2024年4月頃からリリースされたようで、公式によると「空気を補充するために特殊なコアを挿入したセパレーターを通してタイヤの空気を入れ替えるだけ」とのことで、もし本当であれば窒素充填やドライエアーにも勝る、持ち運びも可能な高性能エアーになりますね。
公式HPを読込んでいくと「炭化チタンのコアを通過した空気が電磁波や静電気を帯びた空気を活性化し、最終的にはタイヤやホイールにも影響を与える」とあります。
タイヤ空気圧に与える大きな要素として「水分」があり、水は温度変化に伴う空気圧変動が大きいため「ドライエアー」と呼ばれる、水分を除去して充填する方法がF1を始め、レース競技でも使われています。
一方でスピードハックエアーは製品目線で「何に、どのように作用し、どの程度の変化量が生じているのか」が重要なポイントですが、その記載がないので効果含め調べてみました。
まず炭化チタンは文字通り、炭素とチタンを燃焼合成という手法で作るセラミックスで、水をキレイにしたり、空気中の水分をヒドロキシラジカルといった、殺菌性を示す形に触媒するそうです。
(パナソニックは「ナノイー」と呼んで、空気清浄機とかに使われています)
このヒドロキシラジカルがタイヤの空気圧にもたらす変化については文献を見つけられませんでしたが、そもそもヒドロキシラジカルはかなり不安定な状態のため、こちらの論文によれば寿命としては70ns程度しか持たないそうです。
空気清浄機のように常にラジカルを作り続けるなら効果もわかりますが、一度だけ炭化チタンを通過した空気中のヒドロキシラジカルの存命率はかなり低いと考えざるを得ず、調べを進めるとこんな製品もリリースされていました。
「スピードハックエアバルブキャップ」という商品名で、触媒に使っている炭化チタンをキャップにすることで「バルブキャップがある限りタイヤの中の空気を常に活性化させた良い状態を保つ」ことが出来る、と公式から案内されています。
一見すると理にかなっていると思いましたが、あくまで「キャップ」を炭化チタンにしただけで、「バルブコア(一般的にはムシとも呼ばれます)」ではないので、タイヤ内の空気と触れることはほぼない部品と思われます。
上図で「バルブコア」と呼ばれる部分がタイヤ内の空気を止めているため、バルブキャップをいくら触媒と同じ素材にしてもタイヤ内の空気を触媒できる理屈にはならないため、炭化チタンバルブキャップは客観的に「効果無し」と断言できます。
結局スピードハックエアー(ヒドロキシラジカル)がどのように空気圧に作用するのか調査・理解することが出来なかったこと、自分で実験する前に公式に確認してみました。
上図コメントのとおりで入れたら変化を感じつつも、公式としては現状、何も計測したり理論検証はされていないとのことです。
と言うことで、試そうと思っていましたが原理不明のため見送り、手軽で継続的にタイヤに入れられる優れた空気としては、冒頭出てきた「ドライエアー」になると思います。
今はSMCというメーカーから後付け、かつコンパクトなセパレーターが売っているので、こちらをコンプレッサーケーブルに装着することでどこでも手軽に実績のあるドライエアーを作り出すことが出来ます。
コンパクトな上に手頃なのでサーキット等の出先でも空気圧を保ちやすい空気を作ることが出来そうですね。
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