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2020年4月9日木曜日

ABSが付いている車のLSD(機械式デファレンシャルギア)について

2010年以降に登場している車のABSはスポーツ走行をしていても比較的止まりやすく、また横滑防止機能(VSCとかTCSとか呼ばれてます)もブレーキで制御していることも相まって、一昔前の車とはLSDの選択に違いが生じてきているようです。


以前も触れた、特殊な形状のLSDを製造しているOS技研さんのインタビュー動画。
動画でも触れられていますが、86/BRZのように横滑防止機能がついている車であれば、ブレーキングでリアが不安定になった時に左右の回転差をブレーキ側で制御して車を安定させているため、その制御を活かしたほうが車速を殺さない(速い)ので、あえて1Wayを選択しているのだとか。

一昔前のFR車であればブレーキング時にリアを安定させるためにLSDは2Way、もしくはブレーキング時の効きが少し弱めの1.5Wayを選択するのがセオリーでしたが、最近の車はブレーキの電子制御を邪魔しないようあえて1Wayにした方が速いんですね。

新しい車に乗っている方は当たり前かもしれませんが、古い車しか知らない自分は初耳でした←


サーキット走行でフロントのダウンフォースが強い車であれば、FF車でも2Wayというのも取りうる手段なんですね。

ただ近年の車は上述した86/BRZと同じようにFF車においてもブレーキング時の左右輪の回転差をブレーキパッドで制御しているでしょうから、あまりイニシャルトルクが高いとブレーキ制御が無駄に入って車速が自分の意志に反して必要以上に落ちてしまう可能性もありますね。この辺りは走るステージや車両設定、実際にLSDを付けて走られている方やショップの方に聞きながら設定して組込む必要がありそうです。
またOS技研さんもそうですが、以前記載したようにメーカーによって狙っている挙動が違いますし設計コストが違うので目的に合ったLSDを選ぶのは奥が深そうです。

まずは一昔前の「FFなら1Way、FRなら2Way(1.5way)」という考えは取り払わなければならないですね。。。



他の記事をお読みになりたい方は↓のラベルや関連ページ等からご参照ください。

What type of LSD match for recent cars??

2020年4月7日火曜日

MAC AUTO PARTS ハイブリッドモニターの取付

以前のブログで触れたようにマニュアルミッションベース(DCT)であるホンダのi-DCDハイブリッドは、車側の制御にあわせた運転が出来るか否かが燃費に大きく影響します。
具体的にはEV走行に入るギア段数と、アクセル開度、そしてバッテリーの残量であるSOC(State of Charge)がカギを握ってきます。
納車して3か月、約800km程乗ったので大分慣れてきましたが、やはり絶対的な数字をモニタリングしながら運転した方が燃費向上になりますし、運転が楽しくなるのでMac Auto Partsさんが販売しているハイブリッドモニターを購入してみました。


表示項目としては「SOC、水温、エンジン回転数、アクセル開度、モーター電流値、水温、ギア段数(エンジンとモーターそれぞれのギア段)」が表示されます。
どの様な条件が重なればEV走行を続けられるのか数値的に把握できれば、燃費運転にも繋げられそうです。
(ちなみに競技に使う時にもバッテリー残量とギア段数が見れるのでかなり有用かと思います。この車でサーキット行くかは疑問ですが。。。)
本体価格は6200円と安価ですが、外観をしっかりさせた筐体+小型化するために5,000円課金すると、上の写真のようなスマートな外観になります。


説明書も懇切丁寧な内容です。ちなみに裏モードで「モーター回転数、モータートルク、インバーター温度、バッテリ温度、バッテリ温度差、バッテリ電圧、奇数軸ギア段」も見ることが出来るので様々なコンディションをモニタリングできるようですね。
取付はOBD2に差し込んで配線するだけなので簡単です。


運転席足元の給油口レバーの上にあるOBD2端子に差し込んで


ウェザーストリップに線を這わせて(この写真の後、ウェザーストリップのゴムの中に配線を隠してます)


本体はこのあたりに設置。
冬場はヒーターを使うので水温が下がらないようエンジンが頻繁にかかってしまいますが、これさえあれば水温を監視できるので、様子を見ながらラジエター前にボードを挟んで温度が下がらないようにして燃費対策してもよさそうです。
また機を見てハイブリットモニターについては評価していきたいと思いますが、とりあえず夜間だとバックライトが眩しいです(汗)
次のアクションとしては納車して1,000kmとなるのでオイル交換でしょうか。
エコオイルチェンジャーを付けるとオイル交換が楽になるので取付も検討中です。


フリード関連のブログはこのブログの「フリードハイブリッド」タブ(ラベル)にまとめてますのでご覧下さい。

2020年4月3日金曜日

バンプステアについて(ドリフトとグリップ走行での違い)

前回記載したスクラブ半径の他にも、ハンドリングを考察する上で外せない要素の一つに「バンプステア」と呼ばれるものがあります。
バンプステアとは、バンプ(ストロークした時)にアーム類の位置関係によってトーアウトになったりトーインに変化することを指します。
多くの車はフロントのナックルの後ろ側にタイロッドがついており、ロアアームと取付角度が違っています。そこでバンプステアをどうセッティングしていけば良いか考察してみました。



今回はストラット車を例に図を見ていきます。なおバンプステア以外の要素は考慮に入れていません。
下図はタイヤを車体後ろ側から見た図です。

まず停止状態(1G)でのロアアームとタイロッドの位置関係。
多くの車の場合、ロアアームよりもタイロッドのハの字は浅めについていることが多いです。この時のロアアームとタイロッドの長さ関係を抜き出してみます。


こんな感じ。
ナックルと車体までの距離を「A」とします。これを踏まえた上でタイヤを単純にバンプさせます。


そうするとロアアームとタイロッドの角度が変わるので相対的な長さも変わってきます。
どう言うことなのか、上図と同じようにロアアームとタイロッドだけ取り出してみます。


このように緑のタイロッドは平行より上となって相対的な長さがAより短くなります。
逆にロアアームは水平になるので相対的な長さが1Gの時のAより長くなります。
(画像はわかりやすいように誇張表現してます。)



その結果どうなるかと言うと、バンプさせるだけでタイヤはトーアウトの方向に動いていきます。
トーの関係を表すため、下図はタイヤを上から見た図ですのでお間違え無きよう。

車体上側から見た、バンプさせた時のタイヤのトー角度。

左が1Gの状態で、右がバンプさせた時のタイヤのトー角です。
勿論この図もかなり誇張して表現していますが、バンプさせるとフロントタイヤのトー角はこのようにトーアウト側にズレるよう設計されている車がほとんどです。

グリップ走行におけるドライバーの感じ方はコーナリング中、外側がバンプして縮むと、外側のタイヤはハンドルを切ってストロークすればするほど(つまり荷重を掛ければ掛けるほど)切れ角が減っていくのでアンダーステアなハンドリングになります。(メーカーサイドからすれば、荷重が掛かる=無理なハンドルで車体が乱れてしまわないようアンダーなセットにしてるのだと思います)



なのでスポーツ走行的にはロアアームの取付角度とタイロッドの取付角度が平行が理想…ですが実際には少しバンプステア残さないと、低速でのコーナリング等で左右アングル差が出来ずナチュラルなハンドリングにならないので、少しだけ角度差があるのがベストでしょうか。
ちなみにイケヤフォーミュラさんのタイロッドエンドは絶妙な取付角度設計になっています。


手持ちで1番わかり易い写真の、ちょうど良いところに写り込んでるイケメン弟子くん←
後で写真はとり直しますが、ロアアームとタイロッドの角度が絶妙に差がついているのがわかるでしょうか。(殆ど平行ですが、よく見ると赤線のような角度差が少しついてます。もちろん赤線も誇張して角度付けてます)
少しバンプステアも利用できるので、ドライバーの体感的にはナチュラルなハンドリングになってます。

ロアアームとセットなら純正と遜色ないバンプステアになるのでしょうが、やっぱり足回りを交換するならキチンと計算(強度、防錆要件とか)されて作られている製品を使いたいですね。


一方ドリフトだと荷重がかかっている外側のタイヤがトーアウト=切れ角が増えるので、前回のスクラブ半径の考察に基づくと、バンプステアが発生した方がキレ角が増えます。更に内側のタイヤもドリフト中はリバウンド(伸びる)すると、コチラもハンドルが切れる方向になるのでなおさらハンドルが切れます。

この図はフロント左右のタイヤを上から見た図。ドリフト中における外側のタイヤは左側になりますね。


ドリフトだとあえてバンプステアになるようにすると荷重移動した際の切れ角が増えるので良さそうですが、言い換えるとストロークする程勝手にハンドルが切れてしまうのでそれを良いと判断するか否かでドライバー評価は分かれそうですね。
(バンプステアを増やす具体的な方法としては、ロアアームにロールセンターアジャスターを付け、タイロッドエンドはあえて純正のままにすると、角度差が出来るのでバンプステアを積極的に利用出来ます)

かなり大雑把に考察してみましたが、バンプステアについてはドリフトとグリップ走行(タイムアタック)で正反対の動き(評価)になるという話でした。
(間違ってたらすみません)

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What is bump steer?? Is that best setting different from time attack situation and drift situation??

2020年3月25日水曜日

ドリフトにおけるスクラブ半径ポジティブ化について

ドリ車はワイトレや攻めたオフセットのホイールを使う事によって、スクラブ半径が大きくなる(ポジティブ)にもかかわらず、競技中のハンドリングはスクラブ半径が大きい方が良いというインプレが多いので、なぜなのか気になっていました。
(スクラブ半径とは?については以前のブログにて)


ジムカーナにおけるサイドターン中などの低速域では、外輪と内輪のホイールベース差をあえて出すことで内外輪差を吸収できるようにも出来ますが、高速コーナーではこちらのサイトにあるように、駆動方式によって挙動に変化が出て来そうです。
なのでタイムアタックされる方は車幅は広げてもスクラブ半径を出来る限りゼロに近づくよう(ポジティブにならないよう)アーム側を伸ばす、と言うのがグリップ走行だとハンドリングも良くなるし、セオリーです。


一方でドリフトにおいてはワイドトレッドスペーサーをかましてスクラブ半径を大きくした方がハンドリングが良くなるというインプレッションを見ます。(延長ロアアームを付けた上でなお、ワイトレを噛ます方も多い)


考察するにあたり、ドリフトのフルカウンターを当てた時で考えてみます。(アッカーマンアングルは無しとします)


これはフロント2輪の直進時と、下側の図は右にハンドルを切ったときの様子。スクラブ半径0とスクラブ半径がポジティブの場合で切り込んでいくと左右でタイヤ位置が変わってきます。


そして内輪と外輪の各輪における回転中心までの半径を簡易的に点線で計測してみました。

左右各輪の回転中心を求める超簡易図。後輪軸の延長線に前左右輪から直角に伸ばした線が回転半径になるかと思います。
(車体の回転中心を求める場合と異なります。)

この点線だけ抜き取って揃えてみると

こんな感じで左のスクラブ半径が0の場合だと左右の回転半径は同じですが、スクラブが大きいと回転半径が左右で変わります。
(画像は手書きで適当に描いているので厳密ではありません)

この画像のとおり右にハンドルを切っている状態はドリフトだと右前タイヤが外側=荷重が乗っているタイヤになりますので、外側の回転半径が小さくなるという事は右前は曲がる(横に流れやすい)≒スピンしにくくなるので「ハンドリングが良くなる」というドライバーのインプレッションに結び付くのかもしれませんね。(求め方が間違ってたらすみません)

逆に左前のタイヤは回転半径が大きくなって引きずりを起こすので、定番のナックル加工によるアッカーマンアングルを減らす方向にするのは切れ角のみならず、ハンドリング上においても的を得た改造なのかもしれません。
(考慮する上で外せないアッカーマンアングルとは?セットの方向性は?については以前のアッカーマンアングルについてをご覧下さい)


上位の選手では更に踏み込んでエストニアにあるWisefabや、最近ではCUSCOからもナックルが発表されているように、社外ナックルを装着される方もいます。これらのナックルはアーム取り付け角度等、他の要素も考慮して作られているので、競技用に色々最適化されているのでしょう。メーカーによって設計思想が違うのも、見ていて面白いですし、場合によってはグリップ走行に有用な製品も多々あります。

色々なメーカーから足回りの根本的な設計を変えられる部品が次々と出て来ているので、ドリ車のマシンメイキングは面白いですね。

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What is Scrub radius?? Why does the Drift car has long distance of scrub radius makes good handling during drift??

2020年3月20日金曜日

ヴァリノ ぺルギア08RSのウェット評価について

先日走行した競技会においては、雪や雹が混じった極低温路面でのウェット走行となりました。
幸か不幸か(人間的には寒すぎて不幸でしたが。。。)タイヤのウェット評価が出来る機会でしたので、インプレを記載します。

なおReviewのPart1でも記載しましたが、このタイヤの仕様温度域は20℃~となっているため、タイヤからするとかなり外した環境下での評価であることが大前提となります。


路面温度は手持ちの温度計で4℃(雹が凄すぎてその後測っていないですが、もっと下がっていったと思います。)、気温5℃ぐらいのウェットというかなり厳しいコンディション。
タイヤのトレッド温度はスタート前の濡れてないところで約6℃という数字になっていました。



空気圧について


ウェットでの走行が初めてでしたので、とりあえずドライの低温で調子のよかった冷間1.7でスタートしました。ただ路面の水の量が走行毎に変化していたので、結局何が正解かわかりませんでしたが、結果としては駆動輪を1.5kpaぐらいまで下げるとタイムは出ましたし、フロントは止まるようになりました。

ただ後述する横方向の特性と紐付く話であることや、同じ条件(同じぐらいの路面の水量)で試したわけではないので、ウェットで走る機会があれば再度評価してみたいと思います。



滑り出し挙動について


ドリフト向けに開発されたタイヤという事もあり、ドライ路面では滑り出しが穏やかでコントロールしやすいですが、ウェット路面も同じ挙動だと思って挑むと大変なことになります。いい例(悪い例?)がこちら。



サイドターンでリアをロックさせブレイクさせると、リアがフロントを追い越して一気に滑ってます。
逆にフロントは止まりすぎて車の回転軸になってしまっていることもわかります。

ドライバーが路面に合わせて車速を落しきれておらず、フロント荷重を作れてないのが一番の要因ですが、ドライの感覚で行くと一気に流れる印象です。
ただし縦方向(加減速方向)は扱いやすいので、ウェット時における横方向だけ注意といったところでしょうか。
(あくまでドライ時に対する印象です)



とは言え、全体の印象としてはDUNLOPのZ3よりは確実に縦方向に進むグリップがある(横はこの気温下だとソコソコ)といった感じでしょうか。このウェット路面下においてもゴール後はトレッド温度が15℃まで発熱しており、コース中盤以降はADVAN A052と良い勝負ができるレベルかな?と感じました。

ただしRE-12D等の超ハイグリップタイヤ(いわゆるPNタイヤ)にこの気温・路面環境下で比べてしまうと劣るものがあるので、極低温のウェット路面での評価としては「国産ハイグリップタイヤレベル(Z3、71R、052あたり)」といった評価になるでしょうか。



本当はもう少し走って検証したい所だったのですが家庭事情により本番2本+1本、合計3回のみ走行して午後には退散したので、詳細な分析はまた別途(機会があれば。。。)したいと思います。
走る&車をイジる時間が欲しいですね…。


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I tried to review of VALINO PERGEA 08RS in wet condition(cold surface condition). Is that have awesome grip in that case??

2020年3月17日火曜日

2020年TMSC富士ジムカーナ シリーズ第1戦

に行ってきました。


家庭事情により土日を含めて下準備する時間が全くなく、今年は一度もメンテナンス出来てませんが日程だけ迫ってきてしまった感じです。。。車に申し訳ない。。。
いつもは前泊するのですが土曜日も予定が入っていたので当日朝AM3時過ぎに出発し、5時過ぎに競技車を受け取り、5時半過ぎに荷物積んで出発しました。

前日の土曜日はかなり雪が降っていたようで心配していましたが




当日朝の道中は雪も凍結もなく現地に到着。
着くなりセット変更でスプリング変えたり、弟子君の車が一般道でハンドル切ると明後日の方向に飛んでいくという楽しい症状の修理(?)して遊んでいたらあっという間に完熟歩行の時間に←
コース図はコチラ。


スピードが乗った左右の荷重移動がある楽しそうなレイアウト。
富士スピードウェイ、ジムカーナ場は路面が張り替えられるのでこの路面では最後の走行となります。

そしてTMSCの関谷正徳会長がこの日は来場されていました。


SUPER GTよりもジムカーナに来場頂けるなんてありがたい限りです。ドラミも終わって試走スタート前にみぞれが舞ってきました。しかも結構大量です。


まだ写真を取る余裕がある序盤の降雪量。
路温は手持ちの温度計で4℃(最終的にはもっと下がったかもしれません)、ウェットというか半スノーみたいなコンディションで、この日は12時ぐらいまでずっとこの調子でした。

ヴァリノタイヤで初のウェットのため、とりあえず前回の空気圧やセットのままコースイン。



左巻き360ターンが突っ込みすぎて大きくロス。
ドライバーの腕が足りないのは勿論ですが、ウェットでは空気圧が高いとドライでは穏やかだった滑り出しが一気に流れる印象だったので若干空気圧を下げてリトライ。


まぁそれでもドライバーは対応できていないわけですが←
路面は1本目は降っている中の走行でしたが、2本目は降ってはなく、少し路面状況が改善してたので少し気合を入れて走行したんですけどね…
ドライバーの性能は置いといて、みんな気になる?タイヤの極低温ウェット路面でのインプレはまた後日に。

ちなみに弟子君会心の一撃はコチラ。


ウェット路面はSW20の真価を発揮する環境。ドライビングもはまって素晴らしい走り。ただしパイロンお触りであえなく撃沈←
もったいない。。。ここ一発のタイムは速いので安定的に出せるよう普段から車に乗って練習する…ことはお互いできない環境になってしまったので今後も進化しないでしょう←

車側はデフのロックタイミングが微妙になってきたので諸々メンテナンスをしたい所ですが、時間が取れずどうしたものか。。。
GWぐらいになれば時間が取れそうなのでリフトをお借りして整備したい所です。

We participated in 2020 TMSC Fuji Gymkhana series Rd1.