは??



ということでタイヤを太くしたり大きくすることは確かに速く走る上で効果があるようですが、縦横両方のことを考えると無限に太く&大きくすれば良いわけではなくバランスなワケです。
これらの理論の延長線上に、サーキットを走るハードなチューニングカーではサイクルフェンダーとかにしてタイヤハウスを広げ、太くて大きな薄いタイヤを入れ込んで接地面積を広げ、縦にも横にも限界を上げているのでしょう。。。が、一般的な公道を走る車や公認競技に参戦するのであればそこまでできませんよね・・・ってことで




結論

普通にスポーツ走行をするには
太くてもダメ、細くてもダメ。ちょうど良いあんばいが一番いい。





どっかで聞いた様な言い回しなのは気のせいです(笑)




ただ前ホイールを18インチにしてステアレスポンスを、後ろを17インチにしてスタートダッシュを得ると言うSUPER GTがよくやっているセッティングもこれらの理論から「アリ」と判断できるわけです。
ただ一般車競技をする上でタイヤの太さ、大きさなんて同じ車種、同じクラスであれば大体一緒ですし、銘柄まで一緒なことが多いのでアドバンテージにはならないわけです(汗)

じゃあどうすれば良いかと前のブログに書いたホイールサイズを変更してあげるか、タイヤを上手く使いきれる線形内に収まるよう「荷重移動を少なく」して、4輪へ均等に仕事させるようにすれば効率よく車全体でCPが得られることになります。

荷重移動を少なくするにはトレッド、重心、重量などを考えればいいのですが非常にメンドクサイのでまたいずれってか上記のHP様に詳細に載っているのでそちらを(^^;
GT、F1などは上記の「トレッド、重心、重量」どれを見ても「広い、低い、軽い」を追求している所からもその重要さが伺えます。またそれに伴ってアームの構造も素晴らしいですよね(^^)b



タイヤの構造からくる大まかな特性をまとめたシリーズでした。次のブログでは続いて上記の考察に基づいた実験の結果、体感について記載していきたいと思います。

他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


This blog is about "How to get more cornering force(cornering power)?? Is tire width involved with??".

2019年6月24日月曜日

タイヤのグリップについて考える2

さて今日は前回の続きで以前のブログのリライトです。

タイヤの大切な要素は「走る、曲がる、止まる」だったと思います。


ただもう一つ大事な要素として「支える」と言うのがあると思います。
支えているのは勿論空気なのですが、ゴムにただ空気を入れていくだけだと風船のように四方八方に自由に膨らんでしまい、上記の性能をうまく発揮できなくなってしまいます。。。。

そこでタイヤにはカーカスという骨組みみたいのが入っています。
ゴムとゴムの間にカーカスを挟みこみ、それをどんどん重ねてタイヤの形を保てるようにしています。この重ねた数をプライスとか言うみたいですが。
ちなみに「ラジアル」と「バイアス」という2つの種類のタイヤが存在していますが、ラジアルタイヤはカーカスの重ね方が円周方向に直角に交差させた物。バイアスは円周方向から90度ほどずらした形で重ね合わせた物らしいです。
最近の乗用車用のタイヤでラジアル以外を見つける方が難しそうですが。。。。ちなみにラジアルの方がトレッド面の剛性が確保されていて走行が安定する構造みたいです。




・ホイールのインチアップによる影響

「剛性」という面でやりがちなのがホイールの大径化、ロープロファイリング化があります。
例えばシルビアなんかだと純正で205/55/16のサイズですが、255/40/17とかにすることを指します。この場合だと15%ロープロ化されています。(パーセンテージ表記ではなく、実際のハイト差は10mmぐらいです)
このように横幅を太くすれば接地面積が増えて、ハイトが薄くなってタワむゴムの部分が減るんだから速く走れてあたりまえじゃないかと考えていたんですがそうではないようです。


接地面について今はもうホームページが閉鎖されてしまいましたが、Motor city Rally様によれば

>まず、一般に「太いタイやはグリップがいい」って言われているし、実際その通りですよね。でも、ここで注意したいのがその理由、そう、決して「太いタイヤは接地面積が広いから」ではないという事です。
物理学の法則に「風船のように内部を空気で満たした薄膜の空気袋を考えたとき、荷重が一定なら、接地面積は内圧に反比例する。」というのがありまして、それはタイヤに関しても同じことが言えます。つまり、「185/60R14でも195/50R15でも205/45R16でも車重とタイヤの空気圧が一定なら接地面積は常に一定=一緒」といいかえられるんですね。
太いタイヤの方がタイヤの中のベルトが太いので細いタイヤと比べてワッカとしての剛性(リング剛性)が高いんです。つまり、タイヤが太いので横方向には太く接地している反面、上から荷重がかかった時につぶれにくいので縦方向への接地長が短くなり、結局、接地面積自体は同じとなってしまうわけです。まあ、若干の違いがあるにしてもトレッド幅ほどの違いは無さそうです。


ということで接地面積はタイヤを太くしたとしても同じタイヤ構造であれば変わらないと言うことになります。(外径も同径の時)
じゃあなぜタイヤを太くするとタイムがあがるのでしょうか?それについても上記のHP様で

>答えは簡単。タイヤのトレッド下にあるベルトが、タイヤが太くなるほど太くなるため、平面的な捩れの力に対して強く、ゆがみにくくなるってワケです。そのため、太いタイヤのほうがスリップアングルがついた時に出すことの出来る力が高くなるって事だったんですね。

と書かれていました。
ベルトとはカーカスとかを指しているのだと思いますが、サイズごとに構造を変えるというより、縦長だったトレッド面が横長になることによって接地長が短くなり、トレッド面が歪みにくくなるというのが正しい気がします。


路面からの入力に対してねじれずにグリップできる=コーナリングパワー(CP)が獲得できるというメカニズムのようですね。


また扁平率についても

> 空気を入れることによってその内圧でサイドウォールがパンッと張ります。これによってタイアのサイドウォールに剛性、つまり張力剛性が生じるわけです。
 タイヤの扁平率を上げていくとサイドウォール部の上下長が短くなり、上下に潰されたように丸い形になっていく。形が丸くなっていくと、このタイヤの張力剛性は下がっていく。一方、扁平率を下げると、サイドウォール部がまっすぐ立ち上がるので張力剛性は向上していく。張力剛性があがると、タイアのサイド剛性、引いてはタイア自体のボディ剛性が向上するという事です。
 つまり、超扁平タイアはベルトが太くリング剛性が高いので輪っか自体は潰れない一方、サイド部の剛性が低いため中心がずれるような偏芯性が大きくなってしまうわけです。つまり、グリップがよくなる反面、操縦安定性などの初期レスポンスなどに問題が出てくるわけですね。


薄いタイヤの方が剛性が低いと言ってますね。確かに薄いタイヤにしたら空気圧を少し高めに入れろと言われるのも張力剛性を高めるためなのかもしれません。
つまりロープロ化すればするほど理論的にはレスポンスが悪いタイヤになってしまうわけですね・・・ただそうならないようにメーカーは低扁平のタイヤになればなるほどサイドウォール剛性を上げているみたいです。
そう言われてみると、たしかに16inchのタイヤより17inchのタイヤ単体の重量も重かったような気がするのでサイドウォールのワイヤーを太くしているのかも?


ただ上記ではハイトが低いとサイドウォールが相対的に丸くなるから剛性が下がると書いてありますが、単純にタイヤのサイドウォール面積が狭くなって空気張力を得られる面積が狭くなるというのも一因だと思います。
(ちなみにホイールを太くしてタイヤを若干引っ張ってあげるとサイドウォールの丸みをなくすことができるので横剛性を確保できるみたいです。また理論ではハイトが高い方が剛性高いと言ってますがですがやっぱりゴムはゴムなので伸びる領域が広いとどうしてもタワんでしまいます。詳しくは次のブログで)

Sタイヤのサイドウォールが恐ろしく硬いのもCPを得るためには合理的な手段だったんですね。
ちなみに自分もテストに携わらせていたZESTINOタイヤもサイドウォールはめちゃくちゃ硬いです。硬すぎて自分で組みたくありません←
(路面追従性を確保する為にも、やみくもに硬くすれば良いって訳ではありません)






・タイヤの性能を生かし切るホイールサイズ

上記で引っ張るのが良いと触れましたが、実際どの位の太さのホイールにタイヤを組めばよい分からなかったので各タイヤメーカー様にインタビューしてみました。以下255/40/17サイズについての話の要点をまとめてみました。


>255/40/17の適正ホイールサイズは8.5-10J

ジムカーナなどの競技においてはその適正サイズの一番太い物に履かせるのが一般的。(この場合10J)

太いとショルダーが張って、トレッドが平らになるので引っかかるような限界挙動を示す。
逆に細い物に組むのはFFのリアなど。サイドなどで引きずる時に引っかかりをなくしたような挙動を示す。また乗り心地的には細いホイールに組んだ時がソフトになる傾向がある。また0.5Jホイールサイズを変えるとタイヤの最大幅(トレッドじゃないですよ)は5mm程変わっていく。 (D,B,Y各社へのインタビュー)


やはり限界自体は太いホイールの方が上がると言うのはメーカーでも公言しているわけです。

ただタイムを出すには扱いやすさの「バランス」なので上限いっぱいのホイールに組んでしまうと色々影響がでてきそうですよね。GTカーのタイヤを見ても引っ張ってる車なんて見ないので255であれば9か9.5Jあたりに組むのが良いのかな?










・番外編-タイヤの乗り心地!?

ちなみに上で触れた乗り心地についてですが、時々自分の車に乗っていてそんな大きな段差じゃないのに「ここの段差だけはやたら突き上げが激しいな?」と思ったことはないでしょうか?少なくとも自分は大学生の頃の通学路に2つあるのですが(笑)

これについて調べてみると、タイヤ屋さんはちゃんと実験しているのですね。
ラジアルタイヤを上下方向にハンマーで加振すると約80Hzにピークをもってトレッドが共振するみたいです。
また接地して荷重をかけた状態でトレッドを前後方向に加振すると約10~80Hzの広範囲で共振する報告がありました。(走りを支えるタイヤの秘密 より)


>タイヤの接地長を21cmとした時、ここを路面の突起が通過する間に1.5回周期が訪れるため、共振80Hzになるのは約40km/hとなり、この時の上下方向の衝撃が最大となる

つまりタイヤの共振数と一致してしまう速さで決まった入力の突起を通過すると、そのタイヤにとって最悪の乗り心地が得られる場所と化すわけですね。
ただ乗り心地についてはタイヤだけじゃなくてサスペンション等の共振なども加わってくるので実際にはズレますが・・・。あくまでタイヤだけで考えた場合です(^^;











理論的に太いタイヤにすると平面的ネジレ剛性が上がることでCPが得られることは分かりました。またサイドウォール剛性も重要ということも。






でもそれ以外のCPが上がる要因はないのか?



長くなってしまったので今回はこんな所。次回は意外と見落としがちな「あの」違いについて考えてみます。



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This blog is about "How to get more cornering force(cornering power)?? Is Section Width and Aspect Ratio involved with??".

2019年6月15日土曜日

車体前面の空力(正圧と負圧)について考える

先日ジムカーナをしに富士スピードウェイへ向かう道中、霧雨が降っていました。

雨の日というのは水の流れを見ることによって車の表面の空気がどう動いているのか見えるので走っていて楽しいです。
ちなみに空力解析するとこんな感じで車表面における空気の圧力は分散しています。


35GT-Rの空力解析の拾い画像。


さらに普通の雨ではなく霧雨というのは車の表面の空気の流れを見るとき、結構参考になることが多いです。

これを検証すべく、たまたま時速90~100km/hぐらいで高速を走行してすぐパーキングに入れたので写真を撮ってみました。
なお携帯の画像なので残念な感じですが。。。


画質が悪くて申し訳ないですが、拡大してみて頂くと水の流れがよくわかります。。。。。。はい、わからない人の方が多いと思うので図示します。






ボンネットの前側から中央ちょっと後ろぐらいまでは水が流れているのがわかります。(赤いライン)
そして一度赤いラインが途切れて緑の〇をつけたところはまばらに雨が付着しています。
そして一番奥の窓に近い部分(青い〇)はほとんど雨に濡れていません。


ボンネットの中央あたりまでは風が流れているが、緑のあたりで風がたまり始め、青い部分では風が巻いて空気が溜まってしまい雨が到達できていないということかと思います。




次はフロントガラス。写真撮るからワイパー使わなかったのに写っていないのが悔しいところです。




ワイパーがあるというのも大きいと思いますが、ボンネットの奥の方と同じく空気が巻いてしまって緑の部分はあまり濡れていません。
逆に青い部分は雨に濡れて流れもできています。





最後にサイドウインド。
シルビアやインテグラを始め、クーペボディの車は窓を開けても全然が涼しくない(風が入ってこない)のが霧の日だとよくわかります。





図で青い〇で囲ったところが濡れて、中央あたりは全然濡れていません。
ドアミラーの後ろはフロントガラスから巻いてきた空気の渦が当たっている感じです。
その後ろは逆に空気が剥離して雨が当たってない=窓を開けても運転手に風があたらないというのがわかります。


ということで35GT-Rの解析結果と同じような圧力分散が起きていることがよくわかります。

じゃあどうしたらいいのかということになりますが、例えば「ボンネットの後端部分が正圧だからそこにモールをつけて整流」ということをやると、もしかしたらその部分は良くなるかもしれないですが、空気渦が変化してサイドガラスあたりで正圧が発生してしまったり、と言うことがあるので車全体で見たときのドラッグが減ったのかを考えないとあまり意味がないかもしれませんね。

最近読んだ論文だとマツダが発表しているCX-9の空力に関する論文が面白いので興味ある方はぜひ読んでみてください。
今回は触れませんが、車の後部に発生する一番大きな負圧領域を減らすand利用する空力も考えていかないといけないので難しいですね。



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This blog considered about "How to realizing aerodynamicsdrag reducing??"

2019年5月6日月曜日

ブリヂストンのRE-12D typeA

今年のオートサロンで発表されたブリヂストンのRE-12D typeA




ジムカーナ用、つまりウォームアップしなくてもいきなりタイムアタックできるコンパウンドという理解で良いのではないでしょうか。
真冬のサーキットタイムアタックにも適してそうな気がします。



路温10度程の際の、ジムカーナ2本走った後のタイヤの表面。凄い。。。


先日エビスサーキットで開催された全日本ジムカーナ第3戦でも、同タイヤを履くPNクラスにおいて表彰台をにぎわしていたのが記憶に新しいです。
(試合結果についてはブリヂストンのHPにて)

この結果からみると、以前はダンロップのβ02等の方が低温域に強く、気温が低い時やウェットジムカーナにおいては強いイメージでしたが、このtypeAが出てきたことによってブリヂストン勢が巻き返してきたような感じを受けました。

いま試合に出るならこのRE-12D type Aがよさそうですが、その値段がとてつもない値段がします。



86/BRZサイズでこの値段。
ヴァリノタイヤなら2本買えますね。。。。。


公式戦等のタイヤレギュレーションもどんどん変更されている方向で動いているようですし、今後の他メーカーの動向も注目してみたいと思います。

他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。

Does the BRIDGESTONE RE-12D type A have incredible grip??

2019年4月4日木曜日

ヴァリノタイヤの新コンパウンド?

先日、VALINO TIREのセカンドグレード、GREEVA使いである佐津川選手がこんな投稿をしてました。



ヴァリノが新しいコンパウンドになったとのこと。
今回の船便(ロット)分から少し何か変えたのでしょうか。


本当かどうか分かりませんが、どのような改良になったのか気になりますね。
ゼスティノのグリッジシリーズの時は途中で07RS-cという名前でゴム自体柔らかくしたやつが市販されたのが記憶に新しいです。

あ~ぼ〜む〜んの佐津川選手は勿論、今回のロットのレビューに注目しておきます。


(2019.4.7)
と思ったら、セカンドグレードのGREEVAの硬いモデルをラインナップすることになったようですので記事を更新しました。


I heard new compound of VALINO TIRES.

2019年4月3日水曜日

ベルハンマーの表面処理(ZnDTP)について

以前のブログで「ベルハンマーは塩素系で金属表面を軟化させたのちに平滑化した膜を形成する」ような効能があると担当の方からお話を伺いましたが、「表面が軟化」した後にどのようにして「平滑化した膜を形成」するのか。(スズキ機工公式HPでは「表面を鍛える」という表現がされています。)

調べてみるとこんな動画をアップロードされている方がいらっしゃいました。



本当かどうかわかりませんが、ベルハンマーには以前のブログで塩素化パラフィンの代わりに用いられる極圧剤として取り上げたZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)というものが含まれていて、これが表面を平滑化しているそうです。あくまでこのZnDTPというのは金属表面を平滑化するだけで摩擦を減らしてるわけではなく、一般的には摩擦低減剤であるMoDTCという有機モリブデンをセットで加えることによって摩擦を低減させることができるのだとか。(二硫化モリブデンというものとは違うそうですが、イメージとしては金属表面をパチンコ玉で埋め尽くして表面が転がりやすくするような感じでしょうか)


このZnDTPというのは、市販のエンジンオイルによく添加されている成分で、コチラのページによれば「酸化防止剤」として用いられているようです。
ただ一方で表面の平滑化として塩素化パラフィン等の極圧剤の代わりにもなりえるが、分解した際に発生したリンが触媒を痛めてしまうのだとか。

とは言えこのZnDTPは安価で手に入りやすく、トライボフィルムと呼ばれる金属表面に膜を形成することで耐摩耗性が向上するので、リンを含めたスラッジが発生してしまう問題を除けば有用で、長年エンジンオイルやミッションオイルに用いられてきたそうです。


さらに2016年に公開された昭和シェルの論文をみると、カルシウム・サリシレートと呼ばれる清浄分散剤を添加することで、ZnDTPの分解や酸化が抑えられ、スラッジの発生も抑制するそうです。


サリシレートは一番右のSalとなっているやつで、確かにスラッジも、同に対する腐食もあわせて減っています。

なので「塩素フリー」と呼ばれている極圧添加剤はこのZnDTPと清浄分散剤であるサリシレートの組み合わせの製品もありそうですね。(こちらのページにそのことが記載されています。)




以上のことから、塩素化パラフィンの他に本当にベルハンマーにZnDTPが配合されていると仮定した場合、スズキ機工の担当の方が言っていた「表面が硬化する」という表現があながち間違ってなさそうですし、さらにセットで摩擦低減剤である有機モリブデンが配合されているのであれば、この成分は湿式クラッチを滑らせてしまうらしいので、ベルハンマーの注意書きに「湿式クラッチには入れないでください」と書いてあるのかもしれませんね。


あくまで仮定論になってしまうので、改めてお話を聞く機会があれば聞いてみたいと思います。


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2019年3月26日火曜日

TAKUMIモーターオイルのベースオイルについて

以前製造元や評価についてブログを書きましたが、製造元はしっかりしていたとしてもエンジンオイルやミッションオイルの大部分を占める「ベースオイル」がどのようなグレードのものを使っているかでその製品の品質が決まってきます。


車に使うオイルというのは粘度グレードとは別にオイルのグループ(Gr)というのがあります。

コチラのページによりますと、このような分類になるそうです。


APIによるベースオイルの分類

グループ1(Ⅰ)・・・・・・一般的にミネラルとか鉱物油、ニュートラルオイルなどと呼ばれます。


グループ2(Ⅱ)・・・・・・ハイドロクラック、水素化精製油、HIVI、HVI(※)や高粘度指数基油等と呼ばれます。
多くのオイルメーカーではこのグループⅡまでをミネラル(鉱物油)としますがオイルメーカーによってはこれを合成油と表記することもあります。おおよそ安価なエンジンオイルはグループⅠやグループⅡのベースオイルを採用していると思って間違いありません。


※HIVIとはHighViscosityIndex=高粘度指数のこと。

※2・・・VI(ヴイアイ)とはViscosityIndex(ヴィスコシティ・インデックス)=粘度指数のこと。この数字が高いほど高温での粘度の低下が起こりにくいという指標であると、とりあえず覚えて下さい。多くの場面でこのVIという言葉が出てきますので必須用語です。


グループ3(Ⅲ)・・・・・VHVI(VeryHighViscosityIndex)超高粘度指数基油、高度水素化精製油、合成油、シンセティック等様々な呼び方がなされますので実に曖昧です。


・・・・・・・・・・以上ここまでは鉱物油(原油)を出発点としたベースオイル・・・・・・


・・・・・・・・・・以下は化学合成油とされるベースオイル・・・・・・・・・


グループ4(Ⅳ)・・・・・・ポリαオレフィン、通称PAO、パオと呼ばれます。


グループ5(Ⅴ)・・・・・・以上のどのグループにも属さないベースオイルとなります。最も代表的なものはエステル類、一般的ではないですがアルキルナフタレン等もありますし、リサイクル油なんかも含まれますので色々書くとややこしいので、ここではほぼエステルと覚えてください。


だそうです。ホームセンターで売られているのはⅠ~Ⅲが多いのかもしれませんね。ちなみにグループ4はコチラのページによると、原油から精製したナフサを分解してできたエチレンを重合ししてできたもの、グループ5は植物油などから精製されるエステル系で、卓越した耐熱性と潤滑性を持っているが酸化(劣化)が速いそうで。
これに対しTAKUMIからラインナップされているオイルのベースオイルはどうなっているのか調べてみると、公式から発表されていました。


概要としては

X-TREMEシリーズ
グループ5
0W-40
5W-50

グループ4
10W-40
10W-60

グループ5の方がよさそうに見えますが、あえて10W-60は「PAOを配合」、つまりグループ4と記載されている理由を調べてみるとコチラのページで、PAOというのは高熱になってもせん断につよく、粘度低下を引き起こしにくいんだとか。

とは言えグループ5のエステル系も熱安定性等が良いのにあえてグループ4のPAOにしているのは、剪断の強さもそこそこに、酸化がしにくく(劣化しにくく)ライフが長いことと、価格を抑えるためなのかもしれませんね。


さらにグループ5のエステル系は、金属表面から流れ落ちにくい=ドライスタートに強いそうで、時々しか乗らない自分のような使い方であればぴったりです。
ただエステル系にも弱点があって、上記したように酸化しやすい(劣化しやすい)ことと、オイルシールを膨張させてしまう傾向があるそうですが、最近市販されているものは色々なエステルを組み合わせてコンプレックス化して膨張させないよう克服しているのだそうです。



その他のラインナップされているシリーズにおけるベースオイルのグループは下記のとおりです。

HYBRID(ハイブリッド)シリーズ    ・・・グループ4
HIGH QUALITY(ハイクオリティ)シリーズ・・・グループ3
STANDARD(スタンダード)シリーズ   ・・・グループ1~2

なお公式にも書いてありますが、X-TREME及びHYBRIDシリーズのベースオイルはグループ3と、グループ4か5の組み合わせであり、ベースオイルが100%グループ4or5ではないというところは見逃せないポイントで、ベースオイルの大部分をきっとグループ3で構成しているから安価にできているのかもしれませんね。


ということでTAKUMIモーターオイルを使うのであればシリーズによってグレードも明確にされているので、自分にはどれが適しているのか選びやすくて良いですね。


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