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2019年7月5日金曜日

タイヤのグリップについて考える3

前回の考察ブログに引き続きまして一応タイヤについての考察です。

タイヤは太ければコーナーが速い(CFが得られる)のか、また縦方向のグリップはどうすれば良くなるのかについてまとめてみました。


・太いタイヤは横力に対抗できる!?


あくまで前回までの考察だとタイヤを太くしても接地面の縦横比が変わるだけで接地面積が変わらない条件で考えてきました。ところが実際問題は若干変化(面積が拡大)します。

面積が増えるとなぜ速いコーナリングができるのか。

その答えがここのHP様の「タイヤを太くすると何故グリップが上がるのか」を見てもらうと分かります。
このHP様の結論を言うと太くして接地面積が増えても静止時や弱いコーナリング中のグリップは変わらないですが、最大荷重時の摩擦限界が高くなると言うことです。



太くすると赤い所まで限界が上がる。(自動車を物理する 様より)


300kgぐらいまでの荷重では細いタイヤも太いタイヤも比例的にグリップがあがりますが、そこから先の限界の伸び具合に差が生じます。つまりこのグラフで用いたタイヤで行くと、仮に荷重移動したとしても片輪に300kgしか掛からない車であれば細いタイヤだろうが太いタイヤだろうが一緒なワケです。
逆に太いタイヤを履かせた場合、バネ下重量が重くなるし、走行抵抗増えるし・・・なにより値段が高くなるのでマイナスでしかないわけです。



また補足説明として前回説明したように空気の働きだけを見た時だと、サイドウォールの厚みが高い方が剛性が高いという理論が成り立ち、トレッド面全体が偏心しやすくなる(タイヤを正面から見たときにトレッド面がホイールセンターからずれる現象)のですが、単純にサイドウォールの「ヨレ」だけでみると、ゴムなので横からの力がかかった時の変形が大きいので、ある程度はサイドウォールを薄くした方がCPが得られるという工学書の実験結果が乗っていました。


また横幅を広くしたときのグリップに関しての補足説明としては、金属やゴムなどの表面は一見平らに見えてもミクロの目で見ると凹凸があって、目で見えている接地面積と、実際に地面にタイヤが触れている真実接地面積は違います。


「車両運動性能とシャシーメカニズム」の図2-66より

実際地面と接している面積は見かけの接地面積、世間一般的にいうタイヤだと「ハガキ一枚分の面積」よりも少ないという事実があります。
細かいことは省略しますが、ゴムを柔らかくすると地面の凹凸に沿ってゴムが変形するので、真実接地面積が広がり摩擦力が上がるというからくりになっているのですが、真実接地面積も前回の「横滑り角とコーナリングフォース」の図のように、面積と摩擦力が比例関係にあるのは初期だけで面積が大きく(タイヤでいうと温度が上がったりして柔らかくなる)っても、それ以上は摩擦が上がらなくなります。つまり上のHP様の図のようにある程度まで荷重を掛けるとそれ以上限界は上がらなくなるという事です。

なので熱が入らなくても最初から柔らかいSタイヤはいきなりタイムが出ますし、熱が入りすぎてもグリップが上がらない(タレる)症状が出てくるわけですね。





以上説明してきた摩擦力は接触している物同士の表面の分子の間に引き合う力が働いており、滑らせようとすると「分子間力によるせん断抵抗力」が発生するために生じる現象でした。
しかし摩擦力を生じさせるにはもう一つ「変形損失摩擦力」というのがあります。
これは凹凸のある硬い路面の上を走ればゴムの接触部分は変形と復元を連続して起こす時に、運動エネルギーが消費されることによって生じる摩擦力です。
つまり縦方向に柔らかくて粘り気のある(ヒステリシスロスの大きい)タイヤであれば得やすい物になります。
具体的にどういうものか考えを進めてみました。








・ゼロ発進におけるタワみの極み

今まで横向きの力に対してどの位タイヤが耐えれるか見てきましたが、この摩擦力(ヒステリシスロス等によって生じるもの)は主に縦向きの力に対してどうかという風に考えて良いと思います。
即ちサイドターンやゼロ発進時に、どんなタイヤがどの様な特性を持つかと言う事です。


タイヤの地面に触れている所は、外径に対してある一定の割合で潰れて平らになります。(例えば上図の接地長は仮に直径640mmのタイヤの3%とすると60.23mmとなります。もちろん空気圧が一定の場合で考えます。)
接地長というのは細いタイヤの方が長くなるのは前回の通りですが、接地長のタイヤ外径に対するパーセンテージは同じ銘柄、同じ荷重の場合あまり変わらないらしいので大きい外径のタイヤの方が接地長を稼げます。(上の条件だと640mmのタイヤだと60.23mmですが、650mmのタイヤの場合61.23mmになるわけですね。ただ実際は勿論この通りに3%のままではなく、2.998%とかに減るとは思いますが。。。)


と言うことで同じ太さのタイヤでも外形サイズが大きい方がより接地面を稼げるわけです。軽自動車とGT-Rじゃタイヤ幅も違いますがそもそも外形サイズが全然違うのは接地面積を稼ぐためなのかもしれないですね。

コレを生かした極端な例で言うと、ゼロ発進を重視するドラッグレースカーが太くて外径が大きなタイヤを履いてます。



彼らはヒステリシスロスを最大限に発揮させるためホイールは出来るだけ小さくしてハイプロファイリングなタイヤを履いています。これは縦方向にタワむゴムの領域を広く取ることで、発進時の荷重が掛かった瞬間に縦方向にタワみやすくなり接地長が伸びる=接地面積が増えるようにしているみたいです。
ただ注意しなければならないのは接地長が長くなるとステアレスポンスが落ちます(^^;
なので後輪には良いかもですが、前輪につけるのは??



ということでタイヤを太くしたり大きくすることは確かに速く走る上で効果があるようですが、縦横両方のことを考えると無限に太く&大きくすれば良いわけではなくバランスなワケです。
これらの理論の延長線上に、サーキットを走るハードなチューニングカーではサイクルフェンダーとかにしてタイヤハウスを広げ、太くて大きな薄いタイヤを入れ込んで接地面積を広げ、縦にも横にも限界を上げているのでしょう。。。が、一般的な公道を走る車や公認競技に参戦するのであればそこまでできませんよね・・・ってことで




結論

普通にスポーツ走行をするには
太くてもダメ、細くてもダメ。ちょうど良いあんばいが一番いい。





どっかで聞いた様な言い回しなのは気のせいです(笑)




ただ前ホイールを18インチにしてステアレスポンスを、後ろを17インチにしてスタートダッシュを得ると言うSUPER GTがよくやっているセッティングもこれらの理論から「アリ」と判断できるわけです。
ただ一般車競技をする上でタイヤの太さ、大きさなんて同じ車種、同じクラスであれば大体一緒ですし、銘柄まで一緒なことが多いのでアドバンテージにはならないわけです(汗)

じゃあどうすれば良いかと前のブログに書いたホイールサイズを変更してあげるか、タイヤを上手く使いきれる線形内に収まるよう「荷重移動を少なく」して、4輪へ均等に仕事させるようにすれば効率よく車全体でCPが得られることになります。

荷重移動を少なくするにはトレッド、重心、重量などを考えればいいのですが非常にメンドクサイのでまたいずれってか上記のHP様に詳細に載っているのでそちらを(^^;
GT、F1などは上記の「トレッド、重心、重量」どれを見ても「広い、低い、軽い」を追求している所からもその重要さが伺えます。またそれに伴ってアームの構造も素晴らしいですよね(^^)b



タイヤの構造からくる大まかな特性をまとめたシリーズでした。次のブログでは続いて上記の考察に基づいた実験の結果、体感について記載していきたいと思います。

他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


This blog is about "How to get more cornering force(cornering power)?? Is tire width involved with??".

2019年6月27日木曜日

INTERSTATE TIRES(インターステートレース DNRT)とExtreme VR2タイヤについて

今日こんなタイヤをTwitterで見かけました。


今日は空港で飛行機待ちの時間が暇だったので調べてみるとフジ・コーポレーションが輸入・販売しているオランダに本社がある会社で、生産は中国や台湾のようです。



さらに調べてみるとコンパウンドは2種類、サイズは4種類。柔らかさを示すトレッドウェア(TW)は80と120の2種類あるようで、2014年ごろから販売開始したようです。



気になるのがその性能ですが、日本国内ではまだ評価がなかったので海外のREVIEWを調べてみました。





上記のHPによれば「イギリスのLlandowサーキットでExtreme VR2では74.97秒、一方Interstate Race DNRT(TW 80)では 75.11秒とほぼ同タイムで、値段はうれしいことに半額である」という評価が出ています。
Extreme VR2というタイヤが日本円に直すと15,800円/本、Interstate Race DNRTは日本円に直すと8,900円ぐらいと書いてあるので確かに半額ぐらいのようですね。
フジ・コーポレーションでも17インチだと8,700円で売られていますね。)


ただ比較対象として出てきている良いタイヤ(?)のExtreme VR2というタイヤが日本では販売されていないのでどの程度のタイヤなのか調べてみました。



これがExtreme VR2。コンパウンドはこのタイヤだけで5種類存在しているようです。日本でいうところのSタイヤのようですね。


ちなみに先ほどの比較対象で出てきたコンパウンドはR5なのでかなり柔らかめのコンパウンドのようで、こちらのページによればトレッドウェア(TW)は80だそうです。


さらにこちらのアメリカのページではハンコックのRS4と比べた結果が掲載されています。



コチラの比較ではVR2はR9コンパウンド(トレッドウェア200)で、サイズは195/50/R15。
対するハンコックRS4は225/45/R15で、若干ハンコックの方に有利な条件で比較した結果のようです。

また評価としては初心者の方でもRS4よりもVR2は扱いやすいタイヤでタイムを出しやすく、ブレーキが奥まで詰めることができる=止まるタイヤのようですが、一方で運転のうまい方が乗る場合は、限界のスライド領域においてはRS4に一歩劣り、ベストは少し落ちてしまうようです。
またVR2のミディアムコンパウンド(R7)は、BRIDGESTONEのRE-71Rと近しいとも言っていますね。


ということで、エクストリームVR2は日本で言うところのRE-71RやダンロップのZⅢ~ADVANのA052ぐらいのタイヤで、インターステートタイヤのRACE(DNRT)は同じぐらいの性能を持ちながらも半額であるというのが海外の評判のまとめになるでしょうか。




日本においてはインターステートしか流通していないので、試してみる価値はありそうですね。

他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。



What is INTERSTATE TIRES(Race DNRT)?? What is Extreme VR2?? How about those grips??

2019年6月24日月曜日

タイヤのグリップについて考える2

さて今日は前回の続きで以前のブログのリライトです。

タイヤの大切な要素は「走る、曲がる、止まる」だったと思います。


ただもう一つ大事な要素として「支える」と言うのがあると思います。
支えているのは勿論空気なのですが、ゴムにただ空気を入れていくだけだと風船のように四方八方に自由に膨らんでしまい、上記の性能をうまく発揮できなくなってしまいます。。。。

そこでタイヤにはカーカスという骨組みみたいのが入っています。
ゴムとゴムの間にカーカスを挟みこみ、それをどんどん重ねてタイヤの形を保てるようにしています。この重ねた数をプライスとか言うみたいですが。
ちなみに「ラジアル」と「バイアス」という2つの種類のタイヤが存在していますが、ラジアルタイヤはカーカスの重ね方が円周方向に直角に交差させた物。バイアスは円周方向から90度ほどずらした形で重ね合わせた物らしいです。
最近の乗用車用のタイヤでラジアル以外を見つける方が難しそうですが。。。。ちなみにラジアルの方がトレッド面の剛性が確保されていて走行が安定する構造みたいです。




・ホイールのインチアップによる影響

「剛性」という面でやりがちなのがホイールの大径化、ロープロファイリング化があります。
例えばシルビアなんかだと純正で205/55/16のサイズですが、255/40/17とかにすることを指します。この場合だと15%ロープロ化されています。(パーセンテージ表記ではなく、実際のハイト差は10mmぐらいです)
このように横幅を太くすれば接地面積が増えて、ハイトが薄くなってタワむゴムの部分が減るんだから速く走れてあたりまえじゃないかと考えていたんですがそうではないようです。


接地面について今はもうホームページが閉鎖されてしまいましたが、Motor city Rally様によれば

>まず、一般に「太いタイやはグリップがいい」って言われているし、実際その通りですよね。でも、ここで注意したいのがその理由、そう、決して「太いタイヤは接地面積が広いから」ではないという事です。
物理学の法則に「風船のように内部を空気で満たした薄膜の空気袋を考えたとき、荷重が一定なら、接地面積は内圧に反比例する。」というのがありまして、それはタイヤに関しても同じことが言えます。つまり、「185/60R14でも195/50R15でも205/45R16でも車重とタイヤの空気圧が一定なら接地面積は常に一定=一緒」といいかえられるんですね。
太いタイヤの方がタイヤの中のベルトが太いので細いタイヤと比べてワッカとしての剛性(リング剛性)が高いんです。つまり、タイヤが太いので横方向には太く接地している反面、上から荷重がかかった時につぶれにくいので縦方向への接地長が短くなり、結局、接地面積自体は同じとなってしまうわけです。まあ、若干の違いがあるにしてもトレッド幅ほどの違いは無さそうです。


ということで接地面積はタイヤを太くしたとしても同じタイヤ構造であれば変わらないと言うことになります。(外径も同径の時)
じゃあなぜタイヤを太くするとタイムがあがるのでしょうか?それについても上記のHP様で

>答えは簡単。タイヤのトレッド下にあるベルトが、タイヤが太くなるほど太くなるため、平面的な捩れの力に対して強く、ゆがみにくくなるってワケです。そのため、太いタイヤのほうがスリップアングルがついた時に出すことの出来る力が高くなるって事だったんですね。

と書かれていました。
ベルトとはカーカスとかを指しているのだと思いますが、サイズごとに構造を変えるというより、縦長だったトレッド面が横長になることによって接地長が短くなり、トレッド面が歪みにくくなるというのが正しい気がします。


路面からの入力に対してねじれずにグリップできる=コーナリングパワー(CP)が獲得できるというメカニズムのようですね。


また扁平率についても

> 空気を入れることによってその内圧でサイドウォールがパンッと張ります。これによってタイアのサイドウォールに剛性、つまり張力剛性が生じるわけです。
 タイヤの扁平率を上げていくとサイドウォール部の上下長が短くなり、上下に潰されたように丸い形になっていく。形が丸くなっていくと、このタイヤの張力剛性は下がっていく。一方、扁平率を下げると、サイドウォール部がまっすぐ立ち上がるので張力剛性は向上していく。張力剛性があがると、タイアのサイド剛性、引いてはタイア自体のボディ剛性が向上するという事です。
 つまり、超扁平タイアはベルトが太くリング剛性が高いので輪っか自体は潰れない一方、サイド部の剛性が低いため中心がずれるような偏芯性が大きくなってしまうわけです。つまり、グリップがよくなる反面、操縦安定性などの初期レスポンスなどに問題が出てくるわけですね。


薄いタイヤの方が剛性が低いと言ってますね。確かに薄いタイヤにしたら空気圧を少し高めに入れろと言われるのも張力剛性を高めるためなのかもしれません。
つまりロープロ化すればするほど理論的にはレスポンスが悪いタイヤになってしまうわけですね・・・ただそうならないようにメーカーは低扁平のタイヤになればなるほどサイドウォール剛性を上げているみたいです。
そう言われてみると、たしかに16inchのタイヤより17inchのタイヤ単体の重量も重かったような気がするのでサイドウォールのワイヤーを太くしているのかも?


ただ上記ではハイトが低いとサイドウォールが相対的に丸くなるから剛性が下がると書いてありますが、単純にタイヤのサイドウォール面積が狭くなって空気張力を得られる面積が狭くなるというのも一因だと思います。
(ちなみにホイールを太くしてタイヤを若干引っ張ってあげるとサイドウォールの丸みをなくすことができるので横剛性を確保できるみたいです。また理論ではハイトが高い方が剛性高いと言ってますがですがやっぱりゴムはゴムなので伸びる領域が広いとどうしてもタワんでしまいます。詳しくは次のブログで)

Sタイヤのサイドウォールが恐ろしく硬いのもCPを得るためには合理的な手段だったんですね。
ちなみに自分もテストに携わらせていたZESTINOタイヤもサイドウォールはめちゃくちゃ硬いです。硬すぎて自分で組みたくありません←
(路面追従性を確保する為にも、やみくもに硬くすれば良いって訳ではありません)






・タイヤの性能を生かし切るホイールサイズ

上記で引っ張るのが良いと触れましたが、実際どの位の太さのホイールにタイヤを組めばよい分からなかったので各タイヤメーカー様にインタビューしてみました。以下255/40/17サイズについての話の要点をまとめてみました。


>255/40/17の適正ホイールサイズは8.5-10J

ジムカーナなどの競技においてはその適正サイズの一番太い物に履かせるのが一般的。(この場合10J)

太いとショルダーが張って、トレッドが平らになるので引っかかるような限界挙動を示す。
逆に細い物に組むのはFFのリアなど。サイドなどで引きずる時に引っかかりをなくしたような挙動を示す。また乗り心地的には細いホイールに組んだ時がソフトになる傾向がある。また0.5Jホイールサイズを変えるとタイヤの最大幅(トレッドじゃないですよ)は5mm程変わっていく。 (D,B,Y各社へのインタビュー)


やはり限界自体は太いホイールの方が上がると言うのはメーカーでも公言しているわけです。

ただタイムを出すには扱いやすさの「バランス」なので上限いっぱいのホイールに組んでしまうと色々影響がでてきそうですよね。GTカーのタイヤを見ても引っ張ってる車なんて見ないので255であれば9か9.5Jあたりに組むのが良いのかな?










・番外編-タイヤの乗り心地!?

ちなみに上で触れた乗り心地についてですが、時々自分の車に乗っていてそんな大きな段差じゃないのに「ここの段差だけはやたら突き上げが激しいな?」と思ったことはないでしょうか?少なくとも自分は大学生の頃の通学路に2つあるのですが(笑)

これについて調べてみると、タイヤ屋さんはちゃんと実験しているのですね。
ラジアルタイヤを上下方向にハンマーで加振すると約80Hzにピークをもってトレッドが共振するみたいです。
また接地して荷重をかけた状態でトレッドを前後方向に加振すると約10~80Hzの広範囲で共振する報告がありました。(走りを支えるタイヤの秘密 より)


>タイヤの接地長を21cmとした時、ここを路面の突起が通過する間に1.5回周期が訪れるため、共振80Hzになるのは約40km/hとなり、この時の上下方向の衝撃が最大となる

つまりタイヤの共振数と一致してしまう速さで決まった入力の突起を通過すると、そのタイヤにとって最悪の乗り心地が得られる場所と化すわけですね。
ただ乗り心地についてはタイヤだけじゃなくてサスペンション等の共振なども加わってくるので実際にはズレますが・・・。あくまでタイヤだけで考えた場合です(^^;











理論的に太いタイヤにすると平面的ネジレ剛性が上がることでCPが得られることは分かりました。またサイドウォール剛性も重要ということも。






でもそれ以外のCPが上がる要因はないのか?



長くなってしまったので今回はこんな所。次回は意外と見落としがちな「あの」違いについて考えてみます。



他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


This blog is about "How to get more cornering force(cornering power)?? Is Section Width and Aspect Ratio involved with??".

2019年6月20日木曜日

タイヤのグリップについて考える

今回はタイヤについて考えてみたり。なのでタイヤ以外の車体側のことは無視します。
(このブログは以前のブログのリライトです)



そもそもタイヤの機能とはなんでしょうか?


「走る、曲がる、止まる」が世間一般の答えだったりします(?)





「走る、止まる」はまっすぐ進む分においては単純に荷重とタイヤの摩擦係数によってその性能を左右されます。

しかし「速く走る」上で重要なのは、もちろんまっすぐが速い=パワーがあることも重要ですが、「曲がる」性能がキモを握ってきます。


世間一般的に車はハンドルを回してフロントタイヤを切れば曲がると思います。この時車の進行方向とタイヤに横滑り角(スリップアングル)が付きます。

この時タイヤの回転面に直角な力を横力と呼び、車輪進行方向に直角な力をコーナリングフォース(CF)と呼ぶらしいです。


パソコンで書くのメンドクサイのでまさかの手抜きな手書き。楕円がタイヤです。
これらを用いて(もっと複雑ですが。。。)色々な理論を構築したFialaというえらい人が立てたタイヤ特性についてよく書かれた教科書を先輩から「読んでみたら?」と貸していただいたので、走る上で必要な所をまとめてみました。
例によって全ての計算式を省きます( ゚∀゚)・∵ブハッ!!


まずCFは荷重をかけて行けばかけて行くほど上がっていきます。皆さんコーナー曲がるときはブレーキで前荷重作るはずなのでコレはイメージしやすいと思います。



ただここで注目したいのが、横滑り角8度ぐらいまでは直線的にあがっていたグラフが、そこからだんだん飽和していってしまってます。ちなみに400kgの荷重だと、立ち上がり6度ぐらいまでは300kgより低いと言うのもミソです。

更にスリップアングルが増加するにつれて増えてくるCFの割合を示す、つまりスリップアングル1度あたりのCFをあらわした値をコーナリングパワー(CP)と言うらしいです。


以上から、荷重を一輪にかけるのは400kg以内に収めると良さそうですね。1.2㌧の車が内側後輪が浮くぐらい荷重移動している場合だとこれをオーバーしてしまいそうです(汗)
(そしたら荷重移動を減らして四輪に分散させれば良いじゃないかと思いますが、それについては少し以前に触れてみたりしました。しかしタイヤの話からはみ出してしまうのでまたの機会に改めて考えて見ます。)

また普通の車のタイヤ切れ角は30~40度ぐらいですから、ハンドル操作が半回転以内であれば効率良くCFが得られることになります。そして16度(ハンドル操作約1回転)ぐらいで飽和してしまうようなので、それ以上切ってもCFを得るにはあまり意味が無いことになります。



またよくサーキットなどで空気圧を調整したりしますが、理論的に空気圧があがれば耐荷重も増えますし(ロードインデックス)コーナリングフォースも上昇します。
(耐荷重についてはロードインデックスと空気圧などで検索すると沢山出てきます。)
ただ実際には無限に増大するわけは無く、空気圧が上昇しすぎるとトレッドの接地長が減少するため限界があります。


こちらもタイヤの構造によって左右するので、サーキットでそのタイヤを使っている方のアドバイスを受けるのが一番だと思います。



その他にキャンバーをつける事でCFを得ることも可能なようです。




コレをみると分かりますが、切れ角4度ぐらいまではキャンバー0、むしろポジキャンの方がCFが得られているのでレスポンスが良いことになります。
しかしピークCF値を獲得できているのは、ネガティブ側に4度です。
実際キャンバーをつけるとコーナーの奥で踏ん張ってくれるようになります。しかし逆に付けすぎると縦方向の踏ん張りがなくなってしまいます。

実際自分の車で実験してみると同じコーナー、同じ踏力でフロントロックするようになりました。



と言うことで付けないよりは付けた方が良さそうですが、4度以上付けるのはたとえFFであってもやめた方が良さそうですね。
ちなみにドリフトだとカウンターを切ったときに外側のタイヤがキャスターのせいでポジキャンになってしまうので、6度とかつけてもカウンターステア中の実キャンバーは起きてくるので結構つけた方が良さそうです。





今回速いコーナリングをするために理論的にCF、CPをどうやって得られるかまとめてみましたがまだまだ要素はあるようです。
それこそタイヤを太くしたり、外径を大きくしたり・・・。
でもそれらは本当に意味があることなのか?GTカーで逆にサイズダウンして早くなったという話を聞いた事があります。
長くなりそうなので次回はその辺を探求してみます。

(荷重移動とステアバランスについて記事を書きました。




(今回の図は自動車の運動と制御第二版より引用しました。)



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This blog is about "How to get more cornering force(cornering power)??".

2019年6月17日月曜日

VITOUR TIRE(ヴィッツァータイヤ)の新コンパウンド

が発表されていますね。



以前のブログでも紹介しましたが、現行のトレッドウェア(TW)200のコンパウンドは、実際にサーキットを走っているタイヤを見させていただきましたが、ゴムが硬いタイヤの表面をしていて、いわゆる溶けているような感じのタイヤではなかったなぁと感じた記憶があります。(なのでTW200というよりは、TW300ぐらいありそうなイメージを受けましたが、あくまで表面を見ただけの感想です。)
実際ネット上やドライブした方の感想も「セカンドラジアルぐらいかな?」という評価が大勢を占めているようです。

ドリフトでも同じようで、最近のハイグリップタイヤにありがちなササクレのような波打ったトレッド面にはなりづらいようです。


注目なのは軽自動車用のサイズもラインナップされるという情報ですね。

安くて耐久性があってグリップするタイヤになればユーザーにとってはうれしいですが、最近のA052やRE-12D等、もはやSタイヤより食うタイヤ達と比べてどうなのかが気になりますね。


2019.12.21
3つの種類のコンパウンドとなるようです。詳しくはコチラのブログにて。


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How dose new compound of VITOUR TEMPESTA ENZO??

2019年6月15日土曜日

車体前面の空力(正圧と負圧)について考える

先日ジムカーナをしに富士スピードウェイへ向かう道中、霧雨が降っていました。

雨の日というのは水の流れを見ることによって車の表面の空気がどう動いているのか見えるので走っていて楽しいです。
ちなみに空力解析するとこんな感じで車表面における空気の圧力は分散しています。


35GT-Rの空力解析の拾い画像。


さらに普通の雨ではなく霧雨というのは車の表面の空気の流れを見るとき、結構参考になることが多いです。

これを検証すべく、たまたま時速90~100km/hぐらいで高速を走行してすぐパーキングに入れたので写真を撮ってみました。
なお携帯の画像なので残念な感じですが。。。


画質が悪くて申し訳ないですが、拡大してみて頂くと水の流れがよくわかります。。。。。。はい、わからない人の方が多いと思うので図示します。






ボンネットの前側から中央ちょっと後ろぐらいまでは水が流れているのがわかります。(赤いライン)
そして一度赤いラインが途切れて緑の〇をつけたところはまばらに雨が付着しています。
そして一番奥の窓に近い部分(青い〇)はほとんど雨に濡れていません。


ボンネットの中央あたりまでは風が流れているが、緑のあたりで風がたまり始め、青い部分では風が巻いて空気が溜まってしまい雨が到達できていないということかと思います。




次はフロントガラス。写真撮るからワイパー使わなかったのに写っていないのが悔しいところです。




ワイパーがあるというのも大きいと思いますが、ボンネットの奥の方と同じく空気が巻いてしまって緑の部分はあまり濡れていません。
逆に青い部分は雨に濡れて流れもできています。





最後にサイドウインド。
シルビアやインテグラを始め、クーペボディの車は窓を開けても全然が涼しくない(風が入ってこない)のが霧の日だとよくわかります。





図で青い〇で囲ったところが濡れて、中央あたりは全然濡れていません。
ドアミラーの後ろはフロントガラスから巻いてきた空気の渦が当たっている感じです。
その後ろは逆に空気が剥離して雨が当たってない=窓を開けても運転手に風があたらないというのがわかります。


ということで35GT-Rの解析結果と同じような圧力分散が起きていることがよくわかります。

じゃあどうしたらいいのかということになりますが、例えば「ボンネットの後端部分が正圧だからそこにモールをつけて整流」ということをやると、もしかしたらその部分は良くなるかもしれないですが、空気渦が変化してサイドガラスあたりで正圧が発生してしまったり、と言うことがあるので車全体で見たときのドラッグが減ったのかを考えないとあまり意味がないかもしれませんね。

最近読んだ論文だとマツダが発表しているCX-9の空力に関する論文が面白いので興味ある方はぜひ読んでみてください。
今回は触れませんが、車の後部に発生する一番大きな負圧領域を減らすand利用する空力も考えていかないといけないので難しいですね。



他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


This blog considered about "How to realizing aerodynamicsdrag reducing??"