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2018年10月5日金曜日

LSDメーカーの違いについて

今回はLSD。

LSD(機械式デフや機械式LSDと呼ばれる物)とは下記の動画で説明されていますが、デファレンシャルギアで本来左右のタイヤの駆動を変動させるとことろを抑え込み、両輪に同じ駆動を伝えることで路面μが低かったり、荷重移動してしまっている状況でも車を前に進めることができる部品となります。



このLSDというのは0.01mm単位でフィーリングが変わる代物ですから、精巧な製造技術が求められます。さらに瞬間的にすごい力がかかる場合もあるため、強固な素材・設計である必要があることから、製造できる会社というのは国内で限られています。

国内のメーカーとしてLSDを販売しているのは

・CUSCO
・OS技研
・KAAZ
・ATS
・IKEYA FORMULA
・TRDやNISMOなどのメーカー系


こんなところでしょうか。
一般的なLSDの構造は下記の図を参照ください。


このようにケースの外側にあるコーンプレートが圧力をかけ、プレートを押し付けることでイニシャルトルクを決めています。駆動力が伝わることで真ん中のクロスシャフトがプレッシャーリングを押し広げ、プレートが密着し、左右の回転差がなくなるという仕組みになっています。

この代表的な構造に最初に大きな改革を起こしたのがCUSCOと認識しています。

CUSCOのRS


このように、今まで外側から圧力をかけていたのを内側からスプリングがプレッシャーリングを押し付けています。
動き方としてはプレッシャーリングがもともと内側から押されてロック気味と言うこともあり、リニアに(すぐに)ロックします。
良い言い方をするとレスポンス良くロックと言えますし、悪い言い方をすると滑り領域が少ない(過渡期のない)ロック特性と言えます。
これを改善すべくCUSCOではスペックFと呼ばれる、溝のないプレートを開発し、プレートが密着(ロック)しにくくすることでマイルドさを出そうとしています。
ですがこの「過渡期」を作り出すのはプレート同士の摩擦力だけではありません。

これが4年ほど使用したCUSCOのデフケース内側です。



外爪プレートがデフケースに食い込み、くぼんでいます。(食い込み)
寿命と言われればそれまでですが、これだけ食い込んでいるということは、プレッシャーリングが押し広げられ、プレート同士が密着させられる際にこの溝にそってプレートが広げられる方向に動かなければならないところが引っ掛かっている、業界では「ヒスが発生している」と呼ばれる状況が発生しているということになります。
つまりアクセルONで駆動を入れても、プレートが素直に動けず、一定以上のトルクが掛かって突然動き出し、ロックするという動きがこの溝の部分に起因して出てしまいます。事実、コーナリング中にアクセルを入れるとある一定のところから突然ロックという動き方をしていました。(FFでは内側を巻かせる運転をさせる際はそういう動きをしてほしい場合もあります。)



次に革新的な構造を作ったと認識しているのがOS技研。
これは上記のCUSCOのプレッシャーリングを外側に押さえつけるのとは反対に、プレッシャーリングを押しすぼめる方向にスプリングの力を利用しています。
つまりプレッシャーリングが徐々に広がるため、マイルドなにロック設定が理論上できそうです。


負荷をかけていない状態。


アクセルオン等で負荷が掛かっている状態。

ですがこちらも試してみたところ、アクセルを軽くONし、駆動力をかけても初期がロックしずらく、またロックし始めても滑り領域(過渡期)が広すぎてロックタイミングが遅い傾向です。感覚的にはプレートとプレートの間にあるオイルがプレッシャーリングに押されても排出されず、滑ってしまっている感覚です。
様々なスプリングレート、スプリングの本数を試し、セッティングを変更しててみても、改善はしましたが基本的な動きは変わりませんでした。当方からもオイルスルーの改善要望を出させて頂き、現在ではプレートの溝の切り方を変え、少し変更されているようですが基本的な動きは変わらないかもしれないですね。(86やスイフトスポーツなどの車種限定で左右回転差感応式のプレッシャーリングのデュアルコアと呼ばれる構造を導入しており改善はしているようです。)
その代わりチャタリングがないので街乗りメインであったり、過渡期が長いのでウェット路面では使えるかもしれません。
(イメージ的には強めのトルセンデフのよう?な感覚です)



さらに新しい構造を投入してきたのがIKEYA FORMULAです。
ピロアームは有名かと思いますが、実はLSDも製造していたりします。


こちらはオーソドックスな外圧式のコーンプレートがいる構造ですが、プレートの爪がケースに接続されるのではなく、プレート専用の稼働用軸を配置し、上記したヒスがない設計となっています。
つまり滑り領域(過渡期)とロックのリニアさを兼ね備えた設計となっています。
個人的に取材してみたのですが、開発にとんでもない金額をかけている上に、EK9やその他メーカー純正トルセンデフを世界で初めて開発したLSDの権威である方がこのデフの開発を行ったとのことです。
勿論構造にもお金かかっていますが、プレート一枚一枚の圧力の分散等を解析し、表面処理だけの開発だけでも相当手が込んでいるそうで、チャタリングのような圧が一瞬溜まってしまうような動きは一切しないとのことでした。
フォーミュラカー等にも採用されているでしょうが、アフターパーツとしてはエリーゼ等を除いて個人販売をしていない所が悔やまれる所です。


ということでLSDは開発にどれだけ時間とお金を費やせたかで出来がかなり変わってくるようです。次回はLSDの製造元にフォーカスしてみたいと思います。



他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。




This blog is about "How about CUSCO,OS GIKEN, IKEYA FORMULA and the other LSDs?? What is the difference between there?" If you want to read this blog, Please press "Translate" buttons near the top of this blog.

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