最近一部のオイルやベルハンマー、ナスカルブ等に配合されている塩素系の極圧剤についての良し悪しについて聞かれることがありますが、使われる環境や使い方によって良いとも言えますし、悪いとも言えるのではないかと思われます。(ナスカルブは塩素フリータイプもあるのでそちらは対象外)
良い点
①高温にならない環境であれば抵抗が減る
②ある一定以下の極圧条件であれば抵抗は減る
③コスト的には他の極厚剤に比べれば安価
悪い点
①高温(400℃以上)では極厚性能が他に劣る
②超極圧条件下では抵抗が逆に増えてしまう
③コストは安いが他の添加剤等に影響を及ぼしやすい
本当に添加することに意味があるのか、例えばバイクのチェーン、スプロケットにベルハンマーを塗って出力テストした結果がこちらのページに出ています。
こちら。
ベルハンマーよりも極厚性能が高いベルハンマーゴールドを塗るとより抵抗が少ないとするもの。
さらにオイルに混ぜてみた場合の出力差についても検証されています。
ギアオイルとエンジンオイルに混ぜた場合。
確かにグラフだけ見ると塩素系のベルハンマーを入れた方が抵抗が減っているように見えます。
ただし小型バイクと言うのは、上記の良い点①と②の条件を満たした軽量モビリティなのでメリットを享受できるのかもしれませんが、大型バイクだったり車では、ギアオイルなんて結構な極圧環境ですから、街乗りでそんなに負荷がかからない状況であれば滑りが良くなるかもしれませんが、加速時やモータースポーツでのアクセル全開時は逆に抵抗増えてしまう可能性が以前考察に用いた論文の結果を見る限りありそうです。
またこちらの方がおっしゃる通り、エンジンオイル等に混ぜてしまうと他の添加剤に影響してしまうことや、一度入れてしまうと取れないという点もあることから、入れる際にはご自身の使用環境が適しているのか否か考えてから用いた方が良さそうですね。
ということで窓枠だったり工具だったり、もしかしたらミニバイク等のちょっとした場所の滑りをよくするには良い成分だと思います。
最近エンジンオイルへの添加専用のベルハンマー7と言うのが発売されたようで、こちらは通常品に加えて有機モリブデンが配合されているのだとか。
以前も触れましたが有機モリブデンと相乗効果を発揮させるにはZnDTPと呼ばれるジアルキルジチオリン酸亜鉛を加えることで初めて効果を発揮するので、塩素を少し薄めてるのかもしれませんが、有機モリブデン+ZnDTPはそもそもエンジンオイルに入っていることが多いので、あまり加えすぎても良いことなさそうな気もします。