今シーズンはJAF等のタイヤ規定に沿うことなく、自由にタイヤ評価していきたいと考えていました。とは言えタイヤも高価ですし組むのも大変なので、何を使うか吟味した結果VALINO PERGEA 08RSを選択しました。
評価する前に、参加しているジムカーナにおいてよく使用されている2019年度のタイヤ(セミスリック以外)を大別すると
超ハイグリップタイヤ(ほぼSタイヤ…と言うよりそれ以上…)
・BRIDGESTONE POTENZA RE-12D
・YOKOHAMA ADVAN A08B specG
・DUNLOP DIREZZA β10
ハイグリップタイヤ(日本で言うところのラジアルタイヤ)
・YOKOHAMA ADVAN A052
・BRIDGESTONE POTENZA RE-71R (RE-71RSになる?)
・DUNLOP DIREZZA Z3
・TOYO PROXES R1R
有名どころだとこんなところでしょうか。
特に超ハイグリップタイヤはRE-11S、A050、03Gなどのセミスリックタイヤよりも強烈なグリップ・タイムをたたき出すポテンシャルを秘めているのは全日本選手権の結果を見ているとよくわかります。
とは言え上記したタイヤは値段が高く、ユーザーからすると中々手が出しづらい面があるのも事実です。
近年はジムカーナと同じようにドリフトも冷間スタートでグリップしないと勝てない競技になってきたため、ソフトでハイグリップなタイヤが増えてきました。ジムカーナと違って主に結果を出しているメーカーはTOYO、VALINO、RYDANZといったところでしょうか。値段もお手頃で手を出しやすいです。
これらのドリフト競技用のタイヤを適した条件下のグリップ走行で使うとどうなるのか気になっていました。(グリップと言っても
以前のVLINOのブログでも記載したように、熱が入ってしまうサーキット連続周回やドリフト連続周回に向かないことは明らかです。)
という事で購入して試してみました。
購入したのはVALINOの08RSという、ヴァリノタイヤの中ではミドルモデルになります。
トレッドウェアは160という数字ですが、トレッドウェアと冷間時のグリップは相関しているようでしていないので冷間時に使えるかは実際に履いて試すしかありません。
気になる結果から言うと、08RSは
ジムカーナ(1分ぐらいのコース、路温約10℃)という条件では「
ハイグリップタイヤ以上、超ハイグリップタイヤ以下」という評価でしょうか。
〜優れた点〜
①値段が安い
②溝が深く、ライフが長い
③路面が低温(テストした路温約10℃)でも、1コーナー抜ければすぐに熱が入り、後半では超ハイグリップタイヤと同じぐらいのトラクション
①は何にも代えがたいメリットですね。国産の半額以下です。あわせて②の深溝もライフが長くなるのでコストパフォーマンス的には秀逸です。ただ②は下記するデメリットにもなり得るので諸刃の剣です。
③については、そもそもVALINO公式HPでも記載あるようにこのタイヤの仕様として「20℃~30℃の路面」が適正温度域なので、今回のテストは適正温度域を外れていました。
その結果なのか、スタートから1コーナーにかけては全然進みませんし、止まりません。動画で解析してみても明らかにスタートが他のタイヤを履いた車より遅いです。ちなみにスタートから最初のパイロンに到達するストレートだけで超ハイグリップを履いた大先輩の車と比較すると約0.5秒離されています。
ゴール後はトレッド温度が約25℃と適正温度域に入っていました。
コース後半区間を解析すると超ハイグリップを履いた車に引けを取らない区間タイムで走行出来ていることから、明らかにスタート直後とグリップが変わっています。(運転を前半と後半で変化させる必要がある程です)
よって適正温度域にさえ入れば超ハイグリップタイヤと言えるかも知れません。
〜欠点〜
①製造バランスの悪さ(タイヤが重い)
②溝が深すぎてヨレる
③温度域を外すと普通のハイグリップタイヤに劣る
①については国産タイヤに比べてしまうとどうしても劣ってしまいますが、もっと悪いタイヤもあるので値段を考えれば許容範囲かなと考えています。
②については上記したコストの面ではメリットですが、サイドウォールはしっかりしているのに溝が深くて横方向の入力ではヨレてしまうため、ステアリングレスポンスは悪いです。ワンテンポ遅れてくるコーナリングフォースを見越してステア操作すれば問題ないレベルではあります。もしパターンデザインをもう少し大きいブロックに変更できれば、グリップ評価はさらに化けそうです。とりあえずは溝が減ってきたら(残り溝3mmぐらい?)挙動が変わりそうなので様子見です。
③については事前にわかっていたことですし、トレッドが適正温度域以外はSタイヤよろしく本来の性能を発揮できないのでユーザー側で認識しておけば問題ありません。温度域が低ければグリップしませんし、高くなる(夏場や連続周回)とゴムが必要以上にヨレてめくれてしまいます。ちなみに削れ方としてはソフトなタイヤらしくササクレ立ったトレッド表面になります。
写真はそこまで波状になってないですが、もう一本走行後はササクレ立ってました。
この路面&走行条件における個人的な感覚としては
横方向が苦手なADVAN A050 G/Sコンパウンドという感覚でしょうか。ただしA050のようにカッチリとしたグリップフィールではなく、ドリフト向けタイヤなので!?常に滑らせてナナメに走らせるのがタイムアップに繋がりそうです。
ZESTINOもそうでしたが路面を選びそうなタイヤなので、サーキットによっては全然タイムが出ないかもしれませんし、そんな噂も聞いてはいます。(その時は08Rや08C等の硬めのコンパウンドに変える必要がある?)これも試してみないとわからないですね。
今回テストした条件では適正温度域を外しているため、これから路温が少し上がったり、溝が減ってきたら評価も変わってくると思いますし、空気圧もまだまだ試していない領域もありますので引き続きチェックして
評価Part2に続きたいと思います。
個人的にはこの寒い気温でここまでグリップするのであれば真夏を除いたシーズンはどれだけのポテンシャルがあるのか楽しみです。逆に真夏はどれだけタレてしまうかも気になりますね。
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I tried VALINO PERGEA 08RS tire. How does the review?? Is the tire has awesome grip??
https://outlaw-atsu.blogspot.com/2020/01/valino-pergea08RS-review.htmlVALINO PERGEAのグリップ評価について(ヴァリノ)Part1