漠然と「タイヤの減りやすさ(≒柔らかさ)を示す数値」という理解で正しいのですが、どのような基準で数字が定義されるのか気になったので調べてみました。
ちなみに以前の色々なブログで記載したように、ゴムが柔らかくなると一般論としてグリップがよくなり、ハイグリップタイヤというのは総じて柔らかいゴムであることがほとんどです。そのため、どの位グリップするかの指標としてトレッドウェアが用いられるようになってきました。
~トレッドウェアとは?~
そもそもトレッドウェアとは、アメリカで用いられるUTQG (Uniform Tyre Quality Grading)と呼ばれるタイヤ品質等級基準テストのうちの1項目です。
トレッドウェアの他にトラクション(Traction)と温度抵抗性能(Temperature)という3項目で構成されています。
トラクションは「濡れた路面での止まりやすさ」を4段階で評価したもの、温度抵抗性能は「耐熱性や放熱性」を3段階で評価したものです。
そしてトレッドウェア(以下、TW)は「タイヤの摩耗のしやすさ」を数字で示したもので、一般的にはタイヤ寿命の指標です。
詳しくはコチラのページを参照頂ければと思いますが、数字が大きくなれば硬いゴム、小さくなれば柔らかいゴムで、小さい数字の方がハイグリップタイヤである可能性が高いです。(ハイグリップタイヤだと80~200ぐらい、一般のタイヤだと350~が主流といったイメージでしょうか)
VITOURタイヤのトレッドウェア例。
~トレッドウェアはグリップの比較指標にはならない?~
ということでUTQGのうち、エコタイヤの耐久性やモータースポーツ的に気になるグリップを判断する数値としてはTWですが、注意しなければならないのがメーカーが記載している数字は明確な基準があるわけではなく(指標みたいなものはある)、メーカー各社がそれぞれの判断基準で数字記載をしているため、メーカーやブランドが違うと同じ数字でも実際の柔らかさ(≒グリップ)は違うということです。
つまりA社はTWを200としているタイヤでも、B社の判断基準ではTWを280と判定して記載している場合もあると言う理解になります。
なのでA社の製品で、コンパウンドごとにTWが表記されていた場合はどのコンパウンドが柔らかいのか(グリップしそうか)の指標として判断するのには有用ですが、A社のTW200とB社のTW200というタイヤが同じ柔らかさ(同じぐらいのグリップ)であるか、という判断は難しいということになるかと思います。
たとえばZESTINOのGredgeシリーズを見た場合、07RSはTW140、07RRはTW180、07RはTW240と記載されており、同社の中でどれが一番グリップしそうなタイヤなのか、数字だけだと07RSが一番柔らかくてグリップしそうであると判断できます。(実際のグリップはゴムの溶けやすさやサイドウォール剛性等のトータルで考える必要があるので絶対的な判断にはなりませんが、指標としては用いれるかと思います。)
ところが他社のTW140とされるタイヤと07RSのグリップや摩耗しやすさというのは、ゴムの材質も違えば柔らかさも違う上に、タイヤ内の構造も違うので比較しても、0.1秒を競うような方の判断基準としては?となります。
~結論 TWはあくまでイメージを掴むもの~
結論としては、そのタイヤがどのぐらいのグリップレベルのグループに属するのかのイメージを掴むのには使えますが、メーカーやブランドをまたいだ性能比較はできないという感じでしょうか。
ちなみに国内タイヤメーカーの方にトレッドウェアの話を聞いた時にも「メーカーによって表示する数値はまちまち」と仰っていたので、今回の理解となりました。
特に競技に用いるのであればTWの数字だけでは判断つかないのでTWだけでタイヤを判断せず、実際に使われている方のインプレッションやトレッドの溶け方をよく観察することが大切だと思います。
2019.12.3追記
5fivexタイヤよりこんな記事が発表されてました。
やはりトレッドウェアはあくまで参考値として見るに留めておいたほうが良さそうです。
他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。
What is TREADWEAR?? Are the treadwear and Tire grip correlated??