Translate ~Select your language~

2019年9月21日土曜日

インタークーラーの仕組みと圧力損失について

今回はターボ車とは切っても切り離せないインタークーラーの話。
(この記事は以前のリライトです)

競技をしていて「もう少し早くブーストが掛かればいいのに」と思うことが多々ありました。この「ターボラグ」はブーコンの設定やアクチュエーター、更にはタービンの大きさや羽の形状によってコントロールする事が出来ますが、大きな要因の1つとしてインタークーラーが関係しています。


考察を始める前にまず基本として、ターボの仕組みは最近紹介された以下の動画に良くまとまっています。




なぜタービンで圧縮された空気を冷やす必要があるかというと、wikiによれば

過給機付きエンジンは自然吸気より圧縮比が低くするため効率が下がるが、インタークーラーによる吸気温度低下に比例し圧力が低下する(圧縮空気の密度は変わらない)ため、そのぶん圧縮比を高く設定出来る。

とあります。つまり冷やして空気密度を上げる=単位容積当りの酸素濃度が増えるためパワーを出す事が出来るわけです。


しかしこのインタークーラーを設置するためにはパイピングが長くなってしまい、空気の圧損が生じてレスポンスが悪化します。

これを解決するために上記のwiki内でも登場したフォルクスワーゲンのTSIエンジンではコチラのHP様の「新型TSIエンジンの構造と特徴」という項に載っているように、パイピングを短くしてインタークーラーを小さい物にしています。短く小さいインタークーラーによって冷却効率が落ちた所は水冷式にして補っています。

この様に短く小さいインタークーラーにすればスポーツ走行において重要な低速からの立ち上がりが良い、(レスポンスが良い)吸気環境を構築する事が出来るわけですね。故に純正の小さめのインタークーラーがレスポンスが良いと感じるわけです。

しかしながら小さめのインタークーラーだと冷却効率が悪く、ジムカーナと言えどすぐに熱ダレしてしまいます。(夏場は特に)
そこで登場するのが社外品。様々なメーカーから色々な種類が出ています。しかしながら上記の理論より社外品の大きなインタークーラーだとレスポンスが悪化するのは必至です。

じゃあ純正より冷えてレスポンスが良い物はあるのか、現在発売されている空冷式インタークーラーについて調べてみました。


まず一般的なインタークーラーの代表例としてトラスト社のスペックLS。
ちなみに以前自分がつけていた製品です。




このサイズはタービン交換車やサーキット連続走行、ドリフト走行時には冷却効率が良くて重宝しそうですが、純正タービンでジムカーナをする車にランエボ並の大きなコアはいらないです(笑)
しかもこのコアが重たい・・・。車の一番鼻先についている部品が重いというのは厄介です。それにS15はリアが軽いのでフロントの軽量化が必須です。

なによりサイドターンなどの立ち上がりでブーストが掛からず、モタつくのはコイツの圧損が大きいことが一因として考えられます。






じゃあこの圧損とはそもそも何故発生するのか。

圧力損失について記載された良いHPが今は閉鎖されて見れないのですが、空気の通り道が曲がったり乱流を起こすと圧力損失していくと記載がありました。

つまり空気の通り道にインタークーラーのように曲がりやフィンがあって空気を乱すような障害となる部分が多いと損失が大きくなるわけです。だから純正より大きなインタークーラーにすると冷却効率がアップする代わりに圧損するためレスポンスも悪くなりますし、ブーストを制御しないまま純正と同じ設定で乗るとピークブーストが下がってしまう訳です。

ではこの圧損を防ぐ方法は無いのかと言うと、勿論コアを小さくして抵抗を減らす事も1つですが、コチラのHPでやってらっしゃるような事をすると圧損を減らす事が出来るわけです。
(⇒続編でインタークーラーの圧損はそのままにアクセルレスポンス改善できないか考察してみました。)


一見すると当たり前のようなことですが、意外とこの「小さな努力」をされている製品は少ないようです。
それらの事や、重量を踏まえて各社のインタークーラーを比較してみました。

メーカーとしては

・トラスト
・BLITZ
・HPI
・HKS
・ARC

などが挙げられます。自分のは純正タービンなのでそれぞれ一番小さいサイズのコアを検討しました。


まずHPIとBLITZはドリフトマッスルで常勝している友人に聞いてみたところレスポンスが宜しくないみたいなのです。考えられる理由としては、これらのコアの中は、フィンが2層構造(オフセット構造)を取っており冷却効率は高いのですが圧損が大きいためだと考えられます。(HPIはOFシリーズのことを指してだと思います)
トラストの製品は1層との事ですが、フィーリング的には似たような物と言う話なので一番知名度が高いトラストのスペックLSで詳細を検討。



コアの内部


ドリフト天国より

形状も一般的ですね。
こちらのコアは600×280×76mmと大きめで、重量約6.2kgですが定価も5万400円と手頃です。



また一方で彼曰くARCの物が一番レスポンスが良いということでした。


レスポンスがよい原因は何なのかと調べてみるとHPには



こんな形で上記のバクバク工房さんのHPで紹介されているような形状をしており、トラストと比べると明らかにインナーチューブに空気が流れやすそうです。
コアサイズはGT-Rやランエボと同じサイズで5.9kgと、コレぐらいのサイズの中では確かにレスポンスも軽量化も両立できているので¥165,900円という値段は高いですがクオリティも高いですね。
ただS15にしてはデカイことは間違いないので、いくらこのサイズにしてはレスポンスが良いと言っても純正に比べると・・・な気がします。



そして使っている人が少ないので分からないと言われたHKS。Sタイプのコア。

サイズは600×244×65mmと他のメーカーに比べて圧倒的に小さいです。
インナーフィンの形状はHPに


こんな絵が載っていたのですが、正直これだけだと良くわかりません・・・。ただコア重量は4.5kgという回答でなかなか軽いです。調べてみるとHPIの製品は5kg位でそちらも軽いのですが、上記したようにインナーが2層構造ということで圧損が大きそうです。
このHKSは1層構造のストレート形状の上、価格も¥98,000円というARCに次ぐ高価格ということで小さな努力を期待しても良さそうです。

また小さいと言えど、500psのD1タービン交換車でも装着している車両がいるのでそこまで冷却効率も悪くないんではないかと考えられます。




と言うことで、これらの考察に基づいて自分で実際に実験してみましたが、また次回のブログにて。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


What is the structure of charge air cooler?? How to reduce air pressure loss??

0 件のコメント:

コメントを投稿