一般的にギア比はミッションを「クロス」にして、ファイナルギアは「ローギア」にされる方が多いかと思います。
良くクロスミッションを入れている方はエンジンの丁度いい領域を使うためにクロスミッションを入れているため、外から聞いていてもシフト回数が多く、見ていても気持ちいいです♪
しかしシフト回数が多くなるという事は、それだけ無駆動時間が多くなるという事です。
更にシフトアップしたのにすぐコーナーが迫ってきてシフトダウンって場面では本当にシフトアップしたほうが良いのか悩みます。
まずはギア比について、自分のS15を基準に考えて見たいと思います。
S15の比較対照としてS14Ks、AP2、FD3S、DC2 98specを参考に入れてみました。
上段がミッションのギア比、真ん中がファイナル、下段が最終減速です。
こうしてみると、S15は1、2速であればAP2よりもローギアです。
しかし3、4速はAP2よりもハイギアードです。FD3Sは1、2速は少しローギアですが、3速はそこまで変わらないように思います。
インテは流石に1.8NAなのでトルクを補うようにかなりローギアです。
右側の黄色の部分は、ファイナルをS15ターボATの3.9ファイナルとS14などの4.083ファイナルに換装した時の最終減速を表しています。
例えばS15で1速から2速へシフトアップする場合で考えてみます。
下図はS15の純正での各ギアの速度図です。
1速を7,500回転でシフトアップした時の時速は56.7キロです。
クラッチを切ってシフトアップし、クラッチを繋ぐまで一般的に速い方で約0.5秒ほど掛かるそうですが、仮に56.7キロで0.5秒だと約7.8m進んでいます。
同じように2速から3速では時速93.5キロですので、約13m車が進みます。
3速から4速では時速133.6キロですのでなんと約18.6mも車が進んでいることになります。
理論上は上記の空走距離が生じてしまうので、1速から2速でシフトアップするのであれば、シフトアップポイントから減速ポイントまで7.8m以上あるのであればシフトアップすべきという結論が導き出せます。逆に7.8m以下の距離であれば、エンジンをレブに当てたまま走行したほうが良いという結論も導き出せます。
ところがどっこい、現実はもう少し長い区間でなければシフトアップしないほうが良いのではという意見もあります。
- 例えば、1速から2速にシフトアップしたいポイントから、コーナーの入り口(減速ポイント)まで10mあった場合
上記の理論から言えば、シフトアップして2.2mは2速で加速できます。
手書きですみません。
2.2m加速した後にコーナーに進入するためブレーキングをしながらシフトダウンというステップになると思います。
ですが仮にヒールトゥーが完璧だったとしても、シフトダウン中、つまりクラッチを切っている間は「エンジンブレーキ」が使えず、純粋に「ブレーキパッドのブレーキ」だけで減速しなければなりません。
一般的にブレーキのセッティングというのは、ブレーキペダルのみを踏んだ時にバランスが良いようにセッティングするものだと思いますので、このときはクラッチを切っていないため、ブレーキというのは
「ブレーキパッドのブレーキ力」+「エンジンブレーキ力」
で構成されています。ロックするかしないかの限界領域の完璧なブレーキであればあるほど、少しのブレーキのバランスの違いというのは大きなマイナスとなってしまいます。
よって「ブレーキパッドのブレーキ力」+「エンジンブレーキ力」による、単純にブレーキペダルだけ踏んだ時のバランスでセッティングを取られていて、1速から2速にシフトアップして2.2m加速してからブレーキする場合、その理想ブレーキングポイントというのは「エンジンブレーキ力」が掛からない0.5秒(シフトダウンは一般的に0.6~0.7秒ぐらい掛かるそうです。)分は、ブレーキが弱いため、ブレーキポイントをもう少し手前にしてあげないと止まりきれません。
ってなると今回の例のシフトアップポイントからブレーキングポイントまで10mという場合であれば「シフトアップしないほうが速いのでは?」という考えが出来ます。
ただエンジンブレーキがどのくらいの強さなのか、また1速の時はギア比の所為でエンジンブレーキが強いですが、2速、3速と上のギアになればなるほどエンジンブレーキの力が弱くなるので、3速、4速あたりであればあまり気にしなくても良いのかも知れません。
またエンジンやギア比、つまり車種ごとによってタイヤに伝わるエンジンブレーキの力は変わると思いますので一概に「何m以上あるならシフトアップしたらいい」と断言はできませんが、
1速、2速の低速コーナーでシフトアップするかしないか悩む距離であれば、シフトアップしないほうが良い場合がある
という事を頭の片隅に、自分の車はどの位の距離ならギア比的にしなくても良いのか計算しておくと、悩んだ時の判断材料になって良いかもしれません。
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