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2018年7月23日月曜日

アッカーマンアングルについて考える

今回も前回及び前々回の続き。ホイールを太くしたりして悪化したハンドリングを改善するための考慮要素であるアッカーマンアングルについて。

アッカーマンアングルとは、ハンドルを切った時の左右のタイヤの切れ角の差です。

画像はネットの拾いものです。

車が旋回していくと上図のように外側のタイヤと内側のタイヤがとおる軌跡が異なり、内側のほうがより小さな円を描いているのが分かるかと思います。

内側のタイヤが小さな円を描くためには、内側のタイヤが外側のタイヤよりたくさん切れないといけません。



こちらのHP様の画像


こちらはラジコンのものですが、こんな感じで内側のタイヤ(赤)が外側のタイヤ(黄)よりハンドルが切れます。


この角度のことを「アッカーマンアングル」と呼びます。



ところが1枚目の画像のようにタイヤが滑らない領域(街乗りや低速域)ではいいのですが、サーキットなどでスポーツ走行をしている際は、限界領域で走れば走るほど若干滑りながら走っており、低速で良かったアッカーマンアングルが邪魔になる事があります。


上図を簡単に加工したので見にくいかもしれませんが。

若干滑りながら曲がっているため、円が大きくなりながらコーナリングしているわけです。
このとき、内側が外側に対して必要以上に切れてしまうとただの抵抗にしかならないわけです。

なので高速コーナリングをする車になればなるほどアッカーマンアングルは小さくすることによって内側のタイヤの引っかかりをしないように設計されていたりします。


ここまで来て、前々回触れた、ホイールのオフセットだけで外に出し、スクラブ半径が大きくなった場合のハンドリングを改善するにはどうしたら良いのか考えてみます。


外側はハンドルを切れば切るほどホイールベースが長くなり、コーナーの奥で耐えられるようになります。
一方内側はホイールベースが短くなるのでそのままだとアッカーマンアングルが邪魔をして使いにくくなるため、フロント2輪で見た時にハンドリングが悪くなるだけでなく、トータルコーナリングフォースも減ってしまいます。

改善するためにはアッカーマンアングルを減らし、内側と外側のタイヤの切れ角の差を減らします。そうすると内側のタイヤが引っかかる動きがなくなります。
ではアッカーマンアングルを減らすのはどうしたらいいの?となりますが、アライメントでフロントをトーインにしてみると、内側のタイヤは切れ始めが遅くなり、逆に外側のタイヤは切れ初めが早く切れ込み始めるため見かけ上アッカーマンアングルを減らす事ができます。(ナックルとタイロッドの取り付け位置が前側の車は除く。なお内側とはグリップ走行におけるコーナーの内輪の事を指してます。ドリフトのコーナーでは外側のタイヤになりますね)


ちなみに知人のドリフトマッスル優勝者や某ドリフター兼チューナーの方も、ロアアームを延長するなりしてスクラブ半径を小さくするよりも、ノーマルアームのままホイールスペーサーでホイールを外に出してスクラブ半径が大きい状態のままの方がフィーリングが良いと言っているのでセッティング次第なのかもしれませんね。(確認すると、ナックルのタイロッド取付部を加工しアッカーマンアングルは必ず変更しているようです)


もしアッカーマンアングルや別に書いたスクラブ半径等の足回りに興味がある方は、車体構造の基礎設計知識がわかり易く記載された車両運動性能とシャシーメカニズムと言う本がオススメです。




これを読めばどのように車が設計されているか分かるので、逆にどのようにチューニングして行けば良いかも理解できるかと思います。

他の記事をお読みになりたい方は↓の関連ページ等をご参照ください。


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