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2024年5月1日水曜日

ミッションオイルは腐食する?

以前も触れましたが、ミッションオイル(デフオイル)というのは好みやLSD等との相性もあり、嗜好性が高いオイルになると思います。
一方で、ギアオイルはエンジンオイルとは別にGL4やGL5といった規格が付いています。
これらのGL規格の一般論をベースにギアオイルのデメリット部分をリライトです。
(GL規格とは?はこちらの記事


一般的にスポーツギアオイルとして売られている製品はGL5の事が多く、こんな記事を拝見することが多々あります。


上記の記事のとおりで、GL-5オイルは極圧性能を高めるために添加剤がGL3や4に比べると多種・多量配合されてますが、極端に腐食させることがないよう、バランスさせて市販されているメーカーさんがほとんどです。(この配分でフィールが変わるのは言うまでもありません)


が、

一方で以前、関西のショップさんがこんな写真をアップロードしてました。


これはLSDの釜を撮った写真。
オイルによって腐食してしまってます。残念ながらこのようになってしまうオイルが出回っていることも事実で、「特にGL5がシンクロ等に良くない」というのは嘘ではないですが、腐食することで表面を軟化させてブローを回避している場合もあるので、結局は信頼しているショップさん等の情報を信じて選定するしかありません。


ただし少なくとも純正油がGL-4指定な車のミッションに添加剤が多いGL-5規格のオイルを入れるのはオーバースペックな事がもちろん、劣化しやすいこともあるのでスポーツ走行をしない車には入れないように個人的にはしています。コストも安いことも多いですし。

自分も使っているということもありますが、最近は周りでもLOVCAオイルのユーザーが増え、価格もかなりリーズナブルなので、もし迷われている方は一度ラインナップを見てもらえれば幸いです。

他の記事をお読みになりたい方は↓のラベルや関連ページ等からご参照ください

2023年12月10日日曜日

カインズのオイルはVerity !?

X(Twitter)でこんな話題を見かけました。


製造元がきちんと明記されてて良いですね。
この三和化成工業というのは、自社ブランドとしてVerityという名で販売しています。
Verityは4輪は勿論のこと、どちらかというと2輪ユーザーが多いブランドのイメージです。


三和化成というのは以前、TAKUMIオイルの製造元の話をさせて貰いましたが、所謂「ブランド及びパッキング」されている会社さんで、かなり少ロットからPBブランド品のオイルを製造してくれている会社さんです。
カインズだけでなく、ショップオリジナルオイル含め、知らず知らずにお世話になっている人も多いのではないでしょうか?




上記とは別にTwitter上で「カインズオイル=Verityのラベル替え」のような書込みも見かけましたが、製造元が一緒でもブレンド内容が異なるので、性状(スペック)も異なるでしょうから早合点しすぎるのも気をつけた方が良いと思います。


とは言え、三和化成さんで作っていると言う事はオイルに求められる最低限の品質は担保されていると思いますので、その点に関してはカインズオイルも安心ですね。

もしレースユースで使われるのであれば、やはりそれに見合った(高温時の剪断特性、等)性能を持たせたVerityのRacingシリーズの方が良いと思います。

下手なPB製品よりも、自社でブランド、実験出来る会社さんのは品質検証がしっかりしているでしょうから安心です。



でも4輪の人で使ってる人が少ないのはなんででしょうか?


他の記事をお読みになりたい方はサイトマップや↓の検索・ラベル等からご参照ください


2023年7月24日月曜日

LOVCAオイルのラインナップ

 ドリフトにとどまらず、ラリー、ダートラ、ジムカーナなど幅広いモータースポーツシーンで使われ始めたラブカオイル。

発売元であるオートクリエーションさんと協力し、本サイトでも取上げた2019年初期の公式に比べて種類も増えてきたりしたので再度アップデートいたします。

1.ラインナップ

ラインナップ一覧は下図のとおり。
基本的には1ℓ、3ℓ、4ℓ、20ℓという4種類の缶ですが、ネット販売上では4ℓと1ℓをセットにした5ℓでパッケージ販売されていたりもします。
なお価格は改定もありますので各サイズをクリックしてご確認ください。

大別製品名粘度/規格サイズ/価格
エンジン
オイル
Racing
0W-25 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
0W-30 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
5W-30 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
5W-40
SN/MA2
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
10W-40
SN/MA2
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
5W-50 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
10W-50
SN/MA2
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
15W-55 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
10W-60 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
15W-70 SN1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
Semi-
Racing
10W-60 SP1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
SPORT
5W-40 SP1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
10W-40
SN/MA2/CF
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
15W-50
SN/MA2/CF
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
EURO-
SPORT
5W-30
SN/C3
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
5W-40
SN/C3
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
DIESEL-
SPORT
0W-40
DL-1
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
HIGH-
STANDARD
5W-30
SP/CF
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
10W-30
SP/CF
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
ECO-
SPORT
0W-30 SP1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
ECO-
DRIVE
0W-20 SP1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
ギア
オイル
Racing-
GEAR
75W-90
GL5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
80W-140
GL5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
80W-190
GL5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
80W-250
GL5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
SPORT-
GEAR
75W-90
GL5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
MULTI-
GEAR
75W-90
GL5
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ
85W-140
GL-5
1ℓ 4ℓ 20ℓ
HYPER-
MTF
75W-90
GL-4
1ℓ 3ℓ 4ℓ 20ℓ

各シリーズの詳細説明は以下のとおりです。


2.エンジンオイル

エンジンオイルは上図のとおり、8製品で21粘度もあります。

~レーシングシリーズ(RACING)~
抵抗が少ない(レスポンスが良い)かつドライスタートに強いとうたっています。これは以前のブログで触れたようにグループⅴに分類されるエステル系の特徴です。欠点としては酸化が速い≒劣化が早いので交換サイクルが短くなることでしょうか。
湿式クラッチ対応の規格としてMA規格対応品があり、クラッチが滑らないように普通のエンジンオイルに比べて「摩擦低減剤」が少ない≒湿式クラッチが滑りにくくなっています。
(一般的にMBの方が摩擦低減剤が入っていてバイクにおける「低燃費オイル≒抵抗が少ないオイル」として販売されているようです。)

ちなみにレーシングシリーズは大きく3つの種類があります。

①湿式クラッチ(2輪)対応品
②スーパーアンチフリクションテクノロジー(以下、SAFTと略します)
③ストロングポリマー

それぞれの特徴はメーカー曰く、「湿式クラッチ対応」はバイク用、「SAFT」と呼ばれる技術は摩擦抵抗が少なく、最高速が伸びる。
「ストロングポリマー」と呼ばれる技術はエンジン保護が優先(フリクションよりも油膜を重視)だそうです。

~セミレーシングシリーズ(SEMI-RACING)~
LOVCAというブランドとして初めて作ったモデル。TAKUMIのエクストリーム10W-60と同等品で、このSemi-RacingよりRacingシリーズは改良してできた製品なのだとか。
更に2020年から新たに導入されたSP規格にも準拠しているとのこと。(SPについてはコチラ
ただしSemi-Racingは今のところ粘度は1種類しかないのが残念ですね。

~スポーツシリーズ(SPORT)~
2輪の湿式クラッチ及びクリーンディーゼルを除くディーゼル車に使うことができるとしたMA/CF規格モデル。ディーゼルに使えるということは洗浄能力が比較的高めと推測されます。10w-40および15W-50はMA規格とのことで、少しフリクションが多いのかも。
5W-40の方は2020年から新たに導入されたSP規格にも準拠しているとのこと。(SPについてはコチラ

~ユーロスポーツシリーズ(EURO-SPORT)~
クリーンディーゼル対応の欧州規格「ACEA」をクリアした、SPORTSシリーズをベースに開発したモデル。ACEAとは「欧州自動車工業会Association des Constructeurs Europeens d’Automobiles」頭文字を取ってACEAと略しているそうです。欧州は日本と違ってアウトバーンや長距離のワインディングロードなど、使われ方が違うことと距離が走りがちなことから低燃費性も勿論ですが、ロングライフであることが求められるようです。

~ディーゼルスポーツシリーズ(DIESEL-SPORT)~
クリーンディーゼル車、国内では特にマツダ車や欧州車を指しているのだと思いますが、これらの車両でモータースポーツに使う方も増えています。
一方で、スポーツ走行するにも粘度が硬めだったりスポーツオイルと言うのはあまりありませんでした。特にクリーンディーゼル車だと触媒が特殊なので、触媒攻撃性のないオイルを作るというのが大変ですが、そのあたりをクリアして要望に応えたモデルのようです。

~ハイスタンダードシリーズ(HIGH-STANDARD)~
こちらがLOVCAのベーシックシリーズ。どの車にもつかえるように、とがった性能というよりは純正のようにコスト、洗浄性能、潤滑性能等を総合的に考えたオイルといった感じでしょうか。洗浄性能が高いのか、ディーゼルエンジンにも使えるようです。
2020年から新たに導入されたSP規格にも準拠しているので洗浄性能は高そうですね。(SPについてはコチラ

~エコスポーツシリーズ(ECO-SPORTS)~
低粘度のスポーツオイルとのことで、86/BRZやNDロードスターなど、近年の低粘度オイルが指定の車にきっと最適なシリーズ。レーシングシリーズの0w-30よりはライフを重視したモデルなのでしょうか。低燃費オイルゆえに抵抗が増してしまう湿式クラッチ(二輪)には対応していないようですね。
2020年から新たに導入されたSP規格にも準拠しているので最新のタイミングチェーンエンジンでもバッチリです。(SPについてはコチラ

~エコドライブシリーズ(ECO-DRIVE)~
アイドリングストップ付車やハイブリッド車などに対応した低粘度オイル。これらの車両は街乗りだけだと温度もあまり上がらない上にドライスタートが多く、いわゆるシビアコンディションで使われることが想定され、そのあたりを考慮されて作られているのでしょう。
エコスポーツよりは耐久性はあるでしょうが、高温時の粘性確保は劣るのかもしれませんね。街乗りに利用されるのであればこちらのオイルで必要十分な性能なのでしょう。
2020年から新たに導入されたSP規格にも準拠しているので最新のタイミングチェーンエンジンでもバッチリですね。(SPについてはコチラ


3.ミッション(ギア)オイル

ミッションオイルは上図のとおり、4製品で8粘度あります。

~レーシングギアシリーズ(RACING-GEAR)~
ギアオイルはエンジンオイルに比べギアとギアでオイルがすり潰されて、油膜保持が大変なため「極圧性能」と呼ばれる性能が求められます。特にAWD車やFR車のリアデフはこの性能が求められます。オイルは高温になればなる程やわらかくなり、ベースオイルや耐腐食剤等に加えて「極圧剤」とよばれる添加物が配合されています。このレーシングシリーズはメーカーの説明を読む限りだとベースオイルに高価なエステル系を配合して、限界を引き上げているのでしょうね。欠点としてはエステル系の弱点でもある酸化(≒劣化)が早く、ミッションやデフケースのパッキンやシールの素材によっては漏れやすい事でしょうか。

~スポーツギアシリーズ(SPORT-GEAR)~
機械式LSDに対応した100%化学合成油で、同社のギアオイルの中では中級モデル。86/BRZではデフにも使えるのだとか。この価格帯でデフに用いるオイルで全合成油というのはあまり聞かないような気がします。

~マルチギアシリーズ(MULTI-GEAR)~
上記のスポーツギアの廉価版。とは言え化学合成油で多分上記のスポーツよりは耐久性という意味では持ちそうな予感がしますが、シフトの入りとかは劣るのかもしれませんね。

~ハイパーMTFシリーズ(HYPER-MTF)~
ギアオイルのシリーズにおいて唯一GL-4規格ということで、ミッション専用オイルとメーカーさんも明記しています。GL-5に加える極圧添加剤は、FF等のLSD内臓ミッションに対しては必須ですが、ミッションの主にシンクロに影響を及ぼすのでLSDを内蔵していないミッション専用とすることでシフトのスムーズさを狙った商品だと思われます。(GL-5規格のミッションへの影響についてはコチラをご確認ください



私個人としても使用しておりますが、オイルはどこもそうだと思いますが乗っていてはあまり体感できませんが、ヘッドを開けたりするとかじりもなく、キレイな状態を維持できているので必要十分で、良いオイルだと考えています。