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2024年4月25日木曜日

ニュートラルステアを理解する

昨今、Facebook上でAZUR川村さんやふら♪さんを始め、全日本トップドライバーの方々も提起している「ニュートラルステア」。
概念として「ドライバーが意図した軌道をトレースできる」ように車側を調律することを指しています。


概念は理解できるものの、その調律には「タイヤ空気圧調整は0.1kPa以下」、「前後トレッド調整1㎜以下」の極小領域かつ「車高」等のすべての項目を調律していく必要があるそうで、私自身も含めドライバーがその変化を感じ取れるセンサーを身に着けることは中々難しい(ハードルが高い)と感じています。

一方で、車高や減衰を多少いじっても中々車の変化を感じられない場合、現状その車は「ニュートラルステア」からほど遠い状態であり、いくらセットを変更しても感じにくく、逆に「ニュートラルステア」の車は少しのセット変更で如実に動きが変わるらしく、少しでもその領域に近づくべく、頭では理解したいと考え調べてみました。


まず「物理的なニュートラルステア」とは何か、を調べるとマツダ車で有名なオートエグゼさんのこちらのページがわかりやすく記載しています。



上記HPより

まず「物理的なニュートラルステア」とは、上図のとおり定常円旋廻の状態から、舵角を保ったまま速度を上げた時に旋回半径が大きくなる「アンダーステア」、逆に旋回半径が小さくなる「オーバーステア」、そして車速が変化しても旋回半径が変わらない「ニュートラルステア」と定義されています。

さらに各輪のコーナリングパワー(CP)がバランスするポイントを「ニュートラルステアポイント(NSP)」と呼び、一般の乗用車では、NSPはホイールベースの中心点近辺に存在しているそうです。



そして、このNSPと重心(CG)までの位置関係でステアリング特性が決まるそうです。
一般的にエンジンが前側に搭載されている車はCGがNSPより前側で、旋回中に加速していくとNSPと重心までの距離δと遠心力とが曲がろうとする向きとは反対向きに作用し、前輪のCPがバランスできなくなるとアンダーステアになるそうです。
アンダーステアが出た場合、普通ならステアリングをさらに切り込んでスリップアングルをつけ、CPを得ようとしますが、高速旋回している場合は以前記載したように、切り込み過ぎるとタイヤの限界が訪れるので、切り角もバランスを見ていく必要があります。



上記はあくまで静的に見たときの理論値で、ここから先はさらに「感性的なニュートラルステア」の理解が必要で、上述した「タイヤの限界値特性」や「荷重移動」が加わってきます。
詳細は上記HPのこちらの記事になりますが、数式とかを一切省いて言葉で理解するならば、「前輪と後輪のスリップアングルを一致させる」ことになります。




現実的にはスリップアングルというより、各タイヤが生み出す力を一致させるために前後のトレッド差を0.3mm単位、かつ空気圧を0.05kPa単位で追い込んでいく必要があるようです。
また調べていくと面白いのが制御側でニュートラルステアを実現しようとしている論文を見つけました。制御側で組み込んでくれれば人間側にセンサーがなくとも官能的なステアフィールになりそうですね。

と言うことでニュートラルステアの概念を物理的に少しだけ理解することが出来ました。


これを理解した上でセンサーがない人間でも変化がわかりやすい部分から調整していきたいと思います。


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2024年4月9日火曜日

フルバケシートの高さ調整パッド

 フルバケットシートを導入する場合、シートレールを含めて一般的には「ローポジション」に変更される方が多いと思います。

サーキット周回がメインなら低重心にも貢献できますし良い点も多いのですが、ドリフトやジムカーナ等、パイロンや障害物、特に運転席と反対側(右ハンドルなら左側)をよく見ないといけない場面が多い競技の場合、逆に「ハイポジション」にすることでパイロンや先行車に可能な限り近づくことでタイムやポイントを稼げる場面が出てきたりします。

また自分もそうですが背が低い方の場合、シートレールの一番上のポジションに設定しても前が見えず、普段の運転にも支障がある場合があります。
特にGR86/BRZはインパネやドアパネルが高いので、前も横も見えづらいと感じていました。


そんな自分を見かねてか(?)、シルクブレイズスポーツさんが作ってくださったのが高さ調整できる「シートポジションパッド」になります。



こちらはフルバケ専用に作ってもらったので、6点式のシートベルト穴もついており、競技ユーザー目線で作っていただきました。
またフルバケでの長時間移動も多々あるため、蒸れずに疲れない構造にしてもらいました。




こちらは試作品の時の画像。
この頃とは構造が若干変わっているかもしれませんが、座り心地としては「オフィスのシートに座っているみたい」な感覚です。

高さもかなり上げたいニーズに合わせて50mmと、ちょい上げニーズに合わせた30mmがリリースされています。
競技中だけでなく、移動中も快適になるのでありがたい一品です。


よく見てみると、この画像の車はTeam VALINO GR86ですね(;'∀')


2024年3月4日月曜日

サビないボディの育て方

車を長い期間所持する上で気になるのは部品供給ももちろんですが、「ボディの状態」も大きなポイントになると思います。
自分の車もすでに20年以上経っていますがよくボディ上部も下部も状態が良いといわれ、保存方法について尋ねられるので、自己流ですがやり方について記載します。



ボディの状態とは上面は勿論のこと下面もピカピカ、すなわち錆のないきれいな状態を維持できるか、という点になると思います。一般的には下回りをピッチングに強い塗料で塗装する方法がほとんどだと思いますし、それが一番確実だと思います。


一方で、いくら塗装してもホイールハウス内、ホイールハウス後ろ当たりの鉄板は気を付けていても飛び石や塩害等で錆が出てきてしまうことがあると思います。
また意外と気が付かないのが雨水が伝うモールの隙間などはパネルの継ぎ目であることが多く、サビが発生してしまうことが多いと感じています。


ので、あくまで自己流ですが私はウェットコーティング剤をボディ上部だけでなく下部にも時々施工しています。



ウェットコーティングとは、よく自動車用品店で売っているゼロウォーターのように、濡れたボディにスプレーするだけで皮膜を形成する、とうたっている製品を指しています。
これの欠点は皮膜が薄く効果があまり持続しないことですが、利点は手が届かないモールの隙間等も水が流れればコーティング出来ることです。


これを私はボディ上面は勿論、ボディ下面にも定期的に施工しています。



洗車ついでにホイールを外し、大きめのブラシでホイールハウスや足回りを洗い、スプレータイプのウェットコーティングを下面全体的に振りかけていきます。
最近は面倒になってきて高圧洗浄機を導入し、洗浄しています。

また洗浄後も高圧洗浄機の洗剤噴射機能を用いてウェットコーティング剤を噴霧し楽々コーティングしています。


ただ高圧洗浄機で噴霧は「量」を使ってしまうため、小分けボトル売りされているコーティング剤はコスト的に使っていません。
私は4L売りされているこちらの製品を使い、遠慮なく噴射しています。



大手KYK(古河薬品工業)が出している業務用のウェットコーティング剤。
4Lで実勢価格も以下のYahoo!や楽天を見て貰えば分かりますが、3000円程度で買えるので遠慮なく使っています。もちろん塗装と違ってゴム部分等にマスキングする必要もないので容赦なく高圧噴射しています(←




やり方として正しくはないかもしれませんが、これでほぼ錆も発生することも無く維持できているので1つの方法ではあるのだと思います。
あくまで自己流ですので参考までに。


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2024年2月25日日曜日

ジャッキスタンド(リジッドラック・ウマ)の注意喚起

整備する時にはジャッキスタンド(リジッドラック・ウマ)を利用して行うことが「安全」だと思っていましたが、こんな投稿を見つけましたのでシェアします。


リジッドラックをかけていたのにリジッドラックが折れてしまったとする内容です。
写真をよく見ると折り畳み式のもののようですね。
折り畳み式で一番ハイリフトさせたときに折れてしまっているようです。

さらに関連でこんな投稿も見つけました。


この手の折り畳み式は持ち運びや収納に便利な一方、耐荷重が低く、一番大事な「安全」と言う部分が担保しにくいので下にもぐるような整備には使わない方が良さそうですね。




そういう意味ではやはり老舗のエマーソン等の昔ながらのゴツイ製品が、「安全」と言う観点では良さそうですね。

もっと言えば以前調べた簡易リフト、日本にはありませんが電源レスのリフトがあれば便利ですね。

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2024年2月8日木曜日

NDロードスターのミッションが弱い原因と強化方法

サーキット、ジムカーナ問わず、モータースポーツに幅広く使われている現行のNDロードスターですが、よく聞かれるのが「ミッションが弱い」ということです。

純正でもRFではデュアルマスフライホイールを用いて駆動系への激力緩和を行っており、社外のフライホイールにすると顕著にミッションブローしやすくなるとのことです。
順当に考えれば「強化ミッションにすれば?」と考え、調べてみると以下の製品を見つけました。


シンクロ等は純正を使い、ギアのみ強化するという代物。
スーパー耐久公認ということもあり、良さそうですが現在は販売停止。。。
この製品かは定かでないですが、スーパー耐久においては強化品でもブローが続出と聞いています。


現時点、上記のODULA以外に強化品は見つからず、周りのND乗りの方に聞いても「ブローしたら純正のミッションAssyが安いので載替」と言うのが常套手段のようです。
とは言え、ドラシャブローであれば予備を持ち運んでその場で交換、もできますが、予備ミッションを持ち運んで現地で交換、はNDのトランク容量的に厳しいと思うので(?)、ブローのたびに積車を呼んで運んでもらう必要が出てきます。


個人的には「いつ壊れるかわからない恐怖」と「何度も同じ出費が重なる」というのは好ましくないので、何か対策がないのか調べてたら、やはり世界は広かったです!?



海外のBBRと言う会社から出ているNCロードスターのミッションコンバージョンキットです。
こちらの商品ページで以下のようなことが記載されています。
以下は概要です。

  • 専門家によると、NDミッションを強化するにはギア自体の強化だけでなく、ミッションの窯の強化(シャフトの軸ズレ防止)が必要
  • 上記に加えNDはデフでの最終減速比が少ないため、ミッション側のギアに不必要にストレスがかかりやすい
  • 窯とギアの強化・新設計するよりも他のミッションを流用する方がはるかに経済的

ということで、NDのシャーシを共用して使っているフィアットと同じく、NCロードスターのミッションを流用することが一番効率的という判断になったそうです。
またマツダのパワープラントフレーム(PPF)という独特の形状していることや、プロペラシャフトがそのまま使えることもあり、NCのを流用するのが一番効率的、だそうです。


確かにNDロードスターの最終減速比(ファイナルギア比)は2.866と、例えばGR86/BRZの4.1に比べかなりローレシオで、ミッション側での減速量が比較的多い設計になっているようですね。
ただし、社外ECUを使わないのであれば、ギア比変更による車速エラーが出てしまうらしいのでECU対策があわせて必要ですね。




このコンバージョンキットはNCミッションを接続させるためのアダプターや必要なボルト類がセットになって、日本円で約20万円。これでBBR的には「300馬力オーバーのターボ付NDでもOK」だそうです。
(感覚論ですが、このぐらいの部品点数なら日本国内でも数十セット作ることが確約できればもっと安く作っていただけるところありそうな気がします。。。)



換装せずとも、短期的にみれば以前記事にした極圧剤をオイル添加して(or GL5以上のミッションオイルを使用して)、多少の腐食は許容してサーキット現場でのブローを回避すると言う考え方もあっても良いかもしれません。


ということで、NDロードスターのミッションがなぜ弱いのか、そして強化する最適なソリューションについて、海外事例の紹介でした。
(純正が行っている駆動系保護のためのデュアルマスフライホイールとは?はコチラの記事をご参照ください)


(こんなことを書けば、どこかのメーカーさんが作ってくれるのを期待してます♪)

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2024年2月6日火曜日

ハイリフトな軽量ガレージジャッキ(BAL アルミジャッキ1.5t)

サーキットでのタイヤ交換は勿論、自宅等での整備でも有用なガレージジャッキ。
自宅用のハイリフトなガレージジャッキと、サーキット用のコンパクトなジャッキを使い分けられればベストですが、できればサーキットでも整備でも1つで賄えればありがたいです。




一般的に1.5tクラスのアルミガレージジャッキが軽量&コンパクトで持ち運びしている方も多く、次いで2tクラスのジャッキを使っている方が多い印象です。



こちらはアストロプロダクツの1.5tアルミレーシングジャッキ
重量も約11kgと軽量で、自分も使っています。

ただネックなのがリフト量で、整備する際に用いる一般的なリジッドラック(ウマ)に乗せようとすると400mmはリフトが必要になることが多く、このジャッキだけでは賄いきれない場面が多々あります。


低いウマに乗せる際はこれでもいいのですが、ウマに乗せて作業する場合は車の下にもぐることが多いので、結局作業スペースを確保しようとすると足りないことがあります。

400mm以上のリフトとなるとアルミ製では2.0tクラス以上が必要になりますが、重いうえに横幅もそれなりにあるので持ち運ぶには苦労する場面があります。
(1.5tと2.0tを2つ運用するには保管場所がとられるというネックもあります)

2つ運用できるのであれば、自宅におくのはアルミよりリフト量が稼げるスチール製がベストですが、スチールは重すぎて収納するのが大変で非力な自分では使用できず。。。



ということで調べてみると1.5tクラスで400mmオーバーなリフト量を誇る製品が大橋産業(BAL)からリリースされていることを最近知りました。


こちらは11.7㎏と軽量なうえに420mmのリフト量を誇り、「持ち運び」も「自宅整備」も1つにまとめたい自分にはピッタリなサイズでした。


値段もアストロプロダクツの1.5tと、ネット実勢価格はほぼ同じで買いやすく、国内メーカー(製造は海外)というのもいいですね。





しかし本当は以前調べた簡易リフト、もっと言えば日本にはありませんが電源レスのリフトが欲しいですが、個人で手を出すサイズ感ではないですね。。。