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2026年2月20日金曜日

タイヤ重量がもたらす加速性能の差

前回のブログでバネ下重量の差がもたらす影響について考察しました。
ただしこれはバネ下≒タイヤホイール全体の話でシミュレーションしてましたが、回転エネルギーに寄与するのはホイールを軽量化するより、回転の一番外側に位置するタイヤそのものの重量の方が影響が大きくなります。



今回はタイヤ重量の差と、その差がもたらす影響を試算してみました。
まずは重量の比較です。タイムアタック等で代表的な265/35R18で情報を集めてみました。

タイヤ銘柄重量 (1本/kg)
YOKOHAMA ADVAN A05211.1
DUNLOP DIREZZA β1111.2
VALINO VR08GP NEUMA12.4
SHIBATIRE R23 (TW200)12.5
BS POTENZA RE-71RS12.7
NANKANG CR-S12.7

上表はあくまで国内外のブログやSNSから個人的に拾ってきた数字なのであくまでご参考までに。
ADVANはかなり軽く、逆にBSとは1.6㎏も違います。
この重量差がもたらす、低速コーナーからの全開加速影響を計算してみました。

条件としては以下で、ミニサーキット等を想定して50mの加速区間でシミュレーションしてみました。

車両重量:1,200㎏
エンジン出力:200馬力
初速:20km/h

A052RE-71RS
到達タイム2.7422.771
到達速度94.88km/h94.39km/h
距離差+38cm

数字は大雑把にして計算しているので誤差あるかもですが、約0.03秒違います。
これだけ見ると誤差みたいな数字ですが、10か所、全開加速する場合は0.3秒と無視できない数字になってきます。(馬力換算すると2~3馬力差に相当)
ただあくまでグリップは無視した回転する質量差だけで計算しているので、現実には転がり抵抗やコーナリング後の脱出速度等がタイムに影響するのはご存じのとおりです。

数字だけ見るとタイヤ軽量化よりも、先日触れたファイナルギアをバレル研磨する方が影響だけ見ると良さそうですね。


前回のブログやグリップ評価も踏まえると、ADVANのA052はかなりバランスが良いタイヤと製品目線では言及できそうです。ただ難点は価格でしょうか。。。。。
ハイグリップタイヤの価格一覧はコチラをご覧ください。


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2026年2月11日水曜日

バネ下1kg軽量化がもたらす影響について考察

ホイール等のバネ下重量を軽くすることは非常に重要である、というのはモータースポーツを知る方の間ではよく聞く話だと思いますが、具体的にどの程度影響するのか調べてみました。



定性的なホイール等の軽量化の効果は以下の認識です。

1. 路面追従性の向上(乗り心地と接地感)
バネ下重量とは、タイヤ、ホイール、ブレーキ、アーム類など、サスペンションのスプリングよりも下に位置する部品の重さです。
  • バタつきの抑制: 重い靴を履いて走るのと、軽いスニーカーで走るのと同じく、バネ下が軽いと、路面の凹凸に対してサスペンションが素早く上下に動けるようになります。
  • 接地時間の増加: 段差を乗り越えた際、慣性が小さいためタイヤが浮き上がりにくくなります。

2. 運動性能(ハンドリング)の進化
バネ下が軽くなると、車全体の慣性モーメントが減少します。
  • ステアリングレスポンス: ハンドルを切った瞬間の反応が重量が軽くなるため鋭くなります。
  • ジャイロ効果の低減: 回転体であるホイールが軽くなると、高速回転時のジャイロ効果が弱まり、倒し込み(バイク)やコーナリングの切り返し(クルマ)が軽快になります。

3. 加減速性能の向上
ホイールやブレーキローターの軽量化は回転マスが減るので影響が大きいです。

  • 加速の鋭さ: エンジンパワーが「重いタイヤを回すこと」に取られず、加速が鋭くなります。
  • ブレーキの効き: 回転している物体を止めるエネルギーも少なくて済むため、制動距離の短縮やブレーキへの負担軽減に繋がります。

上記ぐらいでしょうか。
これを具体的に1kgホイールを軽くした場合の計算をしてみました。


E = 運動エネルギー
第1項 = 車体が前に進むエネルギー
第2項 = 回転するエネルギー

式は上記で、AIに数字を放り込んで計算させると結論として加速・ブレーキの「効き」に関しては、バネ下1kg軽量化 ≒ バネ上2kg分になりました。

上記計算式を用いてサスペンションの追従性についても計算させてみたところ、要点として以下になりました。

バネ下の重量(m)が減ると、路面の凹凸を乗り越える際のサスペンションの応答速度が上がります。
  • 応答速度の向上: バネ下重量が 10% 減少すると、タイヤが路面に復帰するまでの時間は、理論上 約5% 短縮されます(バネ定数が一定の場合)。
  • 接地荷重の安定: ホイールが1kg軽くなることで、高速走行時のタイヤの接地荷重変動が数kg単位で抑えられます。

この「タイヤが常に地面を捉えている=パワーをロスなく伝えられる」という感覚的なメリットが非常に大きいため、ドライバーの体感としてバネ下の軽量化はボディ軽量化の何倍もの影響があると言われる所以かもしれませんね。


ただし、副作用としては上述した反作用になりますが
  • 乗り心地の重厚感(凹凸に対して過剰に反応)がなくなる
  • ホイールが重くなると高周波を打消す作用があるが、それがなくなるのでロードノイズが増える
  • ジャイロ効果が減るので直進安定性が減る
  • バネ下の路面追従性の向上にダンパーの減衰が付いてこない(重いホイールに合わせた減衰だと硬く感じる)

何事にもメリットあればデメリットあるので、そこを理解した上で選択したいですね。ちなみに新車開発においては上記もあって音対策で足回りにおもりをつけた事もあります。
ただ上述したように、ホイール1㎏軽量化すればバネ上2㎏に相当するので、4本とも1㎏軽くすると車重を8㎏軽くしたのと同じぐらい加速に効いてくるイメージですね。


もし上述したような車体の物理学に興味あれば以下の本がおすすめです。




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2026年2月8日日曜日

バレル研磨ギアで出力は何%改善?

GR等からリリースされているバレル研磨されたファイナルギアですが、展示会などで話を伺う限り4割程度、標準品より駆動損失が減るとアナウンスされています。



ネット上で調べるとより詳細な数字として38%という数字を拝見しました。
ではファイナルギア単品で標準品から38%改善すると具体的にどの程度出力が改善するのか、計算してみました。

まず大前提として、エンジンのクランクシャフトで測定される「グロス値」と、実際にタイヤに伝わる「ネット値」に差があるのはご存じの方も多いと思います。
例えばカタログ上ではGR86/BRZは235hp(馬力)と記載されていますが、シャシーダイナモ上で測定すると205hp(約13%減)、というのは良くある話です。

この駆動系ロスについては海外のこちらのページが良くまとまっていますが、SAE(Society of Automotive Engineers)という団体が公表している一般的な駆動ロス全体の数字は15%と発表されているそうです。
ただしこれはあくまで一般的な数字であって、FFやFR等の駆動方式別にかなりズレがあるとも記載されています。
気になる点だけ上記ページから抜き出してみると

  • トランスミッションにおける駆動ロスのうち30-40%はポンプ損失、20-25%はクラッチ、その他はベアリングや歯の摺動抵抗など
  • シャシダイ上での測定では直結ギア(6速ミッションなら5速、5速ミッションなら4速が多いですね)で測定するが、上述したトランスミッション駆動ロスを直結だと1.5-2%減らせる
  • FRの多くのファイナルギアで用いられるハイポイドギアは6-10%、ドライブシャフトやプロペラシャフトで0.5-1%程度駆動ロス
  • FFでは駆動系がまとまって効率的で、FRやAWDに比べて50%程度駆動ロスが少ない

こんな感じでしょうか。
(上記の数字を逆算すると、トランスミッションの損失は4~8%程度となりますね)
今回の着目点であるファイナルのハイポイドギアの駆動損失は6~10%であり、バレル研磨にすると、このハイポイドギア損失が3.8~6.2%程度まで低減されることになります。

これを冒頭のGR86/BRZに当てはめてみると、標準ファイナルだと205hp(約13%減)だった減りシロが、最大で213hp(約9.2%減)まで改善されることになります。
(駆動ロス全体としては約30%低減)

つまり最大約8hp(馬力)、0.95kgf程度の出力改善になると導き出されます。

下手なチューニングよりよっぽど効果がありそうですね。
駆動ロスが減るということはオイル温度上昇も抑えられ、燃費も上がることになるので良いことづくめです。


ただあくまで上記計算は「最大」であり、体感できるほどの差になるかは個体差もありそうですね。
ちなみにロードスターの12Rで行ってるミッションのコーティングはトランスミッション損失を減少させてるので、実出力向上に寄与してそうですね(12Rのミッションで何してるかはコチラの記事をご覧ください)




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