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2019年8月31日土曜日

マフラーの音質について考える3(マフラーサウンドのチューニング)

以前ブログでマフラーの音質について考えてきました。
かなり前に書いたブログですが色々なところで引用頂いているようで、自分のブログを参考にマフラーを市販化したブランドさんもあるようで。
サンプルに自分のマフラーも作ってくれるとありがたいですが(笑)


さて、マフラーの音は人によって好みは千差万別だとは思いますが、やはり求めるゴールと言うのは一昔前のF1サウンドなのではないでしょうか。



こんな感じ。

でも以前も記載したようにレーシングエンジンだからこその高回転音であり、一般車で実現するのは難しいのが現実です。
では一般車で高音を実現している車は何かと聞かれたら、レクサスが本気で作ったLFAが思い当たる方も多いのではないでしょうか。





この車もV10ということもあり一般車といって良いか分かりませんが、公道を走れる車としてはケタ違いに良い音をしていると感じています。
この車は開発段階から排気音のターゲティングをしており、エンジンは勿論、吸排気にも徹底して研究費がかけられているようです。

では研究費がかけられているこのマフラーを勉強すれば「よい音」を作り出すヒントになるのではないかと考え、自分なりにまとめてみました。


・音というのは複数の「フォルマント」によって形成されている。

音と言うのは空気の振動、いわゆる周波数が高くなれば高音になって「良い音」に近づいていけるという認識ですが、そもそも音と言うのはいくつもの音が組み合わさってできています。よって「良い音」がどういう成分でできているのか理解しなくてはいけません。

そこで理解しなければいけないのが「フォルマント」というもの。ということでまずフォルマントのお勉強。



こちらのページに詳しく書いてありますが、まずは人の声を例に。
言語を発するときに、例えば日本語であれば「あ」「い」「う」「え」「お」・・・・と様々な発音ができます。
これはどのようにしてできているかと言うと上記のHP様によれば

>声帯で原音が発生し、それを喉、口、鼻で加工する(=共鳴、増幅)ことにより、我々が普段耳にしている「声」となります。
この「喉、口、鼻での加工」によって、原音に「あ」「い」「う」「え」「お」の響きが付加され、「声」となります。


とあります。それぞれの発音において原音にそれぞれの音の響きが「付加」されるとありますが、具体的にどのように、何が変化するのでしょうか。

その発音を分解すると下図のようになるそうです。


音のピークがいくつか立っているのがわかりますね。
これについても上記のHP様で

>声帯で生じた原音が喉、口、鼻で加工されることにより、音量が増幅されると同時に、倍音の特定の周波数において音量のピークができます。このピークのことをフォルマントと言います。
低い方から、第一フォルマント、第二フォルマント、第三フォルマント、第四フォルマントと呼ばれ、F1,F2,F3,F4と表されます。
人間は、「あ」「い」「う」「え」「お」を、フォルマント(特に、F1とF2)によって認識しています。


まとめると原音を加工してフォルマントピークを変えることによって違う音に聞こえるようになる(「あ」「い」「う」「え」「お」という違う音として認識できる)ということでしょうか。


・良い音を響かせるにはマフラーは「まっすぐ」


さてフォルマントを理解した上で、LFAのマフラーを開発した「株式会社 三五」のHPを見てみますと、音色を開発する流れとして



こんな図が掲載されています。
つまり求める音を決めて、それにあわせるフォルマントに音を「加工していく」と言う事でしょうか。

ちなみにLFAはF1サウンドを基にこの第一フォルマント、第二フォルマントを合わせこんでいったようですね。


逆を返せば、どこを変えたときに第一及び第二フォルマントがどのように変化していくかの解析やノウハウがないと狙った音は作れないということですね。

またこちらの記事によれば、きれいな音を響かせるためにはマフラーはストレート形状でなければならないこと、そしてその「良い原音」をリアピースにて「天使の咆哮」に作り替えると開発を行った三五の方のインタビュー記事にあります。



確かにLFAのマフラーはリアピースに至るまでほぼまっすぐな形状をしています。
そしてリアピースに届けられた「良い原音」をリアピース内で「良いフォルマント領域」に作り替えていくことで、最終的に官能的な音に変えているようです。

またこのリアピースはバルブを備えた二重構造になっていて、排気流速をコントロールしています。以前のブログで触れたように、排気流速によって音は変化することからでしょう。
(ちなみに自分でできる範囲で、グラスウールをかます場合とかまさない場合(排気流速が遅いor速い)で音質がどう変わるかは実験してます。)




よって排気流速に合わせたフォルマントを変化させる構造、簡単に言うとリコーダーのような構造をリアピース内に設計できれば良い音を作り出せるということでしょうか。
そうなると必然的に良い音のするマフラーは純正のような太鼓型のピースになってきそうですね。


これはS15のマフラー。
左がスポーツマフラー。右が純正マフラー。
(向きが反対ですみません)

スポーツマフラーだとほぼまっすぐで排気効率はよさそうですが、音をデザインすることは難しそうですね。
一方、純正マフラーだとリアピースが多段膨張式のサイレンサーとなっており、ここの構造を排気流速に合わせた構造にすることで良い音を作ることが出来そうです。

実験するには純正マフラーのリアピースを切開して色々試してみるしかなさそうですが。。。個人だとやっている時間も設備もないのでどこかのスポーツマフラーブランドさんがやってくれると信じて今回の考察はここまで。


他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。

How to design "Good muffler sound"?? We learned about LEXUS LFA's muffler.

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