Translate ~Select your language~

2022年5月10日火曜日

タイヤのグリップについて考察

タイヤは漠然とグリップするゴムとしか捉えられてないことが多いですが、どうすればグリップが上がるのか考察してみた記事のリライトです。


まずタイヤの機能とはなんでしょうか?


「走る、曲がる、止まる」が一般的な解答でしょうか。



「走る、止まる」はまっすぐ進む分においては単純に荷重とタイヤの摩擦係数によってその性能を左右されます。

しかし「速く走る」上で重要なのは、もちろんまっすぐが速い=パワーがあることも重要ですが、「曲がる」性能も大事です。

一般的にハンドルを切れば曲がると思います。この時車の進行方向とタイヤに横滑り角(スリップアングル、θ)が付きます。

この時タイヤの回転面に直角な力を横力と呼び、車輪進行方向に直角な力をコーナリングフォース(CF)と呼びます。


楕円がタイヤです。

まずCFは荷重をかけて行けばかけて行くほど上がっていきます。皆さんコーナー曲がるときにブレーキで前荷重作ると曲がるはずなのでイメージしやすいと思います。



ここで注目したいのが、横滑り角8度ぐらいまでは直線的にあがりますが、そこからだんだん飽和していってしまってます。ちなみに400kgの荷重だと、立ち上がり6度ぐらいまでは300kgより低いと言うのもミソです。

更にスリップアングルが増加するにつれて増えてくるCFの割合を示す、つまりスリップアングル1度あたりのCFをあらわした値をコーナリングパワー(CP)と呼び、データ化したのが下図です。


以上から、荷重を一輪にかけるのは400kg以内(サイズによって変動)に収めると良さそうですね。
(そしたら荷重移動を減らして四輪に分散させれば良いのですが、そちらは少し以前に触れてみたりしました。しかしタイヤの話からはみ出してしまうのでまたの機会に。)

また一部のFFやAWDを除き普通の車のタイヤ切れ角は30~40度ぐらいですから、ハンドル操作が半回転以内であれば効率良くCFが得られることになります。そして16度(ハンドル操作約1回転)ぐらいで飽和してしまい。それ以上切ってもCFを得るにはあまり意味が無いことになります。



またよくサーキットなどで空気圧を調整したりしますが、理論的に空気圧があがれば耐荷重も増え(ロードインデックス)、コーナリングフォースも上昇します。
ただ実際には無限に増大するわけは無く、空気圧が上昇しすぎるとトレッドの接地長が減少するため限界が訪れます。


こちらもタイヤの構造によって左右するので、サーキットでそのタイヤを使っている方のアドバイスを受けるのが一番だと思います。



その他にキャンバーをつける事でCFを得ることも可能です。




上図より切れ角4度ぐらいまではキャンバー0、むしろポジキャンの方がCFが得られているのでレスポンスが良いことになります。
しかしピークCF値を獲得できているのは、ネガティブ側に4度です。
実際キャンバーをつけるとコーナーの奥で踏ん張ってくれるようになりますが、逆に付けすぎると縦方向の踏ん張りがなくなってしまい、自分の車で実験してみると同じコーナー、同じ踏力でフロントロックするようになりました。



と言うことで付けないよりは付けた方が良さそうですが、4度以上付けるのはたとえFFであってもやめた方が良さそうです。
ちなみにドリフトだとカウンターを切ったときに外側のタイヤがキャスターのせいでポジキャンになってしまうので、6度とかつけてもカウンターステア中の実キャンバーは起きてくるのでナックルによりますが寝かせ気味ですね。




今回速いコーナリングをするためCF、CPがどのように得られるかまとめてみましたがまだまだ要素はあるようです。
タイヤを太くしたり、外径を大きくしたり・・・。
でもそれらは本当に意味があることなのか?全日本ジムカーナやGTカーで逆にサイズダウンして早くなったという話を聞いた事もあります。
長くなりそうなのでまた次回に。

(荷重移動とステアバランスについて記事を書きました。



(図は自動車の運動と制御第二版より引用)


2022年5月5日木曜日

タイヤの硬化と劣化について

 サーキットや競技でタイヤを使われる方や、スタッドレスタイヤの硬化というのは気になる問題かと思いますのでリライトです。


この疑問に対し、こんな記事を拝見しました。







要は冷暗冷所、空気流入が激しくないところで保管していれば3年ぐらいは劣化をほぼ考えなくてもよいとする記事です。

もし上記記載した条件で保管できるのであれば比較的長い期間タイヤをフレッシュに使うことができそうですね。



一方で気を付けるべきこととして、上記で劣化しないとしているのは熱等の影響を一度も受けていない「新品」のタイヤであって、一度使用しているタイヤというのは「自動酸化」と呼ばれる劣化が勝手に進んでしまいます。
(製造時の釜の熱で、配合する添加物によっては新品でも酸化してしまうこともあり、特にTWの数字が小さい柔らかいゴム程影響があります)

詳しいことはコチラの論文に記載されていますが、要は一度熱を入れてしまったり紫外線等に当ててしまうと、酸素と化合して酸化、つまり劣化してしまいます。さらにその劣化した部分を起点に、劣化していない部分も自動的に劣化が進んでしまうと読めます。

(イメージ的には、鉄における錆のような感じでしょうか。一部がサビるとどんどん錆が広がる感じ)




ということで一度使ったタイヤというのは冷暗冷所に保管(ラップでぐるぐる巻きにしたり)した方が勿論良いですが、新品タイヤのように何年も劣化が進まないわけではない、という解釈になるかと思います。

逆に少し古いロットの新品タイヤ(ちゃんと保管されていたもの)で、叩き売りされてればラッキーかもしれませんね。



また最近のタイヤは国産メーカーでも海外工場で生産され、海上輸送されてることが多く、暑い時期に搬送された製品だと新品とは言え劣化している場合もありそうなので注意が必要です。

他の記事をお読みになりたい方はサイトマップや↓の検索・ラベル等からご参照ください

2022年4月15日金曜日

2022年ハイグリップタイヤのトレッドウェア一覧(TW)

 2022年現在のハイグリップタイヤトレッドウェア(TW)を一覧化しました。

価格は昨今の為替もあり変動が激しいので、気になる方は各製品の通販現在価格リンクをご確認ください。

MakerBrandProductsTW
ブリヂストンPOTENZARE-71RS-
RE-12D-
ヨコハマADVANNEOVA AD09200
A052200
FLEVA300
DUNLOPDIREZZAZ3200
β10-
TOYOPROXXESR1R200
R888R100
R888R DRIFT-
NANKANGNS-2R80120
CR-S200
AR-180
KENDAKR20300
KR20A180
FEDERAL595RSRR140
595RS-PRO200
GOODRIDESPORT RS240
VALINOPERGEA08SP140
08RS160
08R200
08C300
GREEVA08D360
VRVR08GP200
ZEKNOVARS606R3100
R1140
R4240
SUPER
SPORTS
RS240
VITOURTEMPESTA
ENZO
V-01R140
V-02R200
V-03R280
ZESTINOZ-REXZTS-7000200
ZTS-5000360
Gredge07RS140
07R240
07RK240
5FivexGerun051R140
051S240
051A280
Accerela651Sport200
651Sport100
GT RadialCHAMPIROSX2200
SX2 RS220
RoadXRT01180
シバ
タイヤ
REVIMAXR23180
R23200
R23240
R23280
LINGLONGFlashHERO200





今話題のシバタイヤを含め、最新化をご要望頂いてましたが中々できず、お待たせしました。
他の記事をお読みになりたい方はサイトマップや↓の検索・ラベル等からご参照ください

2022年4月11日月曜日

ブレーキ整備

まれな事項かもしれませんが同じような人がいるかもしれないので整備記録を。

以前ブレーキが左右でバランスがとれておらず、ブレーキキャリパーをOHしましたが、それでも左右のブレーキバランスが治らない状況が続いていました。

原因の結論としてはパッドのスライドレールに塗布したグリスが流れ出て、ローター表面に付着し、ブレーキを潤滑していたためでした。
これは見た目ではわからず、ブレーキクリーナーを用いてローター清掃すると若干復活するものの、染み込んでしまったのか完全復活には至りませんでした。

そこでローターとパッドを新品へ交換。
これでサイドターン含めてブレーキバランスが治ればよいのですが。


ちなみにシルビア系のリアキャリパーは新品ローター&新品パッドだと普通にピストンツールで戻しただけだと入らず、コツがいるので久々にみんカラの方もそのうち更新するかもしれません。

2022年3月29日火曜日

ハイグリップタイヤのトレッドパターンについて

時々トレッドパターンについて質問されることがありますが、結論として「シーランド比を維持しながら最適解を求めるとどのメーカーも同じようなパターンになる」というのが最近のトレンドでしょうか。




写真はヴァリノのぺルギアシリーズのトレッドパターン。

でもこのパターンってハイグリップタイヤと称されるタイヤだと割と似ていることが多い気がします。




国産や海外のハイグリップタイヤを並べてみただけですが、センターの溝2本と、そこから斜めに線が2~3本ぐらいに分かれて入るというのが多いです。

この形になる理由としてはシーランド比と呼ばれる規制をクリアしつつも熱だまりによる剥離等を防止しようとすると、必然的にこうなってしまうそうです。
シーランド比規制について、例えば今年のD1の規則書にこんな記載があります。



赤枠で囲っているところで、要は溝が22%以上ないとダメとなっています。
この割合を保ちつつ、バランスさせるとこのようなパターンになってくるそうで。

では最近流行りのADVAN A052やNankang CR-Sは違う、と言う理由はまた別の機会に。

と言いつつ、最近時間なくてシリーズ物の続編書かずに忘れてるので凄い気になるものあればコメント下さい。。。


他の記事をお読みになりたい方はサイトマップや↓の検索・ラベル等からご参照ください

2022年3月25日金曜日

Araiヘルメット GP-5WとGP-6Sの違い

四輪レース用のヘルメットはSHOEIやBELLといったメーカーもありますが、アライヘルメットを使用されている方が多いように感じています。
個人的にもアライを使っており、そろそろ使用期限が近づいてきたので新しく購入しようとしたら新シリーズがでてて迷ってしまいました。




四輪レース用のヘルメットも色々ありますが、普通の乗用車レース、いわゆる「箱車」だと適合としては「GP-6 8859」「GP-6S 8859」「GP-5W 8859」「GP-5WP 8859」が適合します。(5Wと5WPはバイザー形状が違うだけ)


上図の左側に適合カテゴリーが記載されています。

上図からするとGP-6,GP-6S,GP-5Wが四輪レース用となっており、どれを選べばよいのか分かりにくく、数字だけみると6シリーズの方が新しそうに感じますが、変化点としては6シリーズは5シリーズにはないエアダクトが装着されていて、蒸れにくいのだそう。

詳しくはコチラのサイトの画像がわかりやすいですが、主な違いはそこで、GP-6は6Sや5Wに比べ2倍近くの価格となっています。
GP-6SとGP-5Wは同価格になっていますが、違いとしては

・6Sはダクトがあるものの上図の赤枠のとおり頬のパッド調整ができない
・5Wはダクトはないものの頬のパッド調整ができる

となっているようです。(上位のGP-6は頬パッド調整も出来る)

と言うことで周回レースをする方は6シリーズが良いと思いますが、自分のようにジムカーナがメインだと5シリーズの方が良さそうで、使い方次第ですね。




視界は5シリーズの方が広めなので、眼鏡をかけている方も5シリーズの方が良さそうなので、自分はGP-5Wを購入しました。元々使ってたこともあり、見やすく良いです。




他の記事をお読みになりたい方はサイトマップや↓の検索・ラベル等からご参照ください