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2020年12月14日月曜日

ダウンフォースとタイヤの耐荷重について考える

近年CFD解析技術が上がってきたという事もあり、一昔前では考えられないぐらいダウンフォースが増えています。 
特にサーキット走行される方は大きいGTウイングを付けたり、車体下面をフラットにしたり、フロントバンパーに「アゴ」を付けたりといったことをすることで飛躍的にダウンフォースが増えていると思います。 




 こちらはアンダー鈴木選手の車両。ダウンフォース凄そうですね。


 一方でダウンフォースが増えるという事は、タイヤへの負担も増えるという事になります。 
以前ストレートでまっすぐ走っているだけなのにSタイヤがバーストした事例がありましたが、考えられる要因として「何か鋭利なものを踏んでしまった」、「たまたまハズレのタイヤだった」もしくは「タイヤの設計耐荷重をオーバーした」あたりが考えれます。
 鋭利なものを踏んでしまった、たまたまハズレだったのはどうしようもありませんが、ストレートで車速が伸びている時が一番ダウンフォースが発生する=入力が増えるので「ストレートにおいてタイヤの設計耐荷重をオーバーした」という可能性は否定できません。 


ただしこの事例はかなりダウンフォースがかかるサーキット車両に限られた話なので、一般道を走れる改造車レベルであれば心配する必要はほぼありませんが、荷重が乗った状態で縁石を踏む場面では、昨今のハイグリップタイヤはグリップが上がっているのに耐荷重の表記はそんなに大きくなっていないので普通の車でも危ういかもしれません。 

タイヤの耐荷重&スピード表記


解決策としては一輪にかかる荷重量を減らす≒荷重移動量を減らすことになるので、王道に帰結してしまいますが「車高は低く(重心を低く)」「車幅を広く」「軽量」であることが、より求められるようになるかもしれませんね。
 (荷重移動を減らす、については以前のブログをご参考に)
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2020年12月9日水曜日

【売】S15シルビア ジムカーナ車両

【2021年2月12日、完売しました。】
知人のジムカーナ用に作られたS15の売却情報です。
かなり手入れをされており、大きなメンテナンスをしてからあまり走行してないので、ドリフトに使われる方含めて検討頂ければ幸いです。
以下、オーナー様から頂いた写真、資料です。



※ウイングはしまってあるだけで、付属してます。↓↓の写真を参考にして下さい。

資料はこちら



屋根下にて大事に保管していたので状態も良いと思いますが、現車優先です。
改めて見ると同じステージを走っていたのもあり、ほとんど私のS15と一緒ですね←


ステッカー貼る前の状態も添付します。
ステッカー剥がしてお渡しも可能との事です。
金額は200万円でお願い致します。

現車確認や価格交渉等、オーナー様と連絡取られたい場合は各種SNS等から私にご連絡頂き、繋がせて頂きます。なお個人取引なのでテンプレになりますが、購入意思表示後はNC,NR、現金一括でお願い致します。
宜しくお願い致します。

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2020年12月2日水曜日

EVのチューニングについて考える(改造)

EV化の流れに伴い、将来的にはEV車メインのモータースポーツ時代が来るかもしれません。現代だと大きいところではフォーミュラEですね。


一般車もEV車になった場合、これまでエンジン車で行っていたチューニングメニューが大きく変わってくると思われます。
具体的にはエンジン車ならではのメニューである

①エンジンの効率の良い回転域を使うための複数ギア(クロスミッションへの変更等)

②出力向上を目的とした改造(ポート研磨等のエンジン本体の改造やマフラー等の排気系の変更など)

このあたりの改造がなくなり、EVならではのアプローチが必要になってきます。EVを動かす為の主なコンポーネントは大体4つです。

VCU⇒インバーター⇔バッテリー⇔モーター

VCUはエンジン車もありますが、車の頭脳です。インバーターはVCUからの命令(アクセルONとかOFFとか)を受けて、モーターに供給する電力をバッテリーから吸い上げ、供給する流れです。


今回は動力の要となるモーターを中心にチューニングについて考えてみます。

これは最大出力が約220kW(約300馬力)、最大トルクが約460Nm(約46kgf)という、現行車ではSUBARU WRXあたりの性能をもったモーターの出力曲線です。4500~4600回転あたりが最大出力となるようです。(濃い緑の線)

ただしエンジンと違って4600回転以降も出力はそんなに落ち込みませんので、ギアチェンジをさせる意味があまりありません。

例えば筑波サーキットを想定し、使う速度域が70km/h~180km/hだった場合、モーター回転数4500~12,000rpmが70km~180km/hになるギア比であれば、変速させる必要がないという事になります。(むしろ変速させた瞬間のラグの方がもったいない場合もある)

仮に225/45/17のタイヤを履いた車のファイナルギアが4.1とした場合、モーターのピニオンギア比(エンジン車で言うミッションの減速比)が1.9ぐらいであればベストマッチな感じです。(1.9というギア比は一般的な車の2速と3速の間ぐらい)

という事で、EV車でギア比チューンと言うのは「クロスミッション」という選択肢から、ピニオンorファイナル変更で使用する速度域に合わせた「固定ギア比」となりそうです。

ただギア比変えちゃうとスピードメーターが狂うのでVCUエラーが出そうですが、そこはキャンセラーがきっと出てくるでしょう←


一方で難しいのが出力向上です。

エンジンのボアアップのような、外見はそのまま中身を変えて出力を上げるのは難しく、モーターとインバーターの大型化、それを制御するVCUも制御変更することになります。さらにバッテリーも大出力に耐えられるか、という話にもなってくるので気軽に手が出せなさそうです。

もし流行るとしたらアクセルレスポンスを少し上げる程度のVCUセッティングぐらいでしょうか。


もしかしたらスワップキットという形で、モーター、インバーター、VCUのセットで販売される可能性は無くもないですが、全てをインテグレートできる会社は中々ないですし、バッテリーまで交換となると個人で購入するには高価すぎるので、2020年現在では想像しにくいビジネスです。とはいえ、色々な国で2030年を境にEVしか販売できない国も増えてくるので、現代の常識すら変わってくるかもしれませんね。(年々安くなってますし)

エンジンと違って部品点数は少ないですが、一つ一つが高価な上に制御変更が必要になるので、DIYやちょっとしたガレージでの改造は足回りやLSD、ギア比ぐらいしかできなくなるのでしょう。ある意味、強制的にイコールコンディションになるのでレース的には良かったり?

ちなみに日産関連会社のオーテックがリーフをチューニングしている記事がありますが、こちらにもVCUはチューニングできるが、駆動系(モーター、インバーター)の開発はコストが掛かりすぎるから断念した旨が記載されています。


世界各国で2040年までにほぼエンジン車の販売が禁止になる見込みなので、2030年頃に販売ているであろう最後のガソリンエンジンモデルはその後20年ぐらいは今の90年代のスポーツカーよろしく価格が高騰しそうですね。ただしガソリンスタンドも激減して不便になりそうですが。。。


改造するというハードルが高いですし、そもそも公道を走る車を改造するという概念も無くなり、手軽にいじれるラジコンやカートみたいなモータースポーツがメインになったりするかもしれませんね。

EVについては仕事柄携わることも多いので、今後も取り上げていければと思います。

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2020年11月23日月曜日

タイヤカスの削り方

スーパーGTやドリフトで有名な谷口選手が、走行後に気になるタイヤカスの取り方についてこんな記事を書かれていました。

なるほど、便利な器具ですね。

自分でもプラスチックの丸棒を用いて、表にローラーを付けて走行後のタイヤカスを取りやすい台をいつも持ち歩いています。

こんな形。





黒い方はローラーもつけているので、走行後にタイヤカスやブレーキダストをこの台を使って洗浄してから車に積んでいます。

これならそんなに費用も加工手間もかからず、軽量なので持ち運びにも便利です。


またサーキットアタック系の方では必要になる、タイヤ削りですが、電動カンナで削る際にこういった台があるとより便利ですし、最近はこの電動カンナも有線ではなく、バッテリー式のものまで出てきているのでサーキット等の現場でタイヤ削り作業が出来てしまうので便利ですね。


Twitterでは電動カンナを使って削ることをDKCと呼んでいるようです?電動カンナも前よりだいぶ安くなってきた気がしますね。
タイムアタックシーズン到来ですが今年も自分は冬は走れなさそうです…。

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2020年11月20日金曜日

ヴァリノ VR08GPの評価(空気圧と温度依存性)

前回に続きVALINOから発売されたグリップ走行専用のVR08GPについてレビュー第2段です。 

今回は空気圧と温度依存性(ライフの考察)についてです。 

1.空気圧について 

結論から書くと2.2kpaあたりがちょうど良いと感じています。
(ホイールとタイヤの太さによって変わります。8Jに225の場合は2.4ぐらい)
 冷間1.8でスタートすると前回のブログで課題としていたとおり、ブレーキング時にトレッド面が左右方向にヨレやすくなってしまい、ジャダーが激しい印象でした。
左がフロント、右がリア

 3本走って1本目は1.8、2本目2.2、3本目2.4でテストしましたが、2.4はすごくコーナリング中のシッカリ感が出るのですが、これまた1.8の時に顕著に出た課題のブレーキングがシビアになってきた気がするので、2.2~2.3あたりがベストなのかなと、今現在は感じています。 

聞くところによると開発側としても2.2ぐらいがベストだったそうで、だいたい合っているのかもしれません。 
ただしまだ皮が剥け切れていないですし、車側のセットもそのままのポン乗りなのでもっと違う良いところがあるかもしれません。またタイヤの溝が減れば表面のヨレが少なくなるのでもう少し空気圧を落とせそうです。 


 2.温度依存性について  

Sタイヤのようにコンパウンド分けしている場合は最適温度域というのが明記されていますが、このタイヤは明記されていません。 
トレッドウェアは200という事でA052と同じ数字になっています。一般的に200程度の硬さがあれば温度依存性は低くなるので、比較的広い温度域でグリップを発揮することが出来ます。  



これは3本走行後のフロント表面。 
VR08GPはDUNLOPのZ3みたいな奇麗な削れ方をしていますので、ハイグリップタイヤとしてはライフも長そうですから、サーキットで走り込んでもお財布に優しそうです。
またゴム自体はPERGEAに比べると硬いので、経年劣化も少ないと思われます。



ちなみにこちらはぺルギアの走行後の表面。
(フロントは左側)

 使用した温度域がそこそこ一緒の写真を持ってきたつもりです。センターがエグれてますし、表面が波打って削れていることからも、PERGEA 08RSの方が柔らかいゴムと言うことがわかります。(ちなみに適正温度域に入ると縦方向は08RSの方が表面が溶けて凄まじいグリップになります。)

メーカーサイドとしてVR08GPの最適温度域はサーキット周回もにらんで表面温度70℃らしいです。低温でも高温でもサラサラしたゴムのため挙動変化は少なく、PERGEAは適正温度域を外すと進まなかったので、大きな違いかもしれません。 これからの冬場で試さないと確実なことは言えませんが、使用できる温度域は広そうですね。

 
↑↑のネット価格を見てもらえればと思いますが、国産に比べ安価ですので「お値段以上」な品質&グリップだと思いますし、前回書いたデメリット部分もそこまで致命的ではないので、総合的にはとても良くできたタイヤだと思います。 

ただしジムカーナのような「冷間からのここ一発」はA052等のスーパーハイグリップに分があると思いますので、一周のベストラップで競うのか、周回の平均ラップタイムを削りたいのかで使い分ける必要があると思います。 



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I tried to confirm the appropriate air-pressure and tread-thermal condition of VALINO VR08GP.

2020年11月17日火曜日

VALINO VR08GPのグリップ評価

ヴァリノからリリースされたVR08GPについて、一足先にテストの機会を頂いたのでインプレッションです。

結論としては暖まれば71RSあたりのタイヤで、サーキット周回用と言ったところでしょうか。


タイヤはハイグリップ化が進み、シーランド比(溝と接地面の比)を維持しつつ、柔らかくなったゴムを支えるべくトレッド剛性確保のため、縦溝2本が内側にオフセットした形のタイヤが増えています。ヴァリノのVR08シリーズはこの考え方を踏襲したパターンになっていますね。
事前にβテストで導入されていたVR00βの評判が高かったのでジムカーナと言う、ドリフト競技と同じように冷間時の性能が試される使用方法でテストしてみました。

今回の記事は製品の出来栄え(品質評価)と、ジムカーナ走行3本走行時のグリップ評価の2本立てで行きます。


1.品質評価について

縦溝(センターグルーヴ)が内側になり、左右非対称になるとウエイト面でアンバランスになりがちですが、このVR08GPは設計が良いのかタイヤバランスも良く、4本共にほぼ同じような回転バランスだったのでバラつきも少なく、製造精度もかなり高いものと思われます。


バランサーにて測定しました。

真円度は目視でしか確認していませんが、上下動が少なかったので問題無しです。また左右方向のウエイトバランスも、10~20g程度のウエイト調整で合うので国産タイヤと比較しても遜色ないレベルですね。
これは製造精度は勿論、タイヤ重量そのものが軽くなった恩恵が大きいのでしょう。ぺルギアシリーズは欠点として挙げたようにタイヤ自体が重く、ウエイトバランスはそれなりに貼らないといけなかったですから。

お話聞いてみると、このタイヤの設計をされた方は実績ある方みたいで・・・なるほど、納得の仕上がりです。ただ軽量化のためにリムガードもないので、ホイールが傷つきやすくなる点は注意が必要ですが、国産のハイグリップタイヤ同等の重量レベルに仕上がってます。


2.グリップ評価について

ドライコンディションにおいては、かなりのハイグリップタイヤと言えますが、熱が入るまではぺルギアシリーズと比べると時間がかかります。


特に冷間スタートにおける前後方向(主にブレーキング)が難しいタイヤと感じました。
理由としては「内側と外側の熱の入り方に違いがあり、動き方に差が出てしまうため」です。

青で示した内側は横方向には狭く、縦方向には深い溝があってトレッドが動きやすく、熱が入りやすい

内側は細い&深い横方向の溝もあるためかなり暖まりが早く、逆に外側はブロック剛性が高いため暖まりにくいです。実際1分程度の走行で内側と外側で10℃前後の温度差が生じていました。
この状況でブレーキングすると内側の接地面はグリップして止まろうとするのに、外側の接地面は滑るという状態に陥って、ブレーキング時にタイヤが左右方向へジャダーが発生するような挙動を示しました。

評価時は外側が皮がむけ切っていないという事もあるかと思いますが、剥けたとしても冷間スタートでのブレーキ挙動は注意しておく必要がありそうです。ただサーキット走行するのであれば、ウォームアップ走行で外側まで均一に暖めれば解消するであろう気はします。またキャンバーセッティングがかなりキモになるタイヤです。


温まればはコーナリング速度も外側のトレッド剛性のおかげもあって速いですが、サイドターン明け等の、縦方向の加速が苦手です。限界挙動はドリフトタイヤを開発されてるだけあってとてもコントローラブルです。(PERGEAシリーズはラリータイヤみたいに滑ってても舵が効くイメージ、VRシリーズは一般的な滑り挙動ですが、その幅が広め)

なので路温と路面にもよるでしょうがタイヤにあわせた走らせ方&セッティングをすれば、サーキット周回タイム的には71RSあたりのハイグリップに迫れるレベルであると感じました。もっと路温が下がるとダメかもしれませんが…。

解析すると、この気温で前半、特にスタートダッシュがぺルギアから若干遅れるぐらい内側のヨレはデメリットでもありつつ、メリットにもなりそうです。
例によって前半と後半でフィールが違いすぎてドタバタしてますが。


と言うことで全体的には品質込で、前作のPERGEAシリーズからの進化具合が凄いので良い方向に驚きました。

大事なポイントですが18インチでもこの価格で、国産タイヤの半額以下なので、高いタイヤを減るまで使い続けるより、安価なフレッシュタイヤを常に使うと言う選択肢もありですね。


今回のインプレ第1段は「冷間時のブレーキングに気をつけろ」という話でした。
次の記事で空気圧やトレッド温度依存性あたりについて触れてみたいと思います。
(次の記事はコチラ


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I tried and review of VR08GP, new product of VALINO TIRES. Which makes good rap time but have some issues.